教育年報1970年(S45)-229/260page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

福島県教育研究所

   第1節 概   要

   研究所は、昭和27年4月に発足した「福島県教育調査研究

  所」を前身とし、昭和40年4月1日に「福島県教育研究所」

  として発足し、本研究所の目的である「福島県教育の進歩お

  よび改善に必要な諸問題を調査研究し、本県教育の振興を図

  るため……」を果たすべく各種の研究・研修の事業を行なっ

てきた。研究においては、学校教育、家庭教育、社会教育な

  どに関する数多くの問題をとりあげ調査研究し、その結果を

  63刊の「研究紀要」22編の「資料編」としてまとめ参考資料

  として公にしている。また、研修においては、地域や学校に

  おける教育活動の推進者の養成を目的として「地域研修指導

  者養成講座」は7回、「学校経営講座」は2回行ない、現場

  における教育問題および研究の進め方に対しての教育相談に

  応ずるなど、教育研究所の役割と機能を果たしてきた。

   本年度行なったおもな事業はつぎのとおりである。なお、

  最近の科学技術の進歩発達と経済社会の著しい発展に伴い、

 知識の量の増大、内容の高度化がなされつつあることに対処

  して、教職員の研修・研究の充実が必要欠くべからざるもの

  となり、これが機関の充実のため、本年度で「教育研究所」

  が解消し、昭和46年度に「福島県教育センター」が開設する

  ことになった。

   1.研究に関する事業

 (1)研究テーマ、および実験学校

  1) 教授組織に関する研究(福島市立吉井田小学校)

  2) 学習指導法の個別化・集団化に関する研究

  3) 英語科における教育機器導入に関する研究

  4) 観察・指導に関する研究

  5) 福島県診断標準学力検査問題の作成

  6) 国際理科教育調査

 (2)教育研究法講座

   場所 須賀川市立須賀川第一小学校(岩瀬方部)

       南会津総合開発センター(南会津方部)

       坂下町立坂下第二中学校(両沼方部)

   2.研修に関する事業

 (1)学校経営講座

  1) 対 象

   小・中学校の教頭(教育事務所長推せん)

  2) 人員・期間

   ア.小・中学校それぞれ8名ずつ計16名

   イ.研修日数は年間12日間

 (2)地域研修指導者養成講座

  1) 対 象

   小・中学校の教員(公募)

  2) 人員・期間

  ア.小・中学校それぞれ10名ずつ計20名

  イ.研修日数は年間24日間

 (3)教育相談

  1) 対 象

   教職員を対象とする。

  2)件 数

   文書、来所による相談件数  55件

   出張による相談件数      106件

 第2節 教 育 研 究

 研究においては、つぎの方針にしたがい全国的な視野に立

って本県の教育に関する問題をとりあげ研究を進め、本県教

育の改善を役立てている。

 ・本県教育の行政施策の改善樹立のための資料

 ・学校や地域の教育活動の改善に役立てる資料

 本年度は、前年度からの継続研究である。

 ・学習指導法の個別化・集団化に関する研究

 ・観察・指導に関する研究

のまとめと、さらにつぎの主題をとりあげ研究をした。

 ・ 小学校における教授組織に関する研究

 ・福島県診断標準学力検査問題の作成

 ・国際理科教育調査

 1.教授組織に関する実践的研究

(1)研究の趣旨

 1) 科学技術の進歩は、知識量の拡大とその質を高度化し、

  子どもの生活をも多様化させている。このような現状に

  対処するためには、機能的な組織体制による学校経営が

  必要になるだろう。

   従来の学校教育は、学校・学年・学級と、形式的には、

  組織体としての体裁は整えられていたが、機能的には、

  学校経営の政策・業務が学級に直結し、学年の立場を検

  討し、学校経営を学校・学年または学年団、学級の三層

  構造とし、組織体制を整え、学校経営の効率を高めよう

  とする。

 2)ひとりひとりの子どもの能力を開発し、心身の調和的

  発達をめざした教育活動を展開するには、従来の教育活

  動をばっぽん的に反省してみる必要があるだろう。「主

  体的な学習」とか、「創造性を養う学習」とか、いろい

  ろと研究を進められているが、要は学習意欲をもやし、

  自主的・積極的に学習にとりくませることだろう。その

  ためには、教科の本質にふれる授業が要求されよう、本質

  にふれる授業の展開には、直接授業の単元指導計画の共

  同作成、教材による児童の発達段階、経験を考慮した、

  学級集団の弾力的な再編成、教師の特性を生かしたチー

  ム・ワークの3側面が組織的にかみ合うよう協力体制を


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。