教育年報1968年(S43)-080/197page

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を残し、本県道徳教育の推進に多大の影響を与えている。

 しかし、認識や実践の深さには今も学校による格差が見ら

れ、また地域的にも格差が認められる。一般的には次の諸点

に問題がある。

(1) 道徳教育に対する理解や関心と、その実践について、学

 校格差がある。

(2) 道徳教育の目標や道徳教育観について、その理解の共有

 がふじゅうぶんである。

(3) 全体計画は漸次整備されてきているが、まだ、しっかり

 した自校の計画を持たない学校も少なくない。

(4) 年間指導計画や主題の展開案等の指導計画は、研究学校

 などではすぐれたものを持っているし、地域カリキュラム

 の整備を終って、自校化を進めているところもある。小規

 模校や研究の低調な地域の学校ほど自校計画の整備が遅れ、

 地域差、学校差を更に増大している。

(5) 道徳の時間の指導は一般に安定充実してきているが、学校の

 全教育活動を通じて行なうべき道徳教育が、責任のすべて

 を道徳の時間の指導に背負わせている傾向もあり、道徳の

 時間の重視ということがかえって道徳教育の充実、道徳的

 価値の実践化をはばむ結果になりかねない状況にあること

 には留意しなければならない。

(6) 道徳の時間の指導過程の類型化の研究が進められ各種の

 原型や基本型が提案されているが、それがかえって指導の

 マンネリズムの原因となっていることは、その運用につい

 ての教師の主体性の欠除と思われる。

(7) 道徳の時間の指導資料の整備充実も着々として図られて

 いる。特に研究学校における教師の自作資料の開発は授業

 研究の実績をさらに着実なものにしている。ただ、「読み

 物」資料だけに片寄ることなく視聴覚教材や戯化など、

 多様な指導方法や指導資料を主題のねらいに即応して有効

 に幅広く活用することが望ましい。

(8) 資料の持つ道徳的価値の分析がじゅうぶんでなく資料に

 流された展開になりやすい。

(9) 道徳の評価は、教科学習に比較して、数量化して評定で

 きるようなものではないだけに、その評価法について困難

 を感じている。

 以上の問題点をふまえて、昭和43年度においては、次の諸

点を「道徳教育の努力重点目標」として設定した。

 1 道徳教育の全体計画を整備充実し、全教育活動

   を通して道徳教育を進めるよう配慮する。

(1) 道徳教育の目標・道徳の時間の指導目標を明確にする。

(2) 道徳教育の方針を明確にする。

(3) 道徳教育の学年目標や、学年のおもな指導内容を明確に

 する。

(4) 教育課程における「道徳」の時間の位置づけを明確にす

 る。

(5) 教育課程の各領域、教育課程以外の教育活動の中で行な

 われる道徳教育のすすめかたや、相互の関連を明確にする。

(6) 学校で行なう道徳教育と家庭・社会で行なう道徳教育と

 の関連を明確にする。

(7) 学校の環境構成についての基本方針を明確にする。

 2 道徳の時間の指導の改善を図る

(1) 主題のねらいを明確にし、どのような道徳的価値をめざ

 しているかを明らかにする。

(2) めざす道徳的価値は児童・生徒の生活の中でどのような

 受け取り方をされ、どのような問題をおこしているかを明

 らかにする。

(3) 資料はどのような道徳的価値をふくみ、どのような価値

 構造をもっているかを明らかにする。

(4) 資料に対する児童・生徒の反応を的確におさえる。

(5) どのような指導法を利用するかを明らかにする。

 3 道徳の時間の資料の整備と活用につとめる

(1) 資料の果たす役割りを正しく理解する。

(2) 資料の活用についての研究を深める。

(3) 主題のねらいから資料の再構成を図る。

 昭和43年度においては、道徳教育の推進を図るため次のよ

うな講習会、研究会が開催された。

 1 小学校教育課程研究集会一道徳部会

(1) 研究主題

  「基本的行動様式に関する主題の指導について」

(2) 期  日

  10月14日〜15日(2日間)

(3) 会  場

  二本松市立二本松北小学校

 2 中学校教育課程研究集会 道徳部会

(1) 研究主題

  「指導効果を高める資料の活用と整備について」

  「男女の理解と協力に関する主題の指導について」

(2) 期  日

  9月25日〜26日(2日間)

(3) 会  場

  郡山市立小原田中学校

 3 小学校・中学校教育課程研究発表大会

(1) 期  日

  小学校………

  中学校………11月14日・15日・16日(3日間)

(2) 会  場

  国立教育会館、その他

(3) 概  況

  本県からは小・中学校とも2名ずつ参加し、全国共通問

 題および県問題を中心にして研究協議した。

 4 昭和43年度中学校道徳教育指導者講習会への参加

(1) 期  日

  5月22日・23日・24日(3日間)

(2) 会  場

  新潟市 新潟県民会館 その他

(3) 参加範囲、参加者



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