教育年報1968年(S43)-171/197page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

福島県教育研究所

  第1節 概      要

 本県教育の進歩および改善に必要な諸問題を調査研究し、

本県教育の伸展に寄与する目的をもって、教育研究所は次の

ような体制のもとで、各領域にわたる調査と研究および教職

の研修業務に従事した。

 1 事 務 分 掌

(1) 総 務 係

  予算の経理、文書の収受、発送、編集、物品の出納、そ

 の他諸係の所掌に属さないこと。教育図書室の運営に関す

 る事務。

(2) 研 究 係

 1) 教育に関する専門的技術的事項の調査研究ならびに指

  導助言に関すること。

 2) 教育に関する調査研究資料の編集および刊行に関する

  こと。

(3) 研 修 係

 1) 教育職員の研修に関すること。

 2) 教育相談に関すること。

  第2節 教育研究

 本年度は前年度の継続研究として3つの研究主題をとりあ

げそれらの研究にあたった。そのうち、昭和41年度から3ヵ

年計画で研究を進めてきた「地域教育振興に関する研究」お

よび「学習指導改善に関する研究」は研究の最終年度にあた

り、「家庭と子ども」に関する研究は研究第2年次としての

研究である。

 ここで、「地域教育振興に関する研究」と「学習指導に関

する研究」とは実験学校の教職員を研究員に委嘱し、教育現

場との共同による実証的研究である。

 この「地域教育振興に関する研究」は伊達町地区の小・中

学校を実験学校に設定し、小・中一貫した指導理念に立った

教育の実践により、児童・生徒の学力の向上をはかり、地域

の教育振興の基盤を確立することを目的とした研究であり、

「学習指導改善に関する研究」は福島市立松陵中学校を実験

学校に設定し、社会、理科、英語を研究教科としての研究で

ある。理科については、全国教育研究所連盟の「学習指導の

近代化」に関する共同研究の1つとしてあわせ研究を行なっ

ている。

 これらの研究の趣旨の理解をはかるとともに指導上の参考

資料の提供を目的として、昭和43年11月12・13の両日、本庁お

よび教育事務所の指導主事および一般の教員を対象として研

究の中間報告会を行なった。

  1 地域教育振興に関する研究一その基盤と

    しての学力向上

(1) 意     義

  地域教育振興に関する研究とは、地域における直接的な

 政治的、経済的、文化的、社会的な教育問題の解決にあた

 る研究ではなくして、その基盤になる問題を学力向上とい

 う視点において、おさえこの問題の解決をはかることによ

 って、地域教育全般の振興の基礎づくりを行なおうとする

 ものである。

(2) 研 究 内 容

  「地域教育振興に関する研究」で究極的に志向している

 ことは、正しい学力観にもとづいた学力の向上である。そ

 して、正しい学力観にもとづいた学力の向上をはかる具体

 的な方策として、つぎのことを実践するのである。そうす

 ることによって学力向上が実際に効果をあげ得ると考える

 のである。

 1) 「望ましい学習指導法の組織化」の理論と手法を洗練

  しその習熟をはかる。

 2) 地域の小学校と中学校、学校と家庭がそれぞれの教育

  活動において機能的に協力していく。

 3) 教科指導と生徒指導が一体化されるような学習指導を

  する。

(3) 研究経過の概要

 1) 研究計画

  ア. 第3年次研究の重点

  〇「組織化」の手法をさらに洗練すること。とくに、

   (ア)学習課程や予習的課題をみずからの手で生みだ

    し、責任をもってそれを解決してくるような子ども

    に育てること。

   (イ)学習の結果を自分の総力をあげてたしかめるよう

    な態度を育てること。

   (ウ)教師対子どもの形から、子ども対子どもで問題を

    解決するように努力すること。

   (エ)単位時間内にきちんと終わること。

  〇教科指導と生徒指導の一体化を深めるために、「個別

   化・集団化」に意を用い、内的報酬や成功感を味わわ

   せるように努力すること。

   (ア)発表のしかた、話しあいのしかたをさらに洗練し、

    子どもと子どもの間に意見が交換され対話が生ずる

    ようにすること。

   (イ)教科、教材の学習方法訓練を実施し、ひとりで学

    習できる自信と能力を身につけてやること。

   (ウ)課題解決に、責任と協力の必要さを、しみじみ感

    じさせるようにすること。

  〇家庭の協力については、前年度の努力事項にさらに

   (ア)家庭学習を積極的、計画的、継続的に実施できる

    ようにはげましてやること。

   (イ)物をたいせつにし、自分のみのまわりのことはき

    ちんとさせること。

   (ウ)テレビの視聴をじょうずにさせること。

  イ. 実験地域

   地域 伊達郡伊達町

   学校 伊達町立伊達中学校

       〃  伊達小学校

       〃  伏黒小学校

       〃  箱崎小学校

 2) 研究の進め方

  ア. 研究教科の拡大をはかり「望ましい学習指導法の組

   織化」を適用しその習熟をはった。

    「望ましい学習指導法の組織化」の手法に習熟させ

   るために小学校においては1教科、中学校においては

   5教科にしぼって授業研究をとおしてその洗練をはか

   ってきたが、本年度は最終年次であるので研究教科を

   小学校においては1教科、中学校では全教科に拡大した。



[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。