教育年報1967年(S42)-079/194page
ウ. 成 果
いまだ緒についたところであり、確かな変容は、ま
だわからないが、比較的にはっきりしているものをか
かげると生徒側には、
(ア) 導入段階をたいせつにし、課題づくりを扱うこと
により、学習内容の大要がは握され、それが先達と
なって今までより学習興味をもつものが多く見られ
るようになった。
(イ) 課題意識までには徹しないが、単なる宿題といっ
たもののもつ受身の学習から「課題」ということを
待ち受けるようになった。
(ウ) 学習方法について関心が高まり、ようやく学習意
欲が盛り上がりつつある。
(エ) 教科学習に対して一般に積極的な好ましい傾向が
見られるようになった。
教師側には、
(ア) 従来の指導するという立場から、大きく学習させ
るということへ転換する努力が高まってきている。
(イ) 教材研究に学習方法を含めた研究方法をめざし、
深化と精選とが合わせ行なわれるようになった。
(ウ) 「授業の体質改善」ということに、あらためて共
通意識が持たれ、協力研究態勢が一層進められるよ
うになった。
9) 石川郡浅川町立浅川中学校
ア. 校 長 増子次
イ. 研究主題 「授業の質を高めるために教材研究をど
う深めたらよいか」
ウ. 成 果
授業の中でどんな学力を、どんな方法でつけていく
のかは、教材研究の深浅にかかわるものであり、教材
研究の質が学力の質となり、授業の質に転移させるこ
とができるとの観点に立って研究を深めた。
(ア) 教材の構造力をはかり、教材の教育的価値を明ら
かにする研究を行ない、教材に対する見方、考え方
を深めることができた。
(イ) 全職員の研究意欲をもりあげ、授業にのぞむ教師
の姿勢を確立し、授業のきびしさを追求するように
なってきた。
(ウ) 生徒の主体的学習態度を育てるためには、生徒指
導の機能をじゅうぶん学習指導の面で統一させるこ
との必要性が痛感され、家庭学習の転移が容易にな
ってきた。
10) 南会津郡田島町立荒海小学校
ア. 校長 芳賀真太郎
イ. 研究主題 「主体的学習を育てるための授業研究」
〇 教科ごとの研究テーマ
・ 国語 読解力を高める指導法
・ 算数 数理を主体的に学びとる指導法
・ 図工 豊かな表現力を高めるための指導法
・ 学級会、話し合い活動の運用のしかた―集団意
識を高めるために。
・ 特殊学級 児童の実態をは握し、生活指導の徹底
を期するために。
ウ. 成 果
各教科、学級会、特殊学級の指導を通じて、児童が、
主体的に学びとる態度、のぞましい学級経営の研究が
なされ、調和のとれた学力向上対策に全力をあげた。
特に第一年次としては、教材研究、学習指導、生徒指
導に力を入れ、内容を焦点づけて次の項目の実践化に
努力したが見るべきものがあった。
(ア) 教科の本質をとらえた教材構造。
(イ) 目標にせまる指導過程の組みかた。
(ウ) 児童の思考過程のくふう。
(エ) 学習の個別化と集団化。
(オ) 指導のたしかめと評価のくふう。
(カ) 学習ふんいきの醸成。
(キ) 学級会指導の充実
(ク) 生活習慣の形成
11) 耶麻郡猪苗代町立東中学校
ア. 校 長 塩谷善一
イ. 研究主題 「学習の習慣化・定着化をはかる学習指
導法の研究」
ウ. 成 果
「予習的課題」を取りあげ、実際的に授業で研究を
進めた結果、徐々に生徒の主体的学習が形成されると
ともに、今後の問題点の究明に当たっている。
(ア) 教材構造と授業構造
「どんな予習的課題がよいか」の研究で、教師は
教材研究にきびしく意欲的に取りくみ、指導観・教
材観を確立し、1時間1時間のねらいと指導内容を
明確にして、授業充実と改善に努めている。
学習内容の定着・発展化を図るために「予習的課
題を教授=学習過程にどう組みいれ、どう生かした
らよいか」を研究し、これによって授業のきり込み
方が鋭くなり、教材や生徒の実態に応じた学習の組
織化が図られるようになった。
(イ) 生徒の変容
日日の教育実践を通して、生徒の学習意欲が高ま
り、学習課題を適確にとらえ、予習的課題を行なっ
てくる生徒がふえ、学習に活発さが見られるように
なってきた。また、個人学習のあとが、ノートに、
発表・診断の段階で、学習の喜び、鋭い課題の追求
の姿となってあらわれ、学習のし方も身につきはじ
めている。
12) 耶麻郡北塩原村立北山小学校
同 北山中学校
ア. 校 長 半沢鐘吉
イ. 研究主題 「教科の本質に基づき、児童生徒の主体
的な学習態度を確立するために、授業の体質をどう改
善すればよいか」
ウ. 成 果
(ア) 教材研究がよくできるようになった。
単元の構造的研究がよくなされた。
・ 中心観念・基本要素・具体要素等による分析
とくみたて
(イ) ・ 学習課題・予習的課題の設定の方法が適切に