教育年報1972年(S47)-101/285page
第5節学校防火
学校火災は公有財産を焼失するばかりでなく、児童・生徒
の学習の場を失うことになり、加えて精神的打撃を与え、学
校教育の低下をきたし、教育行政を停滞させるなど社会に及
ぼす物心両面の影響はまことに大きいので、県教育委員会と
しては市町村教育委員会ならびに学校当局と協力して学校火
災の絶無をはかるべく努力したが、昭和47年9月26日には須
賀川市立第二小学校、10月22日には常葉町立常葉中学校、さ
らに11月19日いわき市立錦小学校、12月17日福島市立渡利中学校
と相次いで4件の学校火災が発生したことはまことに遺
憾である。
本年度の学校防火対策は次のとおりである。
1.学校防火対策要項の作成と指導
(1)県教育委員会の実施事項
1) 県立学校ならびに市町村立小・中学校の「学校防火
診断要項。」に基づいて指導するとともに、さらに、
「学校防火体制総点検実施要項。」を作成し、これに
基づいて指導する。
2) 防火診断の結果を検討し、早急に対策を樹立して防
火体制を強化する。
3)ブロックごとに学校事故防止対策研究協議会を開催
し、防火に関する具体的研究を行なう。
4) 各学校の電気配線を定期的に検査し整備をはかる。
5)防火に関する広報活動を強化し、防火思想の高揚を
はかる。
(2)市町村教育委員会に対する指導
1) 小・中学校宿日直代行員、警備員の配置を促進する。
2) 防火診断を計画的、科学的に実施し、防火体制を強
化する。
3) 学校防火対策協議会の結成を促進して、具体的活動
を推進する。
4) 学校管理体制を検討し、教職員ならびに宿日直代行
員の宿日直勤務の厳正を期する。
5) 防火に関する施設、設備の改善充実をはかり、その
的確な活用につとめる。
2.学校防火診断の実施
(1)防火診断実施のねらい。
各学校ごとに防火に関する自己診断を行ない、防火体
制その他について診断評価し、問題点の発見につとめる
とともに、これが対策を講ずることによっで、平常の防
火管理を強化し、学校火災の発生を未然に防止するため、
学校防火診断を毎年5月1日、12月1日をめやすとして
実施している。
昭和47年度は相次ぐ学校火災の発生にかんがみ、12月
26日から28日までの3日間市町村教育委員会指導のもと
に関係機関の協力を得て、学校防火総点検を実施した。
(2)防火診断の内容
1) 防火体制
ア、消防計画が適正に作成されているか。
イ、消火通報伝達の方策が樹立され、避難訓練か定期
的に実施されているか。
ウ、防火管理は適切になされているか。
エ、防火に関する教育は適宜行なわれているか。
2) 宿日直(警備・代行)員の勤務状況
ア、防火のための巡視は規定どおり実施されているか。
イ、宿日直日誌は確実に記載されているか。
3) 火気関係設備および取扱い状況。
ア、煙突と煙道は防火上の問題点はないか。
イ、ストーブ、火鉢、こんろの配置、使用は適切か。
ウ、石油燃焼施設は、可燃物との距離は適切か、石油、
石炭等の保管状況は良好か。
エ、都市ガス、プロパンガスの配管、器具に破損はな
いか。
オ、取灰、たき火の処理は適切か、たばこのすいがら
の処理はどうか。
4) 電気設備
ア、定期的に絶縁抵抗試験を実施しているか。
イ、電気器具の使用方法は正しく行なわれているか。
5)消防用施設、設備ならびにその管理
ア、消水器は基準数量が配置され定期的に消火薬剤の
更新が行なわれているか。
イ、消火栓は非常時に使用できる状態にあるか。
ウ、避難階段、避難袋等の避難施設に故障はないか。
エ、非常警報設備器具は作動し、児童、生徒に周知さ
れしているか。
オ、防火壁は作動するか。
3.学校事故防止対策研究協議会の開催
(1)趣 旨
県下市町村教育委員会、小、中、養護学校および
県立学校の防火対策、交通事故防止対策について研
究協議を行ない、もって学校事故防止体制の強化を
はかり、学校火災および教職員の交通事故の絶無を
期する。
(2).参加者
市町村教育委員会教育長または事務局職員100名小
・中・養護・県立学校の防火管理担当者950名
(3).会 場
県北 福島大学附属小学校 11月6日
県中、県南 郡山市立橘小学校 11月2日
会津 会津若松市立謹教小学校 11月6日
浜 富岡町立富岡第一中学校 11月6日
(4)講師、助言者
県教育庁義務教育課長、主幹、管理主君
高等学校教育課長、主幹、管理主事
教育事務所長、次長、管理課長、管理主事