教育年報1969年(S44)-209/241page

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第8章 福島県教育研究所

   第1節 概    要

 研究所の設置目的をはたすため、研究関係においては、本

県教育の進展および改善に必要な諸問題を調査研究し、教育

改善のための資料を提供すること、研修関係においては、教

職員の研修および教育相談に関することを行なっている。

本年度行なったおもな事業はつぎのとおりである。

 1 研究に関する事業

(1) 研究テーマ、および実験学校

 1) 教授組織に関する研究

 2) 学習指導法の個別化・集団化に関する研究

  (実験学校 福島市立清水小学校)

 3) 英語科における教育機器導入に関する研究

  (実験学校 福島市北信中学校)

        郡山市立第一中学校

 4) 観察・指導に関する研究

  (実験学校 福島市立西根中学校)

(2) 教育研究法講座

   場所 白河市公民館(県南方部)

      原町市立原町第一中学校 (相双方部)

  2 研修に関する事業

(1) 学校経営講座

 1) 対  象

   小・中学校の教頭 (教育事務所長推せん)

 2) 人員・期間

  ア.  小・中学校それぞれ8名ずつ計16名

  イ.  研修日数は年間12日間

(2) 地域研修指導者養成講座

 1) 対  象

   小・中学校の教員 (公募)

 2) 人員・期間

  ア.  小・中学校それぞれ10名ずつ計20名

  イ.  研修日数は年間24日間

(3) 教育相談

 1) 対  象

   教職員を対象とする。

 2) 件  数

   文書、来所による相談件数  53件

   出張による相談件数     87件

    第2節 教育研究

  最近の科学技術の驚くべき進歩発達と経済社会のいち

 じるしい発展は、われわれの生活にはげしい変動をもたらし

 ている。このはげしい変動に即応し、新しい道を開発するた

 めに、学校教育の現代化が要請され、未来を創造しうる思考

 力や創造力をもった子どもの育成、そして、子どもの可能性

 を最大限に伸ばす方法などの開発がわれわれに課せられた。

 これがため、教育内容、教育方法、教授組織などいろいろの

 角度から研究実践が進められるようになった。また、高校教

 育の多様化に伴い、生徒の能力・適性等に応じて適切な進

 路の選択指導の必要性が大きくとりあげられるようになった。

  そこで、当研究所では、それぞれの学校における教育活動

 改善のための資料を提供するため、このような全国的動向を

 ふまえ、さらに、本県における問題を考慮し、つぎの研究テ

 ーマをとりあげ、その研究を行なった。

  1) 教授組織に関する研究

  2) 学習指導法の個別化・集団化に関する研究

  3) 英語科における教育機器導入に関する研究

  4) 観察・指導に関する研究

  これらの研究の趣旨の理解をはかるとともに指導上の参考

 資料の提供の目的をもって、昭和45年2月19日・20日の両日、

 本庁および教育事務所の指導主事を対象として研究の中間報

 告会を行なった。

  1 教授組織に関する研究

(1) 研究の趣旨

 技術革新によるテクノロジーの進歩は、知識の量・質を拡

大・高度化するとともに、児童・生徒の生活をも多様化させ

つつある。このような現状に対処するため、学校経営を合理

化し、教育内容を精選・集約して、基本的事項をおさえ、指

導組織、方法・技術の刷新をはかり、未来をひらく能力開発

と、全人的陶やをめざす教育活動を展開することは、学校教

育における今日的課題であるといえよう。

 学校教育は、組織をとおして行なわれるべき教育であるこ

とは、じゅうぶん承知しているが、内容構成や方法・技術の

研究に比して、組織をとおして教育改善をはかろうとする試

みが低調ではなかっただろうか。ここで取り上げようとして

いる研究の方向は、学校経営の基盤を学年、あるいは小規模

においては学年団におき、指導計画の組織、児童・生徒の組

織、教授の組織の3側面からせまり、有機的、かつ具体的に

改善をはかろうとするものである。

(2) 研究の目標

 研究しようとすることは、以上のことでも明らかなように、

指導計画の共同作成、内容・経験等による弾力的な集団編成、

特性を生かした教授分担構成といった協力組織体制にあるが、

具体的には次のとおりである。

 その1は、科学・技術の進展にともなう教育内容の拡大化・

高度化にいかに対処するかの問題である。現状についてみる

のに、知識量に左右されがちになり、質的ぎん味にまでいか

ずに量的導入に終始したきらいがないだろうか。この知識偏

重にはしる学力観を反省し、基本的事項を精選・集約的に指

導し、理解・習得とその転移力を強化するため、単元指導計

画の共同作成をはかることである。

 その2は、学習の個別化・集団化といった、ひとりひとり


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