教育年報1972年(S47)-258/285page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

  学校経営ということばが、学校の現場で使われるようにな

ったのは終戦後のようである。その前は学校管理といわれて

 おり、その本質は、教育法規によって学校を統制するといっ

 た法規適用主義的なもののようであった。今日でも学校管理

 といえば、その中には学校に対する法規適用の意味かふくま

 れるのは当然である。ところか戦後に「スクール・マネージ

 メント」の影響を受け、新しい概念として学校経営が論じら

 れるようになる。それから多くの論議がだされているか、概

 観してみると、いまだ観念的な形式論に立っているように思

 われる。これらの実態を克服するためには、地域社会学校と

 しての組織体における機能の発揮が図られなければならない

 だろう。

  そこで「完全学習をめざして、組織の成員の協力により、

 諸条件を調整し、機能的に体系化する作用である」と規制し

 研究をすすめることにした。

 (2)研究のねらい

  研究に当たっては、学校組織と学校経営を区別し、学校組

 織を教育活動に関係する諸要因の機能的な構造、または「わ

 く組み」とし、学校経営を協力活動の役割を組織内で調整し、

 体系化する作用であるとする。このような考え方から学校組

 織を根底として、これを動態化する意味で学校経営をとらえ

 ることにする。

  学校組織を教授・学習組織と事務組織、運営組織とし、各

 系列の機能化とその統制のあり方を追求し、今後の学校経営

  のビジョンを明らかにする。

  そのための視点を次のようにする。

  1)教育目標の管理過程の具現化体系

  2)社会の変ぼう、要請に対応する機構

  3)経営の機能化をめざした組織体制

  4)組織成員の協力体系と活動

(3)研究方法

  学校経営の現状は握のため、さきに県下の小・中・高等学

 校の実態を調査し、その結果を「調査編」として資料の提供

 をしたが、それを基にし、追跡調査を重ねて現実的に究明す

 ることにした。

 (4)研究の概要

  教育目標については、目標内容の具体的指標や目標実現の

 体制、目標の管理過程の設定などについて究明する。

  勢授学習組織については、他の組織系列との相互関係を明

 確にし、推進母体を学年(学年団)、あるいは教科部におき、

 カリキュラムの計画、授業案の作成、実際活動の役割、教授

  ・学習組織の改善について考察する。

  事務組織については、校務分担上の配慮、分担校務の遂行、

 校務機構の改善などについて、現状から今後の方向を明らか

 にする。

  運営組織については、地域の変ぼうとその対策、教師の専

 門性を高める配慮、職員会議の内容とそのあり方などについ

 て究明し、今後の学校経営改善の資料とする。

  2.教授組織に関する研究

 (1)研究の概念

  現代社会が学校に求めていることは、知識の基礎によって

個性を伸長することができ、かつ、社会的な自己調整による

全人的行為のできる、その根底をつくることにあるといえよ

う。このような要請に応ずるには、「ねらい」に即して教育

内容を具体的にとらえ、学校組織の機能化により、教育方法

・技術の刷新が考えられる。

 学校組織を教授・学習組織、事務組織、運営組織とし、そ

の機能化として、各系列の相互間の統制をはかるとともに、

必然的にそうせざるを得ないように内的秩序が整えられ、

「わく組み」することである。その作用は、協力体制として

の役割・分担活動になるだろう。その推進母体としては、学

年(学年団)、あるいは研究部会か考えられよう。

 県下の過疎・過密現象による、特に小規漠少人数学級校に

おいては、役割の分担や遂行の過程などで多くの制約を受け

ざるを得ない。こうした現状からして、組織体としての教育

活動の原点にかえり、「目的のもと、成員相互のコミュニ

ケーションを有し、共同の責任と相互の役割をもつ統一体」

としての機能を再検討するとともに、学校教育か集団形態で

行なわれるが、個人として成立させなければならないという

理念から教育活動の再吟味か必要であろう。

(2)研究の視点

 学年(学年団)経営を推進母体とし、学習指導・生徒指導

はもちろんのこと、校務も学年(学年団)を単位として分担

する協力組織体制において、次のような具体事項について究

明しようとする。

 1)単元指導計画の共同作成

  実際の授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計画

 とし、単位学年、あるいは近接学年による学年団で共同作

 成する。そのため(学年団)の組織を分業・協力が可能で

 あるよう配慮するとともに、その作成が勤務時間内に位置

 づけられるようにする。

 2) 教材・発達段階・経験に応じた単位集団の再編成

  教材の性質、あるいは教科内容に応じ、児童・生徒の発

 達段階・経験によって、既成の学習集団を合わせて大集団

 にしたり、グループに分けて小集団にしたりすることであ

 る。そのためには、単位学年の教師が協力して、生徒指導

 か行なわれる体制にする。

 3)教育の特性を生かしたティーム・ワーク

  教師の特性を生かし、授業過程における段階的な確かめ

 や、教育機器の導入を可能にするため、主となる教師、援

 助する教師といった役割で、主体的に分担し、協力し合っ

 て本質的な授業を展開する。この役割は固定したものでな

 く、教材の内容によっても交替するなど、弾力性をもたせ

 機能発揮をはかる。

(3)研究のねらい

 学校環境の諸条件により、研究のねらいを次のように区分

する。

 1)協力教授組織による教授過程とその役割分担活動

    実験学校

     福島市立吉井田小学校

 学校経営の中該を教授・学習組織におき、事務組織・運営

組織を関連的に構成し、相互協力体制をとることにする。

  ア、具体的な研究のねらい

   (ア)体育の合併授業による単元指導計画の共同作成と


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。