教育年報1969年(S44)-111/241page
9) 研究協義
「複式学級指導上の諸問題について」
2 山村教育研究会
(1) 中通り地区研究大会
1) 期 日 9月30日(火)
2) 会 場 田村郡大越町立早稲川小学校
3) 研究主題
「山村へき地の小規模校における個別指導のための
学習指導法の研究」
4) 講 師
福島県教育庁県中教育事務所長 遠藤伊雄
福島県教育庁県中教育指導主事 田崎富雄
5) 研究内容
ア. 研究発表
〇 ひとりひとりの学力を高めるために指導過程をどの
ように組織したらよいか。
田村郡大越町立早稲川小学校 中目貞夫教諭
〇 本校における学力向上対策
伊達郡川俣町立山木屋小学校 高荒敏一教頭
〇 診断カルテを利用した学習指導
東白川郡塙町立笹原小学校木野反分校 横島芳男教諭
イ. 報 告
〇 昭和44年度全国へき地教育研究大会に参加して
郡山市立御館小学校 鎌田光江教諭
ウ. 討議内容
〇 複式学級における話し合い活動をどう進めたらよい
か。
〇 家庭における学習のしかたをどう訓練したらよいか。
(2) 浜通り大会
1) 期 日 昭和44年10月23日(木)
2) 会 場 相馬市立玉野小学校
3) 研究主題
「山村における効果的指導法」
(発表力を高める指導法)
4) 講 師
福島県教育庁義務教育課主幹 岡部一三
相双教育事務所指導課長 小笠原弘
相双教育事務所指導主事 小野田宗郎
相双教育事務所指導主事 松田源治
5) 分科会
ア. 第1分科会
研究発表テーマ1 「テレビ、ラジオを活用して」
内容 視野を広めるために、視聴の機会を与える努
力をし、視聴前後における正しい話し方指導に
力を入れてきた。その結果楽しんできく、注意
してきく態度が身についてきた。
研究発表テーマ2 「思ったことを文にまとめて表現
する力をのばす指導」
内容 文で表現することに重荷を持たせず、書くこ
とに自信を持たせ、すすんで書く態度を育てる
ための工夫をした。
研究発表テーマ3 「視聴覚を利用した指導法」
内容 複式指導法を改善し、効果的な指導をするた
めのテープ式録音機利用の工夫。
研究発表テーマ4 「シート式磁気録音機の積極的利
用」
内容 複式学級において自主的学習への取り組み、
および内面的な学習訓練をさせるためのシート
教材作成について
イ. 第2分科会
研究発表テーマ1 「複々式学習指導の実際」
内容 発表力をのばすための諸施策の実践について
研究発表テーマ2 「学級会活動において発表力を高
める指導法」
内容 学級話し合い活動を活発にさせるための議題
の決定、場の構成、技術的指導面……について
の研究実践。
研究発表テーマ3 「小集団学習について」
内容 児童ひとりひとりが学習課題を意識し、仲間
同志で解決していくために、児童の能力や特性
を生かしたグループの編成のしかた、および取
り扱い上のくふうについて、実践研究の経過報
告。個人思考と集団思考のかね合い。
6) 全体会……指導講評の概略
ア. 県教育庁義務教育課主幹 岡部一三
A. 教育研究のあり方について
a. 主題のとらえ方
主題は直接自分の問題としてとらえられるべき
ものである。この点本校は、児童の実態をはあく
し、問題を適確にとらえて設定されている。
b. 研究の進め方
実践的研究と実証的研究に大別されるが現在多
くとられる方法は後者である。
問題―仮説―実証
能力測定―問題発見―仮説―実証
集録にみる本校の研究の進め方は望ましい方向に
進んでいる。
c. 研究のまとめ方
実践(実証、結果)の分野を大事にまとめるべ
きである。
B. のぞましい授業
授業はこどもにアイデアを生み出させることで、
「どう考えたらよいか」を発見させることである。
イ. 相双教育事務所指導課長 小笠原弘
A. 山村教育の効果的指導法
現在、平地校においても過疎化、小規模校化の現
象が目立っている。
児童ひとりひとりを伸ばすために、山村教育の研究
成果をとり入れ、かつ研究してほしい。
B. 主体的学習への迫り方として
a. 小集団学習
効果的な方法の一つであるが、オールマイティ
ーではない。教科教材によってその効果を発揮さ
せるようくふうすべきである。
b. 予習的課題学習