教育年報1972年(S47)-271/285page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

(2)蔵書目録の刊行

 昭和46年4月から47月3月までの間に増加した図書館資料

3200冊を収録して、昭和46年度増加図書目録を刊行し、関係

方面に配布した。

第3節館内奉仕

  1.館舎内部改装について

(1)基本構想

 およそ公共の機関であるかぎり、それが存在する以上はひ

とりでも多くの住民に利用してもらうことを企図した運営が

必要である。このことは公共図書館についても当然同様であ

る。とりわけ人間性の回復とか生涯教育の必要の唱えられる

今日の社会では、このことはいっそうの意義を持つ。しかる

にわが国の公共図書館の利用の実績は先進諸国のそれに比べ

てきわめて低い。 「図書館は学生・生徒の勉強部屋に過

ぎない」という酷評を館界人自体定説に近いものとして受け

とらざるを得ない現況である。むろん図書館資料を熱心に利

用する人々は相当数にのぼりこれだけでも図書館の存在理由

とはなるだろう。現に図書館は2年または3年に1度だけ利

用されるような資料が備えられていることが重要だとする、

いわば資料中心の考え方もある。しかし公共図書館である限

りより多くの人々に利用されることを考えなくてはならない

とする、やや奉仕中心の存在理由も一方にあることも確かで

ある。最近多くの公共図書館が行なっている団体貸出や移動

図書館等の業務は、むろん後者の考え方に立つ発想であろう

し、また館内利用を促進するためにも、館舎の設計はとくに

市立図書館のような第一線図書館では、スーパーマーケット

のように、入口を随所に設けたはいり易いものでなければな

らないとする主張などもここからでている。ひるがえって本

館の構造をみると、住民の近づき易い1階は事務室や館長室

が主要スペースを占めている。このことは近代的公共的公共

図書館の在り方にも反している。そこでこの1階全部を利用

者に解放することと各階層を機能別に統一しサービスを強化

することを主眼とする館内の模様替えが必要であるとの結論

に達し、館内に設けられた業務改善委員会における討議およ

びこれを受けてできた設備改善準備委員会は、じゅうぶんな

研究を重ね、改装計画を立案して実施した。

(2)各階層別部屋割

 4) 1階各室について

 ○軽読書室

 従来図書館を一度も利用したことのないような人々にも親

しんでもらうため、各種新聞をはじめ趣味・娯楽等に関す

る雑誌や単行本と娯楽中心の週刊・月刊の雑誌等のほか、生

活上の実用知識に役立つ解説書風のやさしい単行本も揃えた。

調度品や資料の配列・配架等もすべて”くつろぎと趣味と生

活"のコーナー風のアレンジを行なった。なおこの部屋の存

在目的は、図書館利用の契機とすることにあるから、館の閲

覧・貸出し手読きを掲示した。

 ○児童室

 読書習慣のない成人を読書に誘うことはむずかしいが、児

童の場合はやり方いかんで容易に本に親しむという定説に立

って、児童室を重視しよう、児童のことだから必要以上の利

用規則は、かえって角を矯めんとして牛を殺ろすことになる、

多少の高声、けんそうもやむを得ない。との考えにより独立

した従来の館長室をこれにあてた。

○ 公開図書館

 利用者が手にとって本の内容を見てから貸出しを受けるこ

とのできる公開図書架方式が、閉架式にまさることはもはや

常識以上のものがある。この部屋を1階に移した意味は、軽

読書室に立ち寄る人々が、更に進んで公開図書室をのぞき得

るような配慮およびその他の利用者にもアプローチ上の便宜

を考えたからである。ただこの部屋をここに移動するために、

書庫の資料12万冊の入れ替え作業を余議なくされ、全館員に

多大の労働が課された。

○ 談話室

 図書館のもつ文化的機能に立脚し、各種文化団体または同

好組織等の利用に供するため、新たにこの部屋を設けた。こ

れも閉ざされた図書館から「社会に向って開かれた」図書館

にしようとするささやかな企てである。

◎ 2階各室について

 ○調査相談室

 新聞・雑誌コーナー

 従来雑誌は部屋の一隅、廊下に等しいところで閲覧してい

たが、新聞とともに一室を設け、1年間のバックナンバーを

揃え、またスペースの関係で公開できなかった専門誌・業界

誌も大量に展示できるようになった。新聞についても、主要

なものは、1年間、縮刷版も自由に閲覧できることとなった。

○参考図書コーナー

 各種辞典・年鑑・紀要等の参考図書の検索は、図書館利用

の核心的一面でもある。この意味からこの部屋のスペースを

ふやしかつ資料の充実を図った。

(ハ) 3階各室について

 ○青少年閲覧室

 従来は学生・生徒閲覧室として、3階のスペースのほとん

ど全部をこれにあてていた。この部屋の利用者の大部分は不

閲覧者であり、単に家庭の勉強部屋の代替えにこの部分を使

用していた。図書館法で規定する図書館の奉仕機能の中にも、

この種の施設利用は含まれていない。したがって他の県立図

書館ではこの種の入館者には一定の規制をしているところが

多くなっている。本館としては、本来的意味の利用者をふや

す意図のもとに模様替えを実施するのであるから、1階全部

を利用者に解放するため、3階に事務室・館長室を移動する

必要から、やむなく学生・生徒閲覧用のスペースを半減した。

これに伴い従来男女別の閲覧室の区分を廃止して、単に「青

少年閲覧室」と名称を改めた。

(3)実施作業

 昭和47年3月30日までにすべて計画を終り、4月20日新装

開館を目標として、31日から4月19日までを作業期間として、

全館員あげて従事した。

2.館内奉仕

 館内奉仕は前述した模様替えにより面目を一新したが、と

くにここでふれておきたいのは受付の廃止である。従来は正

面玄関からはいってすぐ右側に受付をおき、ここで利用票の


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。