教育年報1967年(S42)-096/194page
特に、単級、複式学級の学習指導の困難性に加えて、設備や
教材・教具が不備であることは、へき地教育の振興上大きな
障害となっている。
へき地の児童・生徒は、生活経験がせまいので児童・生徒
の経験を拡大し、学習指導の効果を上げるには視聴覚教材・
教具等の活用は是非考えていかなければならない。
最近の学校教育においては、指導すべき内容はきわめて多
岐にわたっているし、小学校、中学校においては、その基本
的、基礎的な事項を、単に知識としてだけでなく、技能とし
て児童・生徒の身につけなければならない。
そのためには、図書その他さまざまな教材・教具を豊富に用
意し、児童・生徒が興味や関心をもって自主的自発的に学習
できるような環境条件を整備する必要がある。
へき地学校に勤務する教職員の研修のために、本年度実施し
た行事等について概略を述べる。
1 単級、複式学習指導法講習会
(1) 期日、会場
5月29日、30日 耶麻郡野沢小学校
6月 7日、 8日 平市立平第二小学校
6月27日、28日 東白川郡棚倉小学校
(2) 趣 旨
単級、複式学級担任者を対象として、複式指導計画の立
てかた、学習指導法ならびにシート式磁気録音機の利用に
ついて研修を深める。
(3) 研究内容
1) 学習指導の基本的な考え方
複式学級のある学校の教育課程の編成は、学校教育法
施行規則第25条の2の規定によって特例が認められてい
る。
ア. 学年別指導
同じ時間に同じ教科を指導しても、全く学年別に指
導計画をたてて、学年別に指導する方法
2) 同単元指導の教育的意義
同単元による学習指導は、学年別指導のもっている欠
点を補いながら、学習指導の能率と学習効果を高めよう
とするものである。
同単元による学習指導は、複式学級において、それぞ
れの学年に共通する同じような目標のもとに単元を設け、
できるだけ共通の題材を中心として、同時に学習を進め
ようとするものである。
3) 指導計画作成上の留意点
ア. 目標について
同一単元としての目標をかかげる場合には、その単
元の総括的な目標が、両学年に共通する目標とならな
ければならない。
しかし、主目標が共通であっても、具体的な目標に
おいては、学年や能力の差に応じて低、高の差異が考
えなければならない。
イ. 学習内容について
年間指導計画をたてる段階で用意される各単元の学
習活動は、単元の目標に照らして予想される主なもの
について、そのだいたいの順序を示す程度になる。
ウ. 教材・資料について
同一の単元の教材、資料には、両学年共通に使用
するものと、学年や能力の差に応じて使用されるもの
があり、計画にはそれが明示される必要がある。なお
教材、資料には、教科書の教材、その他の図書、放送
等の補充的な教材、資料、教師作成のもの、児童の作
品などがあげられる。
エ. 指導上の留意事項
〇 へき地の言語的条件に対する具体的な配慮 (国語)
〇 文字、語句、文、文章の組み立て等の事項の系統に
ついての配慮
〇 共通の学習場面を作るための配慮
〇 協力的な学習活動を行なうための配慮
〇 間接指導を効果的にするための配慮
〇 日常生活との関連や日常生活への発展についての配
慮
〇 他教科との関連についての配慮
〇 補充教材についての配慮
〇 評価の観点やその方法についての配慮
4) 授業案の形式について
ア. 単 元 名
イ. 目 標
〇 共通目標 〇 低学年目標 〇 高学年目標
ウ. 指導計画
エ. 本時の目標
(ア) 題 目
(イ) 目 標
〇 共通目標 〇 低学年目標 〇 高学年目標
(ウ) 展 開
指導上の
留意点資料 学習活動
○年○年資料 指導上
の留意点1.導入 (共通) 2. 3. 4. 5. 6.まとめ (共通)
(エ) 評価の観点
(オ) 備考 学級や児童・生徒の実態など
(4) 話し合い学習について
1) 話し合い学習の効果
2) 話し合い学習指導上の留意点
ア. ふだんの学習の中で、聞くこと、話すことの機会を
多くする。
イ. 話し合いの基礎指導を徹底する。
ウ. すじ道のたった話し合いができるようにする。
エ. 協力的に話し合えるようにする。
オ. 深まりのある話し合いができるようにする。
(5) 自主的に授業にとりくませるには
(6) 家庭学習の基本的な考え方について
(7) 複式学級における放送教材の利用について
(8) シート式磁気録音機の利用について
(9) 学習指導と教材研究について
この講習内容は、複式担当者の切実なものを内容として