教育年報1968年(S43)-176/197page
当研究所でとりあげている「地域教育振興に関する研究」
と「学習指導改善に関する研究」について、研究の趣旨・
内容について理解を深めるとともに、学習指導改善の資料
を提供する目的でつぎの内容により研究報告会をおこなった。
1) 地域教育振興に関する研究の報告会
ア. 期 日 昭和43年11月12日
イ. 参加者 本庁および教育事務所の指導主事、参加希
望教員、約400名
ウ. 内 容 研究の概要報告と授業公開
エ. 場 所 伊達中学校、伊達、伏黒、箱崎小学校
2) 学習指導改善に関する研究の報告会
ア. 期 日 昭和43年11月13日
イ. 参加者 本庁および教育事務所の指導主事
ウ. 内 容 研究の概要報告と授業研究
エ. 場 所 福島市立松陵中学校
5 全国教育研究所連盟共同研究参加
―学習指導の改善に関する調査―
全国教育研究所連盟において「学習指導の近代化」につい
て共同研究を行なっている。その基礎的な調査として「学習
指導の改善に関する調査」をとりあげたので、当研究所にお
いてもこれに参加するとともに本県の実態をとらえるように
調査計画を立て調査した。
(1) 調査の目的・内容
学習指導の近代化ということを、現場の教師がどのよう
に受けとめているか、また、どのような指導観をもってい
るかは握し、学習指導改善のため基礎資料として役立てる
ため。
1) 教材に関すること。2) 児童・生徒に関すること。
3) 学習形態に関すること。4) 教援形態に関すること。
5) 学習指導の近代化に関する一般的な事項。
について調査する。
(2) 調査の方法
1) 調査対象者は、県内小・中学校職員で、校長、教頭、
養護教諭、事務職員などを除く。
2) 抽出率を2.5%として、323人を抽出調査をした。そ
の調査対象者の内訳は次のとおりである。
3) 抽出にあたっては性別による比例無作為抽出として、
経験年数の層別も考慮する。
小学校 男(93人) 女(106人) 計199人
中学校 男(89人) 女( 35人) 計124人
(3)結果の考察
結果について一部をのせる。詳細については報告書を参
照すること。
「学習指導の近代化」ということばから、あなたの感じ
はつぎのどれに最も近いか。という設問により次の選択肢
によって調査した。その結果は次のとおりである。
ア. 指導内容の精選 イ. ひとりひとりの能力を伸ばす指
導法のくふう ウ. 学習形態のくふう エ. 教科担任
制をとりいれた救援組織 オ. 新しい教具をとりいれる。
全般的に「児童・生徒ひとりひとりの能力を伸ばす指導
法をくふうすること」に対する反応が多く、その比率は、
小学校40.7%中学校43.5%となっている。これについで、
小学校は「指導内容の精選」29.1%、中学校は「学習形態
のくふう」25.0%と「指導内容の精選」22.6%となってい
て、指導内容を精選して重点的に指導することと受けとめ
ているのが小・中とも約1/4程度である。
科学技術の急速な進歩発展に伴なう知識の量の増加の時
代に対処する教育としての意識の一端を察知することがで
きると考えられる。小学校において、学習形態をくふうして
指導の効果を高めることと受けとめている意識が比較的す
くないようである。
第3節 研 修
研究所がおこなう教職員の研修は主として、長期的におこ
なわれる研修と、学校、地域の教育活動を推進させるため、
特に教育研究法を習得することを目的とする研修で、本年度
に実施した事業はつぎのとおりである。
1 長 期 研 修
(1) 目 的
研究所でとりあげている研究に現場の教員を参加させ、
学習指導法および教育研究法を習得させ、学校および地域
における教育活動の推進者とする。
(2) 研 究 内 容
1) 国語、社会、算数、数学、理科、英語についての教材
研究
2) 児童・生徒の認識・思考過程の分折
3) 望ましい学習指導法
4) 教科指導と生徒指導の統合
5) 小学校・中学校一貫した教育のすすめかた。
(3) 研究の場所
1) 福島県教育研究所
2) 「地域教育振興に関する研究」の実験校伊達町立、小・中学校
3) 「学習指導法改善のための研究」の実験校福島市立松陵中学校
(4) 研修の期間
昭和43年4月1日より昭和44年3月31日までの1ヵ年
間
(5) 研 修 員
小学校教諭1名、中学校教諭3名、計4名で研究教科は、
社会1、理科2、英語1である。
2 地域研修指導者養成講座
(1) 目 的
福島県教育研究所条例による教員の研修で、教員の資質
を高め、それぞれの学校、地域の教育活動を推進し、本県
教育の向上発展をはかるものである。
(2) 研修期間
昭和43年5月20日より、昭和44年2月26日までの約1ヵ
年間、ただし定期的に研究所に来所して研修は、この間24
日(3日ずつ8回)である。
(3) 研修内容および方法
1) 研修は、学習指導、生徒指導など実践上の諸問題から
研究主題をえらび、教育研究所における講義、演習、相
談、在職校(地域)での実験研究により、主として教育
研究法、教育調査、教育方法について研究を深めた。
2) 研究の主題は、国語、社会、算数、教学、理科、英語、
生徒指導の中からえらんだ。
3) 研修の方法は、研究主題について、それぞれの学校、
地域の教員と共同で実験研究をおこない、定期に来所し
て指導助言を受けるようにした。
4) 研究所での研修内容はつぎのとおりである。
ア. 講 義
(ア)教育研究法
(イ)教育調査
(ウ)教育方法
(エ)教育心理