教育年報1969年(S44)-211/241page
ということによって解決されるものである。学習指導法の個
別化と集団化は、その方法的な研究内容であり、良質の知識
や技能を習得させることによって射程の長い転移を可能にす
る素地を育成することは、志向内容的な研究内容である。こ
のような点から次のような研究仮説を設定した。
研 究 仮 説
次の点にじゅう分考慮して個別化と集団化の機能を活用し
組織していけば、学力の転移がより効果的になる。
1) より原理的法則的な内容を、子どもたちの認識特性に
即して習得させれば、真の理解を成立させ、効果的な転
移が可能になる素地が成立する。
2) 課題志向性と方法選択性を集団の中で洗練すれば、子
どもたちひとりひとりの自覚評価性が高まり、転移が効
果的に行なわれる。
(3) 研 究 方 法
1) 研究教科 小学校社会科
2) 研究対象 福島市立清水小学校第5学年
3) 研究方法
ア. 研究単元 「日本の工業」
イ. 適用方法 実験的方法
(ア) 第1次実験授業 仮説2の検証 二群法
(イ) 第2次〜第4次実験授業
仮説1の検証 交替群法
(ウ) 調査用具
基礎調査 東大A-S知能検査 学力検査
変容調査 FAT学力向上要因検査
実験授業事前・事後テスト
アナライザー記録
4) 研究組織
研究所員……研究構想、学習指導案、事前・事後テス
ト問題作成、授業記録(ビデオとアナライ
ザー)
第5学年担任……実験授業の実施、反省資料作成
第6学年担任……事前・事後テストの予備テスト
5) 研究計画
ア. 研究期間 1年
イ. 研究計画
4〜 8月 研究構想樹立 準備訓練
9〜12月 実験授業 資料収集
1〜 3月 整理
3 教育機器の導入に関する研究
―4技能の運用力を高めるためのLLの効用―
(1) 研究の目的
才一次研究(昭和41年〜43年)の継続研究として、LLを
活用しての4技能の訓練のあり方や効果をあきらかにしていく。
すなわち、才一次研究では、機器を使用しない場合の普通
教室での英語学習における4技能をどのように訓練したらよ
いかを、従来の学習指導法の改善の立場にたって解明しよう
とした。そして、この研究からは現場にたいして、学習指導
法上のいくつかの基礎的事項の改善点1)機械的反復練習の
弊害の除去2)訓練における個別化の重視3)各技能練習の
手法の順次性などにたいする具体策を示唆しえたのだがし
かしながら、それにも限度があることを認めざるをえない。
その第1点は、音声指導上の問題であり、才2点は個別訓
練の問題である。
英語に限らず語学指導は、その母国語を話す人々の標準的
でなまの音声を通したものでなければならないし、また、言
語材料を自由に運用しうるためには、多くの練習回数と練習
場面が適切でなければならない。これらのことを効果的に
進めるには、なんといっても機器を活用することがよいと
思われる。
また、近年、語学学習はもちろん、その他の学習にも教育
機器の活用が重要視されてきている。
このような時、この主題の研究に取り組み一般的LLの機
能や用法を紹介し、実験学校のLL活用の問題点をは握し、
その上にたってLLの効果的利用法をうちたて、その効果
を究明することは意義深いことと思う。
(2) 研究の方法
1) 文献研究 一般的LLの機能や用法をしらべる。
ア. 英語視聴覚ハンドブック (大修館)
イ. 英語教授法辞典 (三省堂)、LL通信 (ソニー)
ウ. 東京都内LL設置中学校指導事例集
エ. 教育工学入門 (教育工学研究会)
2) 調査事項
ア. 知能検査 (郡山一中一年生)
イ. 学力調査 (自作問題)、意識調査 (LLへの興味・関心)
ウ. 感想文事例
3) 実験的研究 郡山一中(2群法)、北信中(1群法)
4) 研究計画
ア. 研究区分と内容
(ア) 第一期 (4月〜7月)
研究計画樹立、実態は握、文献研究、他校視察、
準備物(テスト問題、実験プログラム)作成、学習
構造および指導案作成
(イ) 第二期 (9月〜12月)
実験授業実施、仮説および検証構想樹立、テスト
および調査実施・処理
(ウ) 第三期 (1月〜3月)
各種資料の整理およびそれにもとづくLLの効果検
証、紀要原稿執筆
イ. 実験研究計画
(ア) 実験学校および研究員
郡山市立郡山才一中学校英語科担任全員
福島市立北信中学校英語科担任全員
(イ) 実験対象
郡山一中(実験群1の5、7、9 統制群1の
4、6、8)
北信中 (実験群2の4、5、6、)
(ウ) 検証構想
・ 生徒の学習への興味・関心や学習方法の変容
・ 生徒の英語の発音およびリズムの質的変容
・ 4技能、またはその中の小技能の運用力の変容
(エ) 実験単元および実施期日
郡山一中(一年生)1〜7課、10〜12課、13〜15課
北信中 (二年生)10〜13課