教育年報1972年(S47)-032/285page

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現「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭和31年

法律第162号)第50条の規定に基づいて施行されているもの

である。

 本県においては、昭和25年に「福島県公立高等学校の通学

区域に関する規則」(昭和25年2月14日教育委員会規則第1

号)が制定され、公立高等学校全日制の課程・普通科の入学

者を対象に通学区域が定められた。以来、学区制は、高等学

校の新設、独立、市町村合併等に伴う行政区画の変更等によ

って一部の整理がなされ、さらに昭和37年における高校生急

増対策との関連や、交通・経済事情等の社会情勢の変化等に

より、学区の一部改正や統合(学区数21から16)が行なわれ

た。その後も若干の手なおしが加えられて今日に至っている。

また、昭和30年度から、高校入学志願者に対して、つとめて

学校選択の自由性を与える配慮から、いわゆる隣接学区から

の制限された入学(通学)の制限が設けられ、はじめ、この

入学許可者数は、その学校の募集定員の5%以内とされてい

たが、昭和37年度に10%となり、さらに、40年度からは12%

と緩和されている。

 現行通学区域に関する規則の概況は次のとおりである。

(1)学区の数……………16

   内訳 小学区(1学区1つの高校)………2

      準小学校(1学区  2校 )………4

      中学区(1、学区3〜6校)………9

      大学区(1学区7校以上 )……1

(2)固定区と自由区

   固定区………66か市町村

   自由区………24か町村と4市町の一部地区

   (注)固定区とは1学区のみに属している市町村で、

     自由区とは2〜3学区に属している町村または地

     区をいう。

(3)隣接学区からの入学許可制限……………12%

 以上が学区制の変遷過程と現行の概要であるが、その後の,

社会流動の激しい昨今においては、種々不合理な点が生じて

いることは否めない。

 そのおもなものをあげれば。

(1)小学区・中学区・大学区を併用している複雑なものであ

 り、各学区内の学校数に不均等がみられる。

(2)高校進学率の向上と人口の過密・過疎現象に伴い、各学

 区の入学者収容率の較差が大きくなっている。

(3)交通機関の発達によって通学可能範囲が広域化したにも

 かかわらず、区域の狭い学区が多い。

(4)昭和37年度の改正においては、小・中学校との関連と教

 育行政施策の面から、教育事務所単位に設定されたが、そ

 の後教育事務所は7つに統合された。

(5)住民の日常生活上の行動範囲が拡大し、広域市町村圏が

 設定された現在、その行政区域と通学区域が一致していな

 い。

(6)同一市町村でありながら、地区によって固定区と自由区

 とに分かれている市町がある。

  (福島市、郡山市、いわき市、三春町)

(7)入学を希望する学校の選択において無理な住民登録の変

 更が目立つ。(通学区域は、保護者の居住地を基準にして

 定められているため)

 上記のような学区制に関する問題については、一時的、部

分的な調整では解決し難い時期に至っているものと考えられる。

 したがって、今後の本県における高校進学が、機会均等と

秩序の保持のもとに円滑になされるよう、現行の学区制を抜

本的に検討され、早期に改善策を講じられることを望むもの

である。

(2)答申文および答申本文

昭和47年11月2日
福島県教育委員会殿
福島県後期中等教育審議会会長 角田林兵衛
福島県公立高等学校通学区域の再編成について
昭和47年5月31日付をもって当審議会に諮問のあった
「福島県公立高等学校通学区域の再編成について」は、
別紙のとおり答申いたします。

福島県公立高等学校通学区域の再編成について(答申)

1.前   文

  福島県後期中等教育審議会は、昭和47年5月、県教育委

 員会から標記の事項について諮問を受け、以来今日まで5

 回の会議と小委員会、実地調査等を行なって慎重に検討を

 重ね、ここに答申をとりまとめる運びとなった。

  この諮問は、近年における高校進学率の上昇、あるいは

 交通事情や人口の変化などと、地域住民の要望に呼応する

 現行通学区域改編の基本的な方策について答申を求められ

 たものである。

  そもそも、高等学校通学区域制度は、高校教育の普及お

 よびその機会均等を図る理念から法の規定に基づいて設定

 されているものである。

  本県における現行学区制は、昭和25年に教育委員会規則

 によって制定されて以来、高校の新設・独立・市町村合併

 等に伴っての変更がみられ、昭和37年には、高校生急増対

 策との関連や、交通・経済等の発展に対応して、学区の一

 部統合を含む改正が行なわれ、その後は、若干の手なおし

 が加えられたのみで今日に至っているものである。

  しかるに、通学区域の現状は、大・中・小の学区が混在

 しているうえに、固定区と自由区があるなど、極めて複雑

 多様な実態を示している。これは、本県の複雑な地形や行

 政機構と住民感情等による部分的、一時的調整がもたらし

 たものといえるが、昨今の社会情勢からみて、更に整然と

 した形態が望ましいと考えられる。また、各学区内におけ

 る高校入学者の選択校数や収容率に甚だししい不均等があ

 ることや、無理な住民登録の変更による入学者の実態がみ

 られること、教育諸条件からくる学校較差などの不合理な

 点もいくつか指摘されるので、これらの解消についても十

 分考慮する必要がある。

  従って、本審議会としては、現学区制の改正について、

 早急に検討する必要があることを認める。

2 通学区域再編成についての基本的な態度

  学区制制定の趣旨に基づき、本県後期中等教育のあり方


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