教育年報1969年(S44)-212/241page

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(3) 研究の内容

  LLの一般的理論構成や実験校のLLの実態と問題点は

 もちろんであるがここでは研究問題の要点をあげておく。

 1) LL学習構造・学習の手順について

  ア.  LL学習構造をどのように組みたてるか。

   (ア) LL学習と普通授業形態の関連

   (イ) 定日一単位時のLLでの学習過程

  イ.  LLでの技能訓練やたしかめをどう適用するか。

   (ア) 教材提示および訓練における4phase-drill

   (イ) 機器の機能による一せいと個別訓練

  ウ.  LLにおける教材プログラムと録音操作をどうするか。

   (ア) LL教材とプログラム編成

   (イ) 教材提示および指示・説明などの録音

 2) LL学習における評価について

  ア.  英語科の評価の領域をどう編成したらよいか。

  イ.  テスト問題の項目やテスト様式をどう設定するか。

  ウ.  技能をは握するためにテストの方法をどうしたらよいか。

 3) LL学習による効果について

  ア.  練習における各技能や目標としての4技能がどのよ

   うに変容するのか。

  イ.  発声における音質や表現上の速度などがどのように

   変容していくのか。

  ウ.  学習への興味・関心や学習方法などがどのように変

   容していくのか。

 以上、研究の主題、研究の目的、研究方法、研究内容につ

いての概要をのべた。

 4 観察・指導に関する研究

(1) 研究の目的

  生徒ひとりひとりの能力・適性等をできるだけ正確には

 握して、その伸長、開発をはかるとともに、生徒が自分の

 能力に適応した進路をえらべるよう援助できる基礎資料を

 提供するものである。

(2) 主題設定の理由

  最近「一貫した進路の指導を行なおうとする観察・指導」

 の問題が大きく論ぜられるようになり、教育正常化への要

 求が高まっている。特に前期中等教育を中心とする観察・

 指導の組織化の動きが世界的な傾向のようである。その中

 でも、フランスの「観察指導課程」には大きく刺激され関

 心を抱かされた要因としてあげることができる。しかし、

 研究のねらいを達成するためには、わが国の諸条件に見合

 ったもので、しかも実験学校の現状を分析した結果から、

 実態に即応した研究を進めなければならないと考える。

  実験学校の問題点を要約すると

 1) 指導要録の行動・性格面の13項目の評価観点や基準、

  場が設立されていないので主観的な評価である。

 2) 知育偏重の傾向が強く、調和的な発達をめざそうとす

  る体制が整っていない。

 3) 評価のための評価であって、育てるための評価でない。

  そこで次のような仮説を設定し、行動・性格面から観察・

 指導の研究にとりくんだ。

(3) 仮     説

 1) 評定基準に基づいた教師の評価と、標準化された行動

  相反自己診断テスト(自己評価)、ゲス・フーテスト

  (相互評価)との関係を明らかにすることが、

   教師は、観察(評価)→生徒理解→指導

   生徒は、自己理解→自己指導→自己実現

  をはかるためにより効果的であろう。

 2) 分析票の大項目を知育(学力面)、徳育(行動・性格

  面)、体育(身体面)の三つの集まりとしてとりあげ、

  総合的にとらえることによって、教師は生徒理解、生徒

  は自己理解を深め、進路選択に役立たせることができる

  であろう。

  〈注〉仮説(2)が観察・指導に関する研究の主たる目標で

   あるが、次年度の比較によらなければ深化の傾向が実

   証できないので、本年度の検証は仮説(1)に限定する。

(4) 研究内容 (具体内容は略)

  全教師による組織的、継続的、計画的な観察をとおして、

 生徒自身による自己理解をはかり、生徒みずから自分の能

 力・意欲・志向に応じた進路を選ぶことができるような基

 礎資料を整備するために、次の三つの点にしぼって研究を

 進めることにした。

 1) 実験学校の実態に応じた観察・指導の項目とその観点、

  基準、場の設定。実験学校の教育目標から整理し、知育、

  徳育、体育の調和がはかられ、全面的発達を理想とする

  人間像を期待し、三つの大項目を設定する。

 2) 観察・指導の体制。生徒ひとりひとりを多面的に観察

  してその変容過程を客観的にしかも組織的には握できる

  体制を確立する。

 3) 観察・指導記録簿の作成と活用。より継続的、包括的

  に能力・適性等をとらえて自己理解、生徒理解をはかり、

  進路に役立つ記録簿が望まれてくるので育てる立場、活

  用する立場での記録簿を作成する。

(5) 研 究 方 法

 1) 実験学校と研究員。福島市立西根中学校を実験学校と

  し、所員との共同研究を行なう。

 2) 方法。実験研究 (一群法と事例研究法)

 3) 研究計画と検証構想。(略)

(6) 観察・指導の実際

 1) 定期観察を次のような手順に基づいて実施した。

  (ア) 項目や週間の設定。(イ) 観点やチェックリストの作成。

  (ウ) 組織的な観察・指導。(エ) 教師間の連けい。(オ) 資料の整

  理。(カ) 学年研究協議会報告。(キ) 共通理解のもとに、具体

  策立案。(ク) 実際指導。

 2) 抽出生徒の観察・指導を次のように実施した。

   教師、相互、自己評価のずれの大きい生徒を抽出し、

  そのずれの傾向をとらえ、その要因をは握して診断(仮

  説)し、治療の手を加えた。

 3) 教科学習時(授業研究)における観察・指導を次のよ

  うに実施した。

  (ア) 指導仮説の設定。(イ) 事前テストから指導案を修正し、

  個人の能力に応じた指導案を作成する。(ウ) 実際指導。(エ)

  事後テストの結果と学習分析から変容をとらえる。(オ)今

  後の指導の改善をはかる。

(7) 反省と今後の改善点

 1) 自己理解、生徒理解の深まりがみられたが、短期間で


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