教育年報1971年(S46)-239/255page

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(1) 研究に趣旨

 効率的な組織集団の活動により、効果的に学習成果を高め

ようとすることは、現下の学校経営の課題と思われる。従来

の学校経営は、各学級、あるいは各教科ごとの活動に全面的

に依存しすぎていたようである。このような経営を反省し、

学年・学校・学級としての組織集団の機能を明確にし、おの

おのの集団で、構成員は組織活動に満足感をもつことができ,

その効果は、客観的に評価できるような学校経営が望まれる

ことになろう。

 学校経営の領域は、組織集団として、ひとりひとりの子ど

もを対象とした教師の指導過程と、組織体としての経営過程

の二つの側面を考えることができよう。指導過程においては、

各教師の指導の中心となる授業において、その効果、つまり

目標達成度と、学習集団の満足感とを高めるため、各教師の

特性を生かした個別的指導構想が考えられようし、経営過程

については、役割・分担の機能化と、各構成員の活動の充足

感を高めるため、分業・協業による集大成をはかることが考

えられよう。

 研究を進めるにあたっては、県下の学校経営の実態を調査

し、総合的・構造的に究明し、今後の学校経営の資料とする。


(2) 研究のねらい

 学校組織の領域を教授組織、事務組織、運営組織とし、そ

の経営は、方針による役割・分担に共同の責任と相互の協力

をもつ統一体とし、継統的な統括作用が行なわれるようにす

る。このような経営過程の検討から、「効果的・効率的な学

校経営のあり方」をみいだし、今後の学校経営のビジョンを

明らかにする。

 そのための視点を次のようにする。

  1) 社会の要請と学校経営のあり方

  2) 経営の機能化をめざした組織体制の確立

  3) 組織集団としての活動のあり方

  4) 教育の現代化を見とおした学校経営のあり方


(3) 研究内容

 学校組織の概念を、学校め活動を遂行展開する構造、また

は「わく組」であるとした機構的にうけとめているのか、構

造的に働く秩序の体系とした過程的にとらえているのか、今

後の学校組織としての教育活動に関係する諸要因の機能的構

造をみいだす。

 学校組織の動態化としての学校経営については、概念とし

て、領域的に、機能的に、あるいは統制作用としての役割を

もつなどとみることができようが、学校教育本来の目的を効

果的に達成させようとして、機能的にとらえ、協力活動によ

る努力の体系としての統制作用が可能である学校経営が考え

られよう。そのための条件整備や活動を明らかにする。


(4) 研究調査

研究にあたっては、次のような調査の具体項目をあげるこ

とにした。

  1) 教育の具体目標  2) 教育組織

  3) 校務分掌組織    4) 研修体制

  5) 会議         6) 教員構成

  7) 教育計画      8) その他


(5) 調査対象

小・中学校については、各教育事務所単位に、学校規模を

考慮して1/4を無作為抽出し、高等学校については、悉皆の実

態調査とする。解答は、各校の校長(もしくは教頭)の立場、

教務の立場 一般の立場の三者から求めることにする。


(6) 概  要

 2・3の項目について、その概要をあげることにする。教

育の具体目標については、教育によってどのような人間を期

待しているのか、次代をになう子どもたちにどうあってほし

いと願うのかについて、その設定の基本的要件や、手続きに

ついて明らかにする。

 教育組織については、教育組織を学校における教育課程の

目的・内容を対象とした経営組織とし、カリキュラムの作成、

指導案作成とその実践にあたっての方針、体制、取り扱いな

どを明確にする。

 校務分掌組織については、直接的な指導活動を支え、推進

のための組織体としての分担業務であるとし、経営体として

の機能の運営活動と指導活動との関連について、教育の充実

というねらいから検討する。校務分掌の決定では、計画

実践  評価 再計画という業務そのものの循環過程から

の視点と、個人の希望や適材性、および学校全体の営みから

の視点から明らかにする。遂行では、校務内容の明確化、処

理規定、権限委譲と業務の自由裁量などの面から検討する。

 研修体制については、研修のねらいを子どもたちへの援助

・指導を効果的にするため、共通理解と協力体制により、情

報や資料の収集・提供を組織的に行ない、教育活動に反映さ

せることにあるとし、教職観に立った専門性などについて検

討する。教職とは、現代社会に成長し、次代の文化を創造し

ていくべき子どもに、望ましい精神的・身体的発達を意図的

・具体的に援助・指導する行為に公的に従事することである

ということができよう。そのための資質をどううけとめ、条件

整備や、機会や場の構成をしているかを明らかにする。

 以上のようなことについて、実態調査をもとにし、機能的

・構造的に究明し、今後の学校経営の資料とする。



   2.教授組織に関する研究

(1) 研究の趣旨

 科学技術の進歩は、知識量の拡大とその質を高度化させ、

社会の構成や生産構造を改変している。このような革新に対

処する教育活動は、教育内容や方法・技術と、その機能的構

造としての教育組織の改善が必要になるだろう。

 次にその具体項目をあげることにする。

  1) 三層構造での学校経営により、機能発揮をはかる。

  2) 弾力的な学級集団の再編成により、個別化・集団化

   をはかる。

  3) 教師の協力体制による、分業・協業の授業を展開す

   る。


(2) 研究の領域

 学年(学年団)経営を推進母体とし、学習指導・生徒指導

はもちろんのこと、校務も学年(学年団)を単位として分掌

できるような協力体制において、次のような具体事項につい

て究明しようとする。

  1) 単元指導計画の共同作成

 実際授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計画とし、

単位学年、あるいは近接学年による学年団で共同作成する。


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