教育年報1969年(S44)-173/241page
第6章 保健体育
第1節 概 要
保健体育課においては、昭和43年度に引き続いて、県教育
委員会の努力目標「体育・スポーツの振興と健康、体力の増
進」をめざし、2百万県民の体力の向上、健康の増進のため、
保健、体育、給食の分野で施策の推進にあたり多大の成果を
収めることができた。その概要は次のとおりである。
1 学校体育指導の充実
本県の児童・生徒の体格、体力は年ごとに向上しているが
全国的に見てさらに向上の余地があるので、学校体育指導
の充実をはかるため、各種実技講習会、学校体育研究大会、
体育研究指定校の研究発表会の開催や学校訪問による指導等
により指導者の資質の向上に努めた。
また、学習指導要領の改訂期にあたり、あらたに総則第3体
育が設けられ、体育の位置づけ方によっては、今後の学校教育
に影響することが多いと思われるので、関係者でこの運用に
ついて検討し、総則第3体育の趣旨をじゅう分生かす体制を
整えていきたい。
2 スポーツ選手の競技力向上
スポーツ選手の競技力向上については数年来継続的に努力
してきたが、本年度の長崎国体では天皇杯得点22点をあげ20
位から15位に躍進した。また、国際競技会にわが国を代表と
して出場した選手も例年になく多く、自転車競技の太田、明
珍、陸上競技の吉田、スキーの渡部、重量挙の大内選手等が
大いに活躍したが、これは年来の努力が実り、本県の競技力
向上を物語るものである。
また、昭和47年度全国高校総合体育大会が山形市を中心に
開催されるが、本県内では5種目開催が予定されており、さ
らに、昭和49年2月の国体スキー競技会を猪苗代町に誘致す
るので、これらに備えて、さらに選手の強化に努めてまいり
たい。
3 社会体育の振興
産業構造の変化、労働の質的変化、生活環境の都市化等に
ともない、人間の生活が脅かされることが多くなり、体育・
スポーツの必要性が認識されつつあるとき「県民皆スポーツ」
を目標に、関係団体の育成、指導者の養成、簡易スポーツの
普及等に努めた。特に、43年度より県体種目として実施した
家庭バレーボールと40才以上のソフトボールは、昨年度25市
町村で予選を実施したが、本年度は45市町村と急激に普及し
てきた。しかし、この数は市町村数の半数であるので、さら
に普及に努力してまいりたい。
4 体育施設の整備
体育・スポーツの振興に欠くことのできない施設の充実を
はかった。本年度県内にプール46、体育館6、柔剣道場6、
グランド1等の新設の他、いわき市に県営陸上競技場着工の運
びに至った。
また、県スポーツ振興審議会に諮問していた総合体育セン
ターの設置場所についても福島市に決定をみたので早急にこ
の建設にかかりたい。
5 学校給食の充実
昭和44年度における学校給食施設設備の整備状況は、43校、
17,000人分について行なわれたが、特徴としてその大部分
(35校13,300人分)は共同調理場方式を採用したことがあげ
られる。今後の各市町村教育委員会における計画のなかでも
この傾向がうかがわれるが、共同調理場方式は、日も浅く、
適正規模、運営方法等について、研究の余地が多く残されて
いる。従って、共同調理場方式採用の効果を高めるため、個
個の共同調理場における研究はもちろん相互研究の機能をも
つ研究組織をもつ必要があろう。
学校給食の食事内容は、一般家庭における食生活の向上と
対応して、食品構成、栄養確保の面での改善が行なわれる必
要があり、特に、適正給食費の確保と栄養職員の配置が望ま
れる。
また、昨年に引き続き学校給食における米の利用について
の論議も盛んなものがあったが、文部省においても、実験の
段階を経て今後の方向を見出す方針をうちだしており、県と
しても経緯をみながら態度を決定して行くことになろう。
給食指導については、教育課程のうえで、特別教育活動の
なかの学級指導として位置づけられ、従来にまして明確にさ
れている。県としてもこの重要性を考慮し、昭和44年度より
4校を学校給食研究指定校としての指定を行ない、2ヵ年継
続の研究を行ない、県内の学校給食指導徹底のための資料を
孝昇ることとした。
6 学校保健の振興
学校保健研究指定校による研究の推進および大沼郡本郷町
において開催した第17回福島県学校保健・安全研究大会は、
学校保健の振興に大いに貢献しているものと考える。
本県の学校保健についての水準は、全国的にみて、決して
劣ってはいないが、地域または学校による格差は、また大き
く、その解消については、今後の努力にまつところ大である。
7 学校環境衛生指導の強化
学校環境衛生の維持改善については、学校薬剤師の協力に
待つところが非常に大なので、職務内容及び公害等の当面す
る諸問題について研修の機会を設け、学校環境衛生検査の実
施の強化と学校薬剤師の資質の向上をはかった。
8 学校病対策の強化
学校病のうち、寄生虫・トラホームについては漸減してい
るが、う歯、近視は年々増加する傾向にある。
学校病の撲滅には、毎年努力しているところであるが、治