教育年報1967年(S42)-082/194page
委員の職・氏名 担当部門 関係教育事務所 期日 視察校 福島大学教授
古簸安好現職教育・教育相談
教育評価・学級経営安達 10月11日(水)、10月12日(木)、10月13日(金) 原瀬小、旭中、本宮高 福島大学教授
堀口知明へき地教育 南会津 10月3日(火)、10月4日(水)、10月5日(木) 伊南小、伊南中、只見高つつじ丘分校 福島大学助教授
工藤正悟道徳教育・生徒指導
進路指導東白川 10月12日(木)、10月13日(金)、10月14日(土) 石井小、鮫川中、東白農商高 福島大学助教授
高橋キヨ子家庭(小学校・高等学校)、
技・家(女子向き)岩瀬 10月16日(月)、10月17日(火)、10月18日(水) 鏡石一小、岩瀬中、岩瀬農高
(6) 視 察 報 告
1) 日 時 昭和42年12月5日(火)
14:00〜16:00
2) 場 所 日興証券株式会社福島支店ホール
3) 視学委員による視察報告
ア. 佐藤俊太郎委員
・ あまりに高級な、しかもかたい文章を用いないと指
導案にならないと考えている教師が多い。
・ 学区が広すぎることによる多くの弊害が見受けられ
る中学校があった。
・ 教職員に対し、研修の機会を多く与えなければなら
ない学校が見受けられる。
イ. 口孝之委員
・ 学習指導はともすれば内容のら列にとどまり、進行
は平板であって、要点の摘出、関係を明らかにして
見せること等には欠けるものがあったと見受けられ
る。
・ 学習指導法を具体的には握し、実際に役立つ方法を
教育研究所と共同するなりして解決し、これを県下
に流すがよかろう。
・ 児童・生徒は記憶に長じる時期である。学習指導上、
記憶の重視と、そのための訓練がなおざりにされて
いるきらいはないか。
ウ. 古旗安好委員
・ 小規模中学校における現職教育の問題は、「教科間
の異質性を克服し、共同研究態勢を盛りあげて」い
くことであると思う。
・ 発表力をおさえ、コミュニケーションを妨げる結果
になるような授業形態が少なくない。
・ 高校の教育課程研究集会は、適切な指導助言者がな
いためじゅうぶんな成果があがっていないという見
方が教諭の中にあった。
エ. 堀口知明委員
・ 教職員の移動が激しく、しかも教職経験少ないもの
が多い学校が見受けられる。
・ 当該教科の免許状を持たない教員がいることは問題
であろう。
・ 施設・設備として最低の条件をも保障されていない
学校があるといって差し支えない。
オ. 工藤正悟委員
・ 一般的に生徒指導がそれ自体を目標とすることなく、
なんらかの他の目標の生徒を画一的に押しあげるた
めの手段にされ易いことは問題であろう。
・ 相談室が完備されていないことや、専任担当者がい
ないことなどが、相談活動がふるわない大きな原因
の一つであろう。
・ 生徒指導が、現実には消極的な側面たる風紀取締り、
訓育、井行対策などとしてのみ機能し易いことはまし
ことに残念である。
カ. 高橋キヨ子委員
・ 指導過程において、よりくふうが欲しいと思われる
ものは、材料に対する科学的知識の指導であろう。
・ 教員の研修計画の具体的な実現にいっそうの配慮が
欲しい。
・ 小学校家庭科の指導内容と中学校技術・家庭科女子
向きの内容との一貫性について考えた場合も、教科
指導委員がじゅうぶんに活躍でき、少なくとも同じ
地域の小・中学校間の話し合いがなされるような配
慮が望ましい。
第5節 道徳教育・生徒指導
1 道徳教育
本県の道徳教育は、各学校および関係機関の努力によって
漸次充実し、すぐれた実践がみられるようになってきている。
特に、道徳教育研究学校を中心とする実践的研究は、きわめ
て深いものがあり、本県道徳教育の推進に大きな影響をあた
えている。
しかし、実践の深さに学校差がみられ、一般的にみて、次
のような傾向がある。
(1) 道徳教育の全体計画が漸次整備されてきているが、まだ
じゅうぶんでない学校もみられる。
(2) 年間指導計画および主題の展開案等の指導計画が漸次整
備されてきている。
(3) 道徳の時間の指導についての研究は深まってきているが、
その反面道徳教育そのものが、ややもすると道徳の時間に
のみまかされる。
(4) 道徳の時間の指導過程の組織化と類型についての研究が
深められてきているが、その反面、指導過程が弾力性を欠
き、形式化してきている。
(5) 道徳の時間の指導資料がやや「読み物」にかたよってき