教育年報1967年(S42)-077/194page
(1) 目 的
本県児童生徒の学力向上を図るため、小学校および中学
校について、学級経営全般の充実をはかり、学力向上の実
をあげる推進校を指定し、その資料を当該所属管内の各学
校に普及活用させる。
(2) 指定校の運営
指定校は前記目的達成をはかるために、次の事項を基本
として運営する。
1) 過去における学力向上推進校の研究成果をじゅうぶん
取り入れ効果的・能率的運営をすすめる。
2) 学校経営全般にわたって診断をおこない、問題上のは
握と、その改善充実につとめ、その中で学力向上の実を
あげるよう運営する。
3) 研究成果は当該管内各学校に対して資料として配布す
るが、第1年次は校内研究を主体とし、中間発表会等の
公開は行なわない。
4) 研究計画をたてるにあたっては、学校の実情、児童の
実態をよくは握する。
(3) 共通研究主題
教科の本質に基づき、児童・生徒の主体的学習態度を確
立させるために、授業の体質をどう改善すればよいか。
この共通研究主題を解決するために、研究教科を設定
(学校規模等の実情に応じ、また、要項に準ずる)し、そ
れに即した具体的な課題を設定する。
なお、この計画にあたっては、とくに次のことに留意す
る。
1) 教材研究を深める。
2) 学習指導の改善をする。
3) 学校経営、学級経営の検討とその改善をはかる。
(4) 指定校および研究概要
1) 伊達郡川俣町立川俣中学校
ア. 校長 松井孟始
イ. 研究主題 「生徒の研究心をいっそう高めるための
指導」
ウ. 成 果
現在の中学校における学習指導は、一般に講義式授
業が多く、生徒自らの主体性・自発性にとぼしいので、
物事そのものの研究を自らの問題としてもち、それを
調べ、その中において学ぶ態度を育成するように努め
た。
そのためには、生徒会・学級活動などにおいても、
主体的な活動が要請されるので、学校経営全体につい
て検討を加え、指導の時間確保や運営をくふうした。
(ア) 従来の授業の反省と、自発性を高めるための指導
過程の理論的研究を進めてきた。
(イ) 小集団学習の指導と、終末の段階における価値転
換と変容のたしかめ、および主体的態度育成のため
の予習的課題設定のし方の研究をし、実証の段階に
はいっている。
(ウ) 研究心をのばす授業を志向して、授業の体質改善
が試みられ、成果があがってきている。
(エ) 本校研究主題に対する各教科の特質に応じたせま
り方の研究について共通理解を図った。
(オ) 自発的学習意欲を促進するような教科教室経営の
くふうを試みた。
(カ) 生徒会中心に日常生活および学習態度の自主規制
活動の促進を図った。
2) 伊達郡国見町立県北中学校
ア. 校長 小野鶴雄
イ. 研究主題 「教科の本質に基づき、児童生徒の主体
的 学習態度を確立させるために、授業の体質をどう改
善すればよいか。
ウ. 成 果
教科をできるだけ多くとりあげそれぞれに適したテ
ーマを設定し、調和のとれた学校経営をめざして進
められたため、各教師が共通意識のもとに研究を深め
ていくことができた。特殊教育(精薄学級)について
も個性を育てる指導のありかたというテーマを設定し
技術・家庭科の授業をとおしてその実績をあげている。
(ア) 全教科全領域、特殊教育にわたりそれぞれの主体
的な学習のありかた、たしかめのしかたなどの理論
と実践の研究が深まってきた。
(イ) 研究授業は全教員、学級を対象にして行なったが
校内における研究意欲がたかまった。
(ウ) 研究方法としては、教材の研究、授業案の作成、
指導技術(授業実施)に集中したので効果的であっ
た。
(エ) 特に学習の方法訓練面では、・学習の準備、学習
の姿勢、・話し合いや発表、応答のしかた、・教科、
教材に即した学習のしかた、・ノート整理のしかた
などがややよくなった。
(オ) 他校との交歓研究等を実施し、自校の研究公開と
今後の反省をするための資料としている点は、この
学校の研究の特色ともいえる。
(カ) 時間配分、授業時間の内容と強化のしかたが深ま
った。
3) 校 名 安達郡本宮町立本宮小学校
ア. 校長 菊田武雄
イ. 研究主題 「児童の思考力を高め、ゆたかにする学
習指導法の研究」
ウ. 成 果
授業の体質改善をめざし、児童の思考力をたかめ、
ゆたかにする学習指導法の研究を進め、かつ児童が主
体的に学習する態度を育ててきた。対象教科は、主と
して社会科・理科・図工科としたが他教科へもその研
究の転移をはかってきた。その成果はつぎのとおり。
(第1年度)
(ア) 学習教材の研究が深くなり、教材を精選し学習活
動の過程とすじ道がよくたてられ、学習の効率をた
かめた。
(イ) 学習目標の明確化から学習内容が重点的におさえ
られ、さらに児童の思考をたかめるための発問に留
意して、学習内容の深まりと確実さが見られるよう
になった。
(ウ) 学習過程において、児童の既有経験や知識を重視
して問題を認知し、思考活動を促進し深め、関係は