教育年報1972年(S47)-259/285page
協力・分担授業の進め方
(イ)理科・算数の複式授業による、個別化集団化の単
元指導計画の共同作成と協力・分担授業の進め方
イ、学年団構成と実施教科
(ア)低・中・高学年団とする
(イ)全学年団による体育、低学年による算数、中・高
学年による理科とする
2)小規模少人数学級校における協力組織体制による役割
分担とその活動
実験学校
安達町立下川崎小学校
小規模少人数学級校においては、教科の性格およびその
内容によっては、集団環境構成面から本質的な授業の展開
が困難なものがある。その障害を除くため、近接2学年を
合併しての授業が考えられる。しかしこのことは複式授業
解消に逆行するのではないかの懸念もされるが、複式授業
の通年性に対して、2学年合併授業は、適正集団による、
ある教科の1部授業ということである。また、学習は個人
に成立するという前提から、教師のティーム・ワークによ
り自己調整の学習をさせようとする試みである。
ア、具体的な研究のねらい
(ア) 学年のわくをはずした集団の再編成による教授過
程の構成
(イ)教授過程における教師の役割分担とその活動の進
め方
イ、学年団構成と実施教科
(カ)低・中・高学年団とする
(イ)体育、音楽、図工とする
3)実験学校による検証
実証のために福島市立吉井田小学校においては、全学年
団をとおして、体育の一部合併授業を行ない、「自己調整
により、集団性を高めるとともに、気力・体力の充実をは
かる」ことにし、協力体制のあり方、役割・分担授業の進
め方を追求する。さらに低学年については、算数をとりあ
げ、「具体的事例により、数と計算に興味と関心をもたせ
親しませる」複式授業を行なうことにし、中・高学年団で
は、理科をとりあげ、「反応を助長することにより、発想
を高め、主体的な解決・転移の力をつける」複数授業を行
ない、個別化・集団化における役割・分担授業のあり方を
究明した。
安達町立下川崎小学校においては、異学年の一部合併授
業の体育、音楽、図工をとりあげ、小規模少人数校におけ
る本質的な授業展開のための適正集団の構成と、完全学習
をめざした、教授過程の構成と、役割・分担授業のあり方
を明らかにし、今後の教育活動改善の資料とした。
2.福島県診断標準学力検査問題の作成
(1)作成の趣旨
全県的な視野に立って学校・学級、および児童・生徒の学
力の実態をとらえ、学習指導改善の資料として役立てること
を目的として、本年度は中学校の「診断的性格を帯びた
福島県で標準化した学力検査問題」の作成をとりあげた。
(2)作成の方法
本年度は第一年次として、中学校1・2年の国語・社会・
数学・理科・英語の5教科をとりあげ、問題作成委員29名で
原案を作成した。その原案を15名の問題審議委員によって内
容の普遍・妥当性をじゅうふん検討し予備問題としての成案
を得た。
(3)標準化のための予備テストの実施
問題の妥当性を確かめるため、標本校を無作為に抽出し、
下記のとおり実施した。
1)標本校および実施延人員
標本校数 7校
実施延人数 4330人
2) 問題の検討
小問正答率と問題構成の度数分布から、問題の妥当性を
みる。
4.基礎的・事例的な教育相談の研究
(1)研究の目的
教育相談開設以来1年間の実績をもとに、教育相談活動の
概要と面接・通信相談の事例をわかりやすくまとめ、はじめ
ての担当者には教育相談の流れを理解させ、経験豊富な担当
者には、より充実した教育相談をすすめるための資料として、
活用てきる内容を事例的に究明することをねらいとした。
(2)研究の方法
1)教育相談の概要として●趣旨●組織●運営●相談日●
方法●実施状況等からまとめる。
2)事例に関する研究として、次の項目でまとめる。
ア、知能・授業に関する事例(心理判定・学業不振児)
イ、性格・行動に関する事例(登校拒否児・乱暴する子
・集団不適応児)
ウ、進路・適性に関する事例(進路・適性に悩んでいる
子)
エ、身体・神経に関する事例(夜尿する子・神経症の子)
オ、その他の事例(生理不順を心配する子・家出をくり
かえす子)
(3)研究の内容
1) 教育相談の概要は開設1年間の状況を具体的にとりあ
げた。
2)特に新しい担当者のために、教育相談記録表を6枚掲
げて検討・活用の便を考えた。
3)ひとつひとつの事例については、最初にその語義事例
・原因治療の一般例をのせて検討・活用の便を考えた。
〈一般例〉 登校拒否児
語義 病気、家庭の事情その他客観的な理由なく登校しない子 事例 登校時間になると腹痛、頭痛、発熱、下痢その他で登校拒否 原因 (1)神経症 学校恐怖症 (2)神経症 分裂病・自閉症 (3)環境異状の非行形式 怠学 (4)知的、身体的異状 劣等感 治療