教育年報1967年(S42)-172/194page
エ. 各段階ごとの活動形態の選定と各形態の練習方法の
樹立。
オ. 既習教材から新教材を理解するとか基本文から複雑
な文を矩推する女どの思考操作の手順の構成。
3) 実施事項
ア. 「英語科学習指導改善の視点と方法」 (第一集)を
まとめる。
イ. 生徒の「学習活動のしらべ」調査紙を作成する。
ウ. イの調査の予備調査 1月下旬 (信陵中)
エ. 授業分析より「英語科学習指導上の問題点」(第二
集)をまとめる。
オ. 前年度までの諸学力テストの資料を整備し、県の問
題点と実験学校の問題点をは握する。
4 高等学校における学力形成過程の研究
高等学校における学習指導上の問題点をとらえるため、調
査対象校とし4校を選びそれらの学校の昭和40年度入学者を
調査対象生徒とし3か年間追跡的に継続研究をおこなうこと
にし、本年度は研究の最終年度として研究のまとめにあたっ
た。この結果は研究記要57号にまとめ、指導改善の資料に役
立てるため、各高等学校に配布した。その内容の一端をのせ
る。
(1) 学力検査の結果について
入学時と入学後の学力の関係をとらえるために、入学時
に県診断標準学力検査、高校1年終了時に数学1について
教研式高校数学学力検査数学1を用いて学力検査を実施し
た。
高校1年終了時における平均、標準偏差はつぎのとおり
で、全国平均よりはるかに下まわり、変異係数の比較から、
集団内の学力差の大きいことがうかがわれる。
平均 標準偏差 変異係数 県 34.4 10.7 31 国 50 10 20
また、調査対象校の間における入学試験の数学の平均お
よび標準偏差について、それぞれ差は認められなかったが、
1年修了時における学力検査の結果について平均、標準偏
差においてそれぞれ学校差が認められ、平均において約5
点〜14点の差があらわれた。もし高校入試の結果が高校に
おける数学の履習の可能性をあらわす指標と考えるならば、
1年終了時においても各学校の間に学力差があらわれない
だろうという仮説が考えられる。しかし、これは、同じ条
件のもとに学習が進められているという仮定のもとに考え
られることである。ところが、このように1年終了時にお
いて各学校の間に有意差が認められたことは、学習の進め
方が同条件でなかったと考えられ、それは、学習指導の方
法の相異によるためではないかという仮説を考えることが
できるのでないだろうか。
つぎに、小問の正答率から考察をこころみてみる。この
検査問題は式とその計算 (44.8%)、方程式と不等式 (31.9
%)、関数とそのグラフ (27.0%)、平面図形と式 (39.8
%)、空間図形 (33.1%)、数学と論証 (34.4%)の6つの
分野からなっていて、これら各分野の平均正答率から「関
数とそのグラフ」「方程式と不等式」の分野が他に比して
低いことがわかり、さらに、到達率からも、これらの分野
が国全体との比較において特に劣っている。
(2) 授業に対する意識調査について
高等学校における学習指導の実態を、生徒の授業に対し
ての受けとり方からとらえようとして、この調査をおこな
った。ここでは、特に自由記述による調査結果の事例をと
りあげる。これは、高校における数学の学習に対する生徒
のもっている問題をとらえるため、「高校における学習に
おいて困っていること」について自由認述させたものであ
る。
1) 内容に関すること
「むずかしくてわからないことが多い」とか、「公式
の用い方がわからない」「応用がわからない」など学習
内容が抽象的になり、かつ高次になり、理解することの
困難であることに対する意見が主であった。
2) 学習のしかた、構え
予習・復習の必要性、自分で問題を解くことの大切さ、
数学の学習のしかたがわからないなど、自主的学習の構
えがみられると同時に、その学習のしかたに対する指導
をのぞんでいる。これについては、小・中学校において
も配慮し、自主的な学習態度を養うようにすべきである。
3) 授業への要望
授業に対しての生徒の受けとめ方、要望は、進度、指
導内容、指導方法の問題で、そのおもなものとして次の
ようなことがあげられる。
ア. 進み方が早く頭の中で整理するひまがなく、ついて
ゆけない。すぐれた人を基準にしている。
イ. 先生ひとりで進んでいる。理解しないうちに。
ウ. 基礎的な理解がじゅうぶんにできるように説明して
ほしい。授業中質問の時間がほしい。
5 診断的性格を帯びた福島県標準学力
検査問題の作成
(1) 目 的
昨年度からの継続事業として、本年度は、小学校3・4
年算数、小学校6年国語の問題改訂をとりあげた。
この学力検査は、県内の学力の実態をとらえ、福島県の
規模で標準化しようと意図したものである。したがって、
この検査を実施することによって、個々の児童・生徒、学
級・学校の全県的な位置づけができるしまた、個々の児童
・生徒の学力や、学級・学校の傾向を診断して今後の学習
資料とすることができる。
(2) 問題作成の経過
1) 事前の研究
問題作成にあたって、まず指導要領を分析し、ペーパ
ーテストでとらえることのできる範囲で検査領域を設定、
さらに県内で主に使用している教科書の内容を調査して、
検査問題の素材を整えた。
ア. 指導要領の分析
イ. 領域・観点の設定 4月〜6月
ウ. 教科書の分析
2) 問題の作成