教育年報1972年(S47)-272/285page

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  交付・閲覧席の指定・利用案内等の業務を行なっていた。し

  かしその位置が適当でなく、また軽読書室の新設により、同

  室の利用さらに図書館全体が気安く利用され親しまれる図書

  館にするために、あえて廃止にふみきったものである。結果

  は利用者からたいへん好評をもって迎えられた。その他では

  利用者懇談会を開催して図書館運営について意見を求め、ま

  た写真展を随時開催して、潜在利用者の誘引を図ったことを

  特筆しておきたい。         

  (1)利用者懇談会の開催

   公共図書館の不振の根本的問題点として、図書館資料費の

  絶対的な不足が指摘されているが、乏しい図書館資料費とわ

  ずかな蔵書、それによる利用者の失望と地域社会の無関心は、

  図書館資料費の増加を困難にしているという悪循環をなかな

  か断ち切れないでいる。また公共図書館といえば、学生・受

  験生のための勉強部屋、気楽にはいれない堅苦しさ、本を借

  りる手続きのめんどうくささといったイメージがいまだに住

  民の間に根強く残っていることも事実であり、図書館資料費

  の絶対的不足と相まって、二重に公共図書館の不振を招く原

  因ともなっている。図書館資料費の増額は、図書館側だけの

努力には限界がある。わかりきったことではあるが、世論の

  支持が絶対条件である。そのためには、図書館資料費が少な

  い、人手が足りないと歎くばかりでなく、少しでも世論の支

  持を得られるように、手近かなところでそれほど金はかけな

  くともやれるところがらやってみようではないか。職員の気

  持が一つになって、館内模様替えとなって表われ、そこから

  また利用者懇談会の発想が生まれた。

   日頃図書館を利用してくださる利用者の中から21名の方に

  出席を依頼して、1)館内模様替えについて2)利用者の増加策

  について3)図書館資料についての3つのテーマについて意見

  を交換した。

  (2)展示会等の開催

   近代図書館では集会・展示のためのホールの施設を備える

  のが常識で、随時各種催しものを主催して地域住民に公開し

  ている。そうしたことによって日頃図書館に足をはこぶこと

  のないいわゆる潜在利用者の開拓を図っているわけであるが、

  本館ではそうした施設を持たないので催しものの開催は不可能

  である。しかし創意工夫により閲覧室の壁面等を利用し、コ

  レクター、NHK等の協力を得て、ささやかではあるが開催

  することができた。観覧者の多くは常連的な図書館利用者で

  あったが、初めて図書館を訪れたと見られる人達もかなり見

  受けられたので、それなりに効果はあったように思われる。

   ○資料展

   福島県の詩人たち(処女詩集・創刊詩誌)  47年5月

   日本と中国(本でみる日中関係史)     47年6月

   沖縄県の誕生(本でみる沖縄)       47年7月

   ふくしまの山               47年8月

   ○写真展

   蒸気汽関車への挽歌   47年6月

   高松塚古墳       47年7月

   福島の野鳥       47年8月

   平家物語とその時代   47年9月

    3.利用状況

 館内模様替えによりかなりの増加が期待されたが、結果的

には数字で見る限り前年度の実績をわずかに上まわる程度に

止まった。しかし参考図書コーナー、新聞雑誌コーナー、新

設の軽読書室等は、利用票を廃止して自由閲覧制を採用した

ので、これらの利用は数字には表われてこない。それらの利

用を含めると実際にはかなり増加しているものと考えられる。

→〔表1〕

 館内利用について、職業別に見ると、数字の面ではかなり

の減少をしめしているが、これは前述したように閲覧制度の

変更によるもので、単純に前年度と比較してみることはでき

ない。学生・生徒の利用減は模様替えにより閲覧席が半減し

たことが原因と見られる。

 館外利用の面では、やはり児童の伸びが注目される。児童

の利用増加のすう勢は少しもおとろえず、ますます強まる傾

向にあるが、本年度は前年比30%の伸びである。しかし貸出

登録者は55%の伸びにもかかわらず、延利用人員の伸びが鈍

化しているのは、もっぱら児童図書の不足に起因しているよ

うに思われる。

 児童の利用増加と児童に対する図書館奉仕の重要性にかん

がみ、児童図書の整備充実には、重点施策として取組んでい

るが、限られた図書館資料費の枠内で考慮せざるを得ないの

で、児童のおう盛な読書欲を満たすだけのじゅうぶんな量を

供給することは極めて因難な状況にある。

 4.調査相談事務

 調査相談事務は一般公開図書を主とした貸出事務と同居し

ていたが、模様替えにより調査相談室として独立したので、

機能的にもスッキリした形で事務が遂行できた。そして独立

を機会に室内に県内同人誌・県関係行政資料・郷土資料の各

コーナーを設け、また縮刷版も含めて主要日刊紙の2年分・

特許公報の一部、その月のものだけだった月刊誌についても

バックナンバーを揃えるなど資料の大幅な公開を図った。ま

た、これらの資料は一部を除いて利用票に記入しなければ閲

覧することができなかったが、利用票を廃止して自由閲覧制

を敷いた。

(1)回答事務

 郷土出身作家や江戸期に本県で支配した大名の経歴、ある

いは労働団体・銀行・会社等の所在地の照会など、個人・団

体に関することや、郷土史に関する調査依頼がもっとも多く、

依頼件数の52%を占める。しかも県外からのものが大部分で、

遠くは九州・中国地方などからの依頼も少なくない。依頼内

容もとくに郷土史関係では、高度なものが多くなり、所蔵資

料だけでは解決できず、郷土史家や他の図書館に再依頼して

処理しなければならないものも多かった。→〔表4〕

 (2)複写サービス

 利用件数は前年度605件に対して1391件という増加ぶりで

ある。内容別に見ると新聞が2902枚から4484枚参考図書1811

枚が4131枚とそれぞれ大きく伸びているのが注目される。新

聞の場合は、記念誌や社史あるいは市町村史の編さん資料と

して、参考図書は学生が主で宿題解決のための利用が多い。

職業別では、社会人が55%、学生45%で、図書館資料の利用

の場合と異なり、社会人の利用が学生を上廻っている。複写

業務は今後もますます増加の一途をたどるであろうことが予


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