教育年報1968年(S43)-174/197page

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     〇生徒と教師も、予想をたてたり、検証の方法を

      考えたりすることにとまどいがちであったが、回

      をかさねるにしたがって、生徒がかなり活動的

      になってきた。

     〇生徒が自分の力で、問題は握から適用まで発見

      学習のプロセスを完全にたどれる生徒はわずか

      であった。しかし、各段階の学習を成立させる

      ために、各段階ごとに、個別化と集団化をはか

      ることによって、かなり多くの生徒が発見学習

      をたどることができるようになった。

     〇学習の過程を大切にするために、どうしても時

      間がかかりすぎたが、学習方法を訓練すること

      によって、ある程度時間の短縮をはかることが

      できた。

   (ウ)今後の問題点

     2年間の研究において、理論的に発見学習の輪郭が

    わかり、実験授業によってその長所を確することができた。

     しかし、発見学習の学習過程に比べて、教材の構

    造化、評価の研究は、理論的な面でも実際の授業の

    面でも立ち遅れている。

         英  語  科

 1) 研究のねらい

  ア. 機械的口頭練習の弊害を除去するために、日、英両

   語の発想や文の構造の相異を理解させる操作手順をう

   ちたてる。

  イ. 均衝のとれた4技能の運用力を高めるために、各活

   動段階での各技能の位置づけや関連を明確にする。

 2) 研究問題

  ア. 英語科における指導過程の組みたての再吟味

  イ. 学習活動の型の確立と学習方法訓練の理論構成

  ウ. 段階ごとの重点技能と関連技能の設定と操作手順

  エ. 各段階ごとの活動形態の選定とそれの練習方法。

  オ. 既習教材から新出教材を理解させる教材の操作方法

 3) 研究内容

  ア. 授業の実態調査

   (ア)1単位時間における4技能の活動量をとらえる。

     実験授業案を用いて指導した結果の生徒の表現活

    動を中心に、各技能の活動率をとらえる。

   (イ)英文構成過程の要素からその障害をとらえる。

     音声再生、語の配列、スペリングの各能力をしら

    べ、英作文ができない要因をは握する。

   (ウ)既習語(や文)、新出語(や文)が事前にどれだ

    け予習されているかをしらべる。

   (オ)平常授業の観察から、学習指導法の問題点をとら

    え、改善策をうちたてる。

  イ. 学力の実態調査

   (ア)福島県診断標準学力テスト(中学1年)

       対象 2年生全員 昭和41年 6月実施

   (イ)福島県診断標準学力テスト(中学1年)

       対象 1年生全員 昭和42年

  ウ. 改善の視点を樹立

    教材の取扱い方(3点)、指導過程の組みたて方

   (2点)、学習形態の工夫(2点)を柱として英語教育

   及び指導の改善方向を示唆する。さらに、これらの中

   から4技能の習熟に関連する事項を取りあげて、改善

   点を焦点化し、それにもとづいて"授業構造"をうち

   たて、実験授業案を作成する。

  エ. 検証構想の樹立

    実験授業案を用いて指導を継続し、実験単元には授

   業分析及び事前と事後のテスト(自作問題)を実施し

   て、実験授業案による指導の効果を検証する。(一群法)

   (ア)4技能の活動量と4技能の学力との関連をは握する。

   (イ)各段階ごとの4技能を中心とした操作方法の効果

    をは握する。

   (ウ)表現活動にあらわれた生徒の質的変容を事例的に

    とらえる。

   (エ)紙上テストと面接テストで、知識・理解と技能と

    の関連をは握する。

 4) 結果の考察

  ア. 授業分析の結果

    音声再生、音声模倣、暗唱、発問への応答など「話

   すこと」の表現技能が目立って伸びている。また「読

   むこと」の中で、自力で読む力がついてきている。

   「書くこと」の中で、その基礎的能力の語を配列する

   力が伸びている、などが指摘できる。

  イ. 事前・事後テストの結果

    4技能について、3学級にX2検定の結果、各技能10問中

   Hearinでは9問、Speakingでは9問、Readingでは

   9問、Writingでは10問に有意差が認められた。

 5) 問題点と改善点

  ア. 研究方法についての問題

   (ア)事前テストにおいて予習が十分なされていると事

    前テストの結果がよすぎて、事後との差が小さい。

    したがって、予習を統制しなければならない。

   (イ)実験授業案による教師の指導法の習熟度や学習方

    法の訓練による生後の習熟度によって効果の度合も

    変るとすれば、これらに十分洗練した時にテストを

    実施しなければならない。

  イ. 研究内容についての問題

    音声再生や語の配列の能力が向上すれば、これに平

   行して「書く力」も高まるのだが、どのように高まっ

   ても両者に一定の差はある。この差をちぢめる方法を

   考えねばならない。

 3.家庭と子どもに関する研究

 昨年度は、研究の基本構想についてふれておいたが、「家

庭と子ども」というとらえ方は、いかにも巨視的であるので、

今年度は、「社宅における母親の育児態度および育児型式―

主として就業主婦と専業主婦の比較において―」を研究主題

として、調査研究を進めたわけである。

 本稿には、研究の趣旨と計画の一部を載せるので、詳しく

は、5月発行予定の報告書を参照いただきたい。

(1) 研究の趣旨

  休日に、子どものおもちゃ売場をのぞいてみると、目を

 輝かしてつかんだおもちゃを離さない子ども、じだんだを

 踏む子ども、大声で泣きわめく子ども、母親のそでを盛ん

 にひっぱる子ども、しくしくと泣きじゃくる子ども、みれ

 んげに立ち去る子ども等、けんそう(喧躁)の中にもほほ

 えましい情景を見ることができよう。そして、それらの子

 どもの欲求に対処しようとする、多種多様な母親の態度に

 も接することができよう。

  このような子どもの態度に影響を与えるものは、家庭を

 とりまく社会環境・家庭環境、家族間の人間関係、子ども

 の友人関係、マス・コミ等、たくさんあるのであろうが、

 その中でもっとも大きな影響を与えるものは母親の育児態

 度であることは容易に想像することができる。

  この母親の育児態度を、ある側面からすくい上げて一定

 の型に分類整理し、傾向を調べてみたならば、家庭教育機

 能の一端にアプローチする手がかりが得られるのではない

 か、というのが研究の発端である。



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