教育年報1967年(S42)-119/194page
社会教育
第1節 社会教育一般
1 概 要
今日の社会は、都市も農村もめまぐるしく動いている。そ
の変化はきわめて複雑多岐にわたり、急激な技術革新による
産業構造の変化、余暇や消費の増大、都市化現象の進行と相
まって、必然的に生活構造そのものの多様化をもたらしめ、
社会教育においても、その教育の形態、方法、社会教育対象
人口の組織化等、それぞれ量的質的に拡大の方向をたどりつ
つある。
このような観点から、市町村教育委員会ならびに関係機関
団体との協力体制をいっそう強化するとともに、教育行政の
果す固有の役割と独自の領域を明確にして、本県社会教育伸
展の基盤確立に努力した。
(1) 社会教育施設の整備充実
本県における社会教育施設設備の現況は、量的、質的に
みて必ずしもじゅうぶんとはいえないが、社会教育の飛躍
的発展をはかるために、その基幹的施設である公民館の計
画的整備に全力をそそいできた。
1) 公民館の整備をはかるための県費補助 (150万円)
国庫補助による公民館新築 (5 館)
2) 県立文化センター建設1年度計画促進
3) 施設設備の充実と併置館の解消
(2) 社会教育指導体制の充実強化
社会教育施設の充実と相まって、指導者の体質改善とそ
の充実対策はきわめて重要であり、とくに市町村における
社会教育主事の完全設置につとめたが、本年度においては
その設置率61%、前年度と比較してのび率は、ほとんど変
りはない。
1) 本年度は、とくに東北各県にさきがけて、青少年指導
員の設置が実現した。
2) 社会教育基幹的指導者の養成と研修機会の積極的提供
につとめた。とくに国立社会教育研修所の研修計画に14
名の参加をみた。
3) 県社会教育委員会議、青年学級研究協議会等を通して
研究、調査、諮問を行ないその指導力の充実を期し、波
及効果の実をあげた。
(3) 学級、講座の拡充
社会の変ぼうに絶えず適応するためには、主体的に学習
意欲をもやし、積極的に条種の学級講座に参加することで
ある。本年度は、青年学級132、開設率67%、成人学校
14、家庭教育学級267、婦人学級、高等学校開設講座6、
高令者学級35の開設をし、さらに次のことを実施した。
1) 研究、実験学級の指定
2) 研究集会の内容充実
3) 資料の作成提供
(4) 社会教育関係団体の育成助長
現代の社会的要求に応ずるため相互研修の場として、集
団による組織的な団体活動を行なうことは人間形成のうえ
に大きな役割を果している。これら団体の健全にして、か
つ適切な事業活動を助長するために、団体の自主性を尊重
しつつ、積極的な助成を行ない、その指導者の養成につと
めた。
1) 指導者の養成と研修機会の提供
2) 育成助長のための県費補助
3) 団体指導者のための資料作成
(5) 芸術文化の振興と文化財の保護
芸術文化の振興は、創造性豊かな県民づくりと、文化的
な香り高い県土建設のため、きわめて重要である。また民
族文化活動の所産である文化財を正しく理解し、愛護する
精神を培うために効果的な施策を講じてきた。
1) 県民文化水準の向上
2) 県民のすぐれた芸術文化活動の保護育成
3) 文化施設の整備
4) 国、県指定文化財の保護、施策の強化
5) 記録の整理保存の強化
以上、昭和42年度社会教育行政の概要についてのべたが、
県土の限りない発展のため、本県社会教育の歩みを冷静に
直視しつつ、県、市町村が一体となってたくましい前進を
つづけたい。
2 市町村社会教育主事研修会
(1) 目 的
社会経済の急激な進展にともない、本県社会教育のいっ
そうの充実振興を期すため、市町村社会教育主事に対し、
こんにちの社会教育を進めてゆくために必要な基礎的教養
の研究を行ない、もってその資質の向上と指導力の強化を
はかる。
(2) 期日・会場・参加者数
1) 期 日 42.7.31.〜8.5.
2) 会 場 耶麻郡猪苗代町 県積慶寮
3) 参加者数 31名
(3) 講 師
国立社会教育研修所主幹 湯上二郎
東洋大学助教授 岡本包治
宮城教育大学教授 菅野正
茨城大学教授 小倉学
福島大学教授 古籏安好
福島大学助教授 工藤正悟
福島県厚生部青少年対策室長 丹野清栄
福島県企画開発部統計課主任主査 折橋国久
福島県教育庁社会教育課長 佐藤正義
助言者 福島県教育庁社会教育課員
(4) 参 加 者
市町村社会教育主事