教育年報1969年(S44)-137/241page
第5章 社会教育
第1節 社会教育一般
1 概 要
技術革新の進展、産業経済の高度成長、都市化現象の進行
等は、本県のいたるところの地域にもそれらの影響を与え、
県民の生活様式に大きな変容をもたらしている。
この急激にして、多面な社会の変ぼうに対処し、すべての
地域住民に、その職能をみがき、教養を高め、生活にうるお
いと生きがいを与える組織的な学習の機会を、学校を終えて
後も、生涯を通して提供する社会教育の使命はきわめて重要
であり、青少年教育より成人教育、高齢者教育に至る一貫し
た生涯教育の構想を確立する必要にせまられている。
本年度は、市町村教育委員会ならびに関係機関団体との協
力体制を強化し、教育行政の果たす固有の役割と独自の領域
を明確にして、本県社会教育伸展に努力した。
(1) 社会教育施設の拡充整備
本県における社会教育施設は、質的、量的にじゅうぶん
とはいえない。社会教育の発展をはかるためその基幹的施
設である公民館の計画的整備について指導し拡充をはかっ
た。
1) 公民館等の整備をはかるための県費補助(450万円)国
庫補助による公民館新築(8館)
2) 国庫補助による博物館新築(1館)県費補助
3) 文化センターの建設
4) 歴史資料館の建設
5) 社会教育諸施設の機能調査と活用
(2) 指導体制の充実強化
多くの住民に学習意欲を喚起し、学習参加の機会を提供
し、実態を的確には握し判断し、適切な資料を準備する等
指導者により高い専門性が要請されるので研修を強化し、
民間指導者との提携を図り指導者層の拡充に努めた。
1) 社会教育主事の設置の促進
2) 社会教育関係職員、指導者の研修会の開催
3) 青年学級研究協議会、都市勤労青年振興協議会の活動
の強化と資料の作成
4) 県社会教育委員、青年、婦人教育指導員の活動強化
(3) 学級・講座等の内容の刷新充実
社会教育は自主的な自己教育の確立にある。学習内容の
質を高め、その運営を刷新して、魅力ある学習の場に充実
し、住民が当面する生活課題を主体的に学習する態度の確
立に努めた。
青年学級131、青年学校4、成人学校16、家庭教育学級
356、婦人学級763、高等学校開放講座8、高齢者学級
167の開設をみた。
1) 研究学級、実験学級の委嘱による研究の推進
2) 各種研究集会の内容の刷新、充実
3) 各種資料の作成、資料の提供
(4) 社会教育関係団体の育成助長
地域の生活に密着し、都市化に流動する地域社会にあっ
て、新たな秩序を確立し、市民性と活気とを回復する健全
な団体、集団の育成をはかり、その指導者の養成につとめ
た。とくにPTAは本来の目的のもとに再検討し、社会教
育の中核的な組織団体として育成した。
1) 指導者の養成と研修機会の提供
2) 団体指導者のための指導資料の作成
3) 団体育成助長のための県費補助
4) 研究PTA委嘱、PTA研究協議会の開催等によりP
TA活動の助長
(5) 芸術文化の振興と郷土の伝統的な文化財の保護
創造性豊かな県民の育成をめざして、本年度は文化活動
のにない手の養成、優れた芸術の地方巡回等、文化活動の
底辺を拡大する施策を講じた。
また、県民の貴重な文化遺産の保護をはかる一方、文化
財愛護精神の高揚につとめた。
1) 芸術文化指導者の養成
2) すぐれた芸術文化活動の育成助長
3) 開発事業に伴う文化財保存施策の強化
4) 指定文化財の保存、管理の強化
5) 文化財愛護思想の高揚
2 市町村社会教育主事研修会
(1) 目 的
社会経済の急激な進展に伴い、本県社会教育のいっそう
の充実、振興を期するため、市町村の社会教育主事等に対
し、こんにちの社会教育をすすめていくために必要な基礎
的教養の研修を行ない、もってその資質の向上と指導力の
強化をはかる。
(2) 期日・会場・参加者数
1) 期 日 9月17日〜9月20日
2) 会 場 福島市高湯白雪荘
3) 参加者数 40名
(3) 講 師
文部省社会教育局視聴覚教育課長 五十嵐淳
国立社会教育研修所主幹 湯上二郎
福島大学教授 古籏安好
福島大学教授 岡村益
神奈川県立衛生短期大学教授 田代元弥
福島県教育庁社会教育課長 大越源三郎
福島県統計課主査 丸山和夫
(4) 参 加 者
市町村社会教育主事、市町村社会教育課長
(5) 日程・研究内容および実施方法
日 時 内容 講師 方法 9/17 午後 開会式 9/17 午後 公民館事業の企画と展開 田代元弥 講義・討議 9/17 午後 統計・グラフについて 丸山和夫 〃 9/18 午前 集団指導の方法と形態 田代元弥 〃 9/18 午後 福島県における都市勤労青年の生活意識 古籏安好 〃