教育年報1968年(S43)-056/197page
学校へ優秀な教員が転入する傾向が見られた。
(2) へき地学校教職員の経済的優遇策
へき地学校に勤務する教職員が、安定してその職責を遂
行できるようにという配慮と、へき地学校に優秀な教職員
を配置する目的をもって、次のような経済的優遇措置がと
られた。
1) 研修旅費の支給
へき地学校勤務教職員の研修旅費として人事委員会指
定に勤務する教員1人に対し、4,000円、また分校に勤
務する教員1人に対し、3,000円が支給された。
2) 4、5級地の学校に赴任する新採用教員に対する赴任
旅費の支給
3) へき地手当の支給
へき地勤務の困難さ、勤務する地域の特殊性にかんが
み、給料と扶養手当の月額との合計額に、1級地は8%、
2級は12%、3級は16%、4級は20%、5級は25%を乗
じて得た額が、へき地手当として毎月支給されている。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
人事委員会指定のへき地1級地から5級地の学校に勤
務した教職員に対し、1年間勤務について、5級地、4
級地は6ヵ月短縮昇給、3級地、2級地は4ヵ月短縮昇
給、1級地は3ヵ月短縮昇給の特別昇給制度が実施され
ている。
(3) へき地学校教職員の定数配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に、「都道府県は、へき
地学校に勤務する教員、及び職員の決定について、特別の
考慮を払わなければならない」とある。
さらに、今回の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教
職員定数の標準改善」について、本県としては、へき地学
校教職員の定数配置について、次のような特別措置を行な
った。
1) 小規模学校に対する補正教員(分校補正)の配置
〇分校3校以上を有する学校に教員1名を増員する。
〇本校3学級以下で、分校を有する学校に教員1人を増
負する。
2) 単級、複式学級を解消するための補正教員の配置
〇児童数10人以上の単級、及び5複に教員1名を増員し
解消をはかった。
〇児童数15人以上の4複に教員1名を増員した。
(4) 教育事務所指定校の解除
C地区学校数の県全体の学校数に対する割合が大きく、
当該学校に勤務する教職員数と、A、B地区学校に勤務す
る教職員数との割合が不均衡で、円滑なへき地交流が極め
て困難であるので、前年に引き続いて、教育事務所指定校
を下表のとおり解除した。ただし 解除期日は昭和44年3
月31日とした。
教育事務所指定校数
種別 年度 指定校数 学校数 県全体との比 小学校 昭和41年 117校 15% 〃42年 85 11 〃43年 67 9 〃44年 30 5
種別 年度 指定校数 学校数 県全体との比 中学校 昭和41年 33校 11% 〃42年 25 8 〃43年 22 7 〃44年 11 4 計 昭和41年 150 13 〃42年 110 10 〃43年 89 8 〃44年 41 5 (5) 学校、学級規模の適正化
本県のへき地学校には、小規模学校や分校が多く、また児
童・生徒数が少ないため、単級や複式学級が多いので学習
指導に困難をきたしている。
したがって、可能なかぎり学校の統廃合をはかり、教育
条件の改善をはかるための諸施策を講じてきた。
なお、本年度中に統廃合の行なわれた学校数は下記のと
おりである。
廃止学校数表
種別 本校 分校 季節分校 計 小学校 ― 12 5 17 中学校 3 2 1 6 計 3 14 6 23
(注) この表は、人事委員会、へき地教育振興会、教育事
務所指定のみを示す。
(6) 寄宿舎、スクールバスの設置
1) 寄宿舎の設置
寄宿舎に関する調査(43.11.1)
通年制 季節制 合計 寄宿舎数 児童・ 生徒数 寄宿舎数 児童・ 生徒数 寄宿舎数 児童・ 生徒数 小学校 ― ― 9 149 9 149 中学校 4 89 30 1,274 34 1,363 計 4 89 39 1,423 43 1,512
2) スクールバスの設置
〇国庫補助によるもの 2台
〇市町村費によるもの
〇ジープ(国庫補助による)
3 今後の問題点
(1) へき地教職員の充実をはかること
へき地には、経験の浅い若年層の教員が多く、中堅層の
教職員が少ない。したがって、へき地派遣制度の充実、へ
き地優先の人事行政の推進と相まって、経済的優遇措置を
講じて、教員の受入れ体制を整備する必要がある。
(2) C地区学校指定を検討する
円滑なへき地交流を実施するためには、へき地学校勤務
年限と、C地区学校数の県全体の学校数に対する割合との
バランスをとらなければならない。
したがって、早急に長期の見とおしの上に立ったC地区
学校指定の改訂を行なう必要があり、また、へき地学校が