教育年報1972年(S47)-171/285page

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社会教育

第1節 社会教育一般

 1.概  要

 産業経済の高度成長や技術革新の進展は、まことにめざま

しく、産業構造の変革、余暇や消費の増大、都市化現象の進

行と相まって、本県のいたるところの地域にもその影響を与

え、県民の生活様式に大きな変容をもたらしている。

 この急激にして多面的な社会の変ぼうに対処し、すべての

地域住民に、その職能を磨き、教養を高め、生活にうるおい

と生きがいとを与える組織的な学習の機会を学校を終えた後

も、生涯を通じて豊富に提供する社会教育は改めてその重要

性を確認されるとともに再編成が強く望まれている。

 社会生活の規範としての価値観が多様化し地域住民の連

帯感を稀薄にしつつある一般的な傾向は、地域開発の計画推

上にも大きな障害をなしており、市民生活の啓培に寄与する

地域の健全な社会教育関係団体や、各種の集団の育成を奨励

する必要がある。また、住民の実生活に即応し、学習需要に

対応する広範な内容を構造化するとともに、み力ある学級

講座等に組織し、青少年より成人、老人にいたる一貫した学

習課程による生涯教育の構想を具体化する必要がある。

 本年度の本県社会教育の振興については、社会教育行政基

盤の整備充実、社会教育事業の奨励援助を柱に、次の4つの

重点施策により、市町村教育委員会ならびに関係機関団体と

の協力体制を強化し、いっそうの進展に努力した。

(1)社会教育施設・設備の整備促進

  社会教育における学習活動の中心的な場である社会教育

 施設は、質・量的にもじゅうぶんとはいえない。とくに社

 会教育の発展をはかるため、その基幹的施設である公民館

の計画的整備について指導し 拡充をはかった。

 1) 公民館等の整備をはかるため、県費1,100万円補助。

  ア 国庫補助による公民館新築10館(500万円)

  イ 図書館新築補助1館(600万円)

 2) 県立少年自然の家建設

 3) 公民館活動の充実促進のための調査

 4) 視聴覚ライブラリー公立化の促進

(2)指導体制の充実強化と社会教育関係団体の育成助長

  社会教育施設の充実と相まって、指導者の資質の向上と

 指導体制の充実はきわめて重要である。各市町村の社会教

 育主事・公民館長・公民館主事の専任化および社会教育指

 導員の設置を促進するとともに、現職教育を強化し、指導

 者層の拡充につとめた。

 1) 社会教育関係職員の専任化促進と研修機会の提供

 2) 社会教育指導員設置による県費補助(25名分)

 3) 社会教育関係団体育成のため県費補助

 4) 県市町村社会教育委員連絡協議会の結成。

(3)社会教育事業の奨励・援助

  社会教育は学習者の自主的な自己教育であり、余暇時間

 を積極的に利用することを基調とするものである。

  青少年、成人自らの主体的な意欲により、学校を終えた

 後も生涯を通して香り高い独学者となるため、内容・方法

 ・組織・運営など各領域にわたり奨励、援助し、その振興

 に努めた。

 1) 高等学校開放講座の開設(10講座開設)

 2) 家庭教育学級・婦人学級の開設

 3) 家庭教育相談事業

 4) PTA研究協議等の開催

(4)図書館事業の推進

  情報化社会の進展に伴って、図書館の果たす役割はます

 ます多方面にわたってきている。県立図書館においては、

 「開かれた図書館」をめざし、全面的な設備配置替えを行

 ない読書普及事業の飛躍的進展のため努力した。また市町

 村の図書館施設の整備充実、公民館図書室の充実など積極

 的に努めた。

 1) 読書グループの育成強化

 2) 移動図書館の充実改善

 3) 調査・資料等の刊行とPR

 4) 県公共図書館協会の育成と事業の充実

 2.市町村社会教育主事等研修会

(1)目 的

  急激な社会構造の変化に即応し、本県社会教育の振興充

 実を期するため、県下各市町村の社会教育主事および中堅

 公民館主事等に対し、社会教育をすすめていくために必要

 な基礎的、専門的教養の研究を行ない、もってその資質の

 向上と指導力の強化をはかる。

(2)期日・会場・参加者数

 1)期 日 9月4日〜9月9日

 2)会 場 福島市飯坂町 婦人会館

 3)参加者数 73名

(3)講 師

 ○立教大学教授        岡本包治

 ○流通経済大学教授     渡辺博

 ○福島市教育委員会教育長 辺見正治

 ○県教育庁社会教育課長  渡辺政三

 ○県教育庁社会教育課主幹 松本久

(4)参加者

 ○市町村教育委員会社会教育主事

 ○市町村社会教育課長、社会教育担当者

 ○中堅公民館主事

(5)日程、研究内容および実施方法

日時 午前 午後 夜   間
8:00〜12:00 13:00〜17:00 19:00〜21:00
9月4日   受付 開会 本県社会教育の課題
(渡辺)
社会教育の現状と問題点
(辺見)
社会教育主事・公民館主事の職務
(松本)


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