教育年報1967年(S42)-147/194page
第7章 保健体育
第1節 概 要
社会の進歩は、国民のよりすぐれた体格体力を必要として
いる。
保健体育課は、生命の尊重を基本として「スポーツの振興
と、健康体力の向上につとめる。」ことを目標とし、保健、体
育、給食が一体となって総合的に施策をすすめてきた。特に
本年度は児童生徒の安全教育の徹底と、交通事故の防止につ
とめ、また、社会体育面では、県民の体力づくりを重点とし
て、市町村のスポーツの振興に努力し、国民体育大会におい
ても大きな成果をおさめることができた。その概要は次のと
おりである。
1 学校体育の充実
学校体育では各種実技講習会の開催、体育研究学校の指定、
学校体育研究大会等を開催して学校体育指導者の資質の向上
につとめた。
又、昭和43年度の全国学校体育研究大会本県開催にあたり
各地に学校体育研究の気運が高まりつつある。
2 選手の競技力向上
強化合宿の実施、スポーツセンター校の指定等により選手
の競技力向上につとめたので本年度県体では、陸上競技をは
じめ5種目で219の新記録を生みその他の競技も技術の向上
が目立ち高松宮殿下ご臨席のもと実施した高松宮杯記念ジャンプ大会
では全国各地より参加したが、本県選手が名実とも
に優勝したのはこれが初めてであり、本県ジャンプ競技のレ
ベルの高さを物語るものである。
又、埼玉国体では天皇杯順位26位から18位に躍進し、皇后
杯順位も5年振り得点して県民の期待にこたえることができた。
なお、本県出身の馬術の佐藤伝一、重量挙の大内仁、カヌ
ーの佐藤忠正選手等メキシコオリンピックの有力候補とされ
その活躍が期待される。
3 社会体育の振興
スポーツ少年団、体育指導委員、市町村体育協会等の活動
の促進、ユースホステル、野外活動の奨励等一般対象の社会
体育の普及振興に努力した。
各地に家庭バレーボール、民踊等が普及し、特に婦人の間
に余暇を利用してスポーツに親しむ姿がみられるようになっ
たがまだ普及の余地があるので、一層努力してまいりたい。
又、スポーツ振興審議会等においても県体の中に選手以外
を対象とした種目をとり入れスポーツ人口の拡大をはかるべ
きであるとの気運が高まった。
4 体育施設の整備について
体育、スポーツの普及振興に欠くことのできない学校体育、
社会体育施設の整備につとめたが、特に本年度は、学校プー
ル25、市町村民プール2の新設を加えて県下のプールの総数
は223を数えるにいたりましたが、本県の学校プールの設置
率は19.2%で全国平均27.7%にくらべ、はるかに劣っている
ので一層の努力が必要である。
5 学校給食の普及
昭和42年度以末における本県学校給食の現況は、完全給食、
補食給食、ミルク給食を含めて小・中学校ともに98%以上の
実施が行なわれている。しかし、学校給食の目標である完全
給食についてみると、小学校で全児童の84.8%、全学校数の
68.7%。中学校で全生徒数の36.7%、全学校数の43.8%とい
う状況である。
年間の伸びは小学校では全児童の約4%、中学校では全生
徒の6.8%が新たに完全給食を受けることになった。
県の長期総合教育計画では、小学校については昭和45年度
までに、中学校については昭和50年度までに、それぞれ100
%完全給食の実施をはかるべく策定されているが、小学校の
未実施校の多くは小規模校で特にへき地所在の学校であるた
め、完全給食開設のための条件が悪く、その実現のためには
強力な推進策がとられなければならない。また、中学校の完
全給食の実施率が低率であることは全国的傾向であるが、大
きな理由としては、市町村財政上の問題があり、特に財政硬
直化対策ともからんで、今後も容易なことではなかろうと思
われる。このほかに父兄の学校給食に対する関心の低さや、
中学校の教師の側における学校給食開設に対する消極的なこ
となどの原因もあり、これらの原因の排除のための方途を究
明し、その解決に努力を重ねなければならない。
6 学校保健の振興について
学校保健研究指定校による研究の推進は、学校保健の振興
に大いに貢献している。また、郡山市において開催した第2
回東北・北海道学校保健・安全研究大会は、本県学校保健の
向上のために、あずかって力があったのではないかと思われ
る。
本県の学校保健についての水準は、全国的にみて、決して
劣ってはいないが、地域または学校による格差の解消につい
ては、今後の努力にまつところが大である。
7 学校環境衛生指導の強化
昨年に引き続き学校環境衛生の維持改善については学校薬
剤師の協力を強化するとともに、環境衛生検査を実施するた
めに国庫補助による検査器具の充実をはかり、昭和42年度に
おいて設置された市町村は14に及び40年〜42年に設置された
総数は、42組の多きに及んだ。この数値は全国有数である。
更に、これが実施促進のため、福島市において、関東・東北・
北海道学校環境衛生講習会及び、県学校環境衛生講習会(薬
剤師)を開催し、関係者の資質向上につとめた。