教育年報1970年(S45)-231/260page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

 標準学力検査は、これがための有益な資料を提供するもの

であり、まして活用についての要望が多いので、教育課程の

改訂に既応し、新学習指導要領に準拠した「診断的性格を帯

びた福島県で標準化した学力検査問題」の改訂をとりあげた。

(1)福島県診断標準学力検査問題の特色

 本県で作成している標準学力検査問題は「診断的性格を帯

びた福島県で標準化した学力検査問題」と称しているように、

「診断的性格」をもたせた標準学力検査問題である。したが

って、児童・生徒の教科の個人内差異、あるいは、学校・学

級の学力の内差異を診断できるように、また、子どもの到達、

点もとらえることができるようにした特色のある検査問題で

ある。

このような特色をもたせるための問題の作成にあたってつぎ

のことに配慮している。

 1)学習指導要領の目標および内容の分析研究、ならびに

  教科書の分析を行ない、学力を構造的にとらえるように、

  評価目標を定めて、妥当性・信頼性のある問題を作成す

  る。

 2) 学力の個人内差異をとらえうるように、領域別に標準

  化できるよう各領域の問題の数を多くする。

 3)学習不振の原因が、どの学習内容にあるか指摘できる

  ように、指導目標を分析して段階的な問題の構成に配慮

  する。

 4) 妥当性・信頼性のある問題とするため、内容的・統計

  的な検討をじゅうぶんにする。

(2)学力検査問題の種類

 本年度は、小学校の国語・社会・算数・理科の問題を改訂

した。

 ・国語 小学校1年から6年までの全学年

 ・社会 小学校4年、5年、6年の3学年

 ・算数 小学校1年から6年までの全学年

 ・理科 小学校4年、5年、6年の3学年

(3)問題作成要委員

 1)問題作成委員

   福島大学附属小学校ならびに福島市内の教員および、

  教育事務所ならびに研究所の指導主事を問題作成委員に

  依嘱する。その構成はつぎのとおりである

  ・国語 問題作成委員 6名

  ・社会 問題作成委員 3名

  ・算数 問題作成委員 6名

  ・理科 問題作成委員 5名

 2) 問題審議委員

   問題作成委員が作成した問題について、ねらい、およ

  び問題の内容について検討するため、大学の先生、学校

  長、本庁指導主事を審議員に依嘱した。

   その構成はつぎのとおりである。

教科 国語 社会 算数 理科
審議貝数 3人 3人 3人 3人

3)作成・審議委員会回数

 ア.問題作成委員会回数 6回

 イ.問題審議委員会同   4回

4) 予備テスト

  ア.昭和45年11月10日・11日第1回予備テスト実施

    標本校は小・中各6校ずつ

  イ.昭和46年2月9日・10日第2回予備テスト実施

    標本校 7校

 3.国際理科教育調査

 この調査は、国際教育到達度研究学会(略称IEA)が中

心となって、ユネスコの援助のもとに行なう国際的な教育研

究計画の一環であって、国立教育研究所は日本を代表して、

これに参加しているので、各都道府県がこの調査に協力し、

全国教育研究所連盟の共同研究としてとりあげた。

 この調査の目的は、各学校段階における理科の教育到達度

を国際的な尺度によって測定しこれと各国の学校制度、カリ

キュラム、指導法、教員の資質その他の諸特性、児童・生徒

の環境条件等との関係を、参加国間における諸要国のちがい

を利用して組織的に研究する。

(1)調査対象・期日

 この調査は、日本全体を代表する標本として、層化無作為

抽出によって選ばれた小学校・中学校の児童・生徒を調査対

象として実施する。

調査対象標本数 小学校8校、中学校3校

 ・小学校は第6学年の児童・中学校第3学年生徒

 ・実施期日 昭和45年5月12日・13日

(2)調査内容

 ・理科問題A・Bと理科学習に対する意識調査

 ・教師および学校質問紙

 ・履修状況調査

 4.学習指導に関する研究

 前年度からの継続研究であるつきの研究内容について、そ

の研究結果を研究紀要第63号にまとめ各学校に配布した。

 1) 学習指導の個別化・集団化に関する研究

   子どもたちの望ましい学習の成立と学力の向上をはか

  るため学習指導の基本的機能である個別化と集団化の機

  能の望ましい組織化の方法を明らかにする。

 2)英語科における教育機器導入による4技能の完全習熟

  をはかる指導の方法を明らかにする。

 5.観察・指導に関する研究

 生徒ひとりひとりの能力・適性をできるだけ正確には握し

て、その伸長開発をはかるとともに 将来生徒が自分の能力

に適応した進路をえらべるよう援助できる基礎資料を提供す

ることを目的として、能力・適性をできるだけ正確には握す

る方法を研究し、これを研究紀要63号にまとめ、各学校に配

布した。

 6.研究結果の普及

 研究結果については、本庁ならびに教育事務所の指導主事

への研究中間報告を行ない、また、研究報告書(研究紀要)

を刊行し各学校に配布し、その内容の理解をはかり、指導改

善の資料として活用されるよう、その普及に配慮する。


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。