教育年報1968年(S43)-173/197page

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    対象 1年生全員 昭和42年  6月実施

  (イ)福島県診断 標準学力テスト  (中学1年)

    対象 1年生全員 昭和43年 3月実施

 イ. 授業の実態調査

  (ア)平常の授業観察観察 〇学力検査にあらわれた学力

  (イ)授業研究      の欠陥の要因をさぐる。

 ウ. 仮説の樹立

   問題解決力を高めるための基本的な学習過程を5段

  階に設定し、各段階に応じた学習の手順を示すことに

  よって、積極的に課題の克服にたち向う能動的な学習

  が成立し、問題解決力を向上させることができるであ

  ろうという仮説を設定した。

 エ. 検証構想の樹立

   問題解決学習を取り入れて、学習指導法を改善する

  ために、地理的分野は、111組の対をつくり、t、F

  検定をおこない条件統制に基づく二群法で、歴史的分

  野は一群法によって、次のことがらを究明する。

  (ア)文章や統計あるいは視聴覚教材などの提示によっ

   て問題場面に直面させることが、積極的に学習にた

   ち向う能動的な学習場面を形成させ、問題意識の保

   持や発展に効果的である。

  (イ)学習課題や教材の内容に応じて、比較、条件、因

   果、関連、発展の思考因子をとり入れて考えさせる

   ことが、効果的に問題を解決する能力を身につけさ

   せることができる。

  (ウ)話しあいの手順や資料の見方、生かし方の視点を

   明示し、その技能を習熟させることが、ひとりひと

   りの能動的な学習を成立させ、問題解決力をつける

   のに効果的である。

    実験授業

   (ア)第1回 題材 階と唐      43年  5月

   (イ)第2回 題材 武士のおこり   43年  6月

   (ウ)第3回 題材 濃尾平野の農業  43年  7月

   (エ)第4回 題材 北海道の農業   43年  9月

   (オ)第5回 題材 身分制度     43年  9月

   (カ)第6回 題材 日本の農業    43年 10月

3) 結果の考察

 ア. 事後テストの結果

  (ア)地理的分野(二群法)、濃尾平野の農業、知識理

   解(to=5.56、to>t0.01)思考、(to=

   2.73、to>t0.01)北海道の農業、思考(to

   =2.69、to>t0.01)、日本の農業、思考

   (to=2.04、to>t0.05)の有意水準で有意

   差が認められた。

  (イ)歴史的分野においては、検定の結果、知識、理解

   は41間中34問、思考は61間中56問に有意差が認めら

   れた。

 イ. 授業分折の結果、実験群は統制群よりも発言数が多

  く、問題を追求しようとする能動的な学習がみられ、

  特につぎの点において効果的であった。

  (ア)外界の刺激によって問題場面に直面させる。

  (イ)思考操作による思考形式をとり入れる。

  (ウ)学習の手順を示して技能を習熟させる。

 ウ. 学習諸調査の結果、小集団での話しあいの内容や学

  習方法、ノートなどの変容がみられた。

4) 問題点と改善点

 ア. 研究方法についての問題点と改善点

  (ア)二群法による検証にあたって、条件統制を再吟味

   しなければならない。

  (イ)実験授業のねらい(技能の習熟など)によって、

   学習方法の訓練が前提条件となるので、学習方法の

   訓練を徹底しておかなければならない。

 イ. 研究内容についての問題点と改善点

  (ア)教材の特質に応じて、1時間の場合と小単元を通

   して基本的な5段階の過程を踏む場合がでてくるの

   で、学習過程を類型化しなければならない。

  (イ)予想内容を検討し、整理しなければならない。

        理     科

1) ね ら い

  発見学習を効果的にするための指導過程の組織化につ

 いて実証的に研究し、学習指導法改善に資する。

2) 内   容

 ア. 基礎調査

   実験授業の基礎資料として、次の調査を実施した。

  (ア)教研式、中学校学年別知能検査(中学1年)

      対象 松陵中学校・安達中学校1年生

      期日 昭和43年4月

  (イ)福島県診断・標準学力テスト・理科(小学6年)

      対象 松陵中学校・安達中学校1年生

      期日 昭和43年5月

  (ウ)昭和40年度・全国学力調査・理科(中学2年)の

   問題による学力検査の実施

      対象 松陵中学校2年生

      期日 昭和43年6月

 イ. 実験授業

   理論にもとづいた授業を行ない、発見学習の指導過程

  を実証的に究明し、あわせて、その有効性をたしかめた。

    第1学年   水の合成       6月

          融解と凝固     11月(2月)

    第2学年   音の性質       5月

          酸とアルカリの反応  9月

          電流と電圧     11月

 ウ. 結   果

  (ア)発見学習の理論の概略

    発見学習とは、知識・技能が生成してきた過程を、

   やさしく組みなおして、生徒自身にその過程を歩ま

   せ、再生産させる学習方式、すなわち、生徒が主体

   的に学習の対象に働きかけ、既有経験を基礎として

   原理や法則などを発見させていく学習である。

    発見学習を成立させるためには、教材の構造化・

   学習指導過程・評価の3つの視点から研究しなけれ

   ばならない。

    教材構造は、中心観念と基本要素からなる教材の

   仕組みとしてとらえた。

    発見学習は、問題は握→予想→検証→考察→適用

   のプロセスをもつもめとしてとらえた。発見学習の

   評価においては、応用力と転移力とを直接的応用力

   と間接的応用力とに区別した。

  (イ)実験授業によって究明されたことがら

   (a)テストの結果を分折する次のようなことがいえる。

    〇「原理や法則などそれ自体の理解」や「事実、

     現象それ自体のは握」などに比べて、原理や法

     則の応用」がすぐれている。

    〇発見学習は、知識、理解については、提示学

     習よりすぐれているとはいえない。

    〇発見学習は、応用力の育成については、提示学

     習よりすぐれている。

    〇発見学習は、転移力の育成については、提示学

     習よりすぐれている。

   (b)授業にみられる変容



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