教育年報1973年(S48)-094/273page
第5節 学校防火
学校火災は公有財産を焼失するばかりでなく、児童・生徒
の学習の場を失うことになり、加えて精神的打撃を与え、学
校教育の質的低下をきたし、教育行政を停滞させるなど社会
に及ぼす物心両面の影響はまことに大きい。
県教育委員会としては市町村教育委員会ならびに学校当局
と協力して学校火災の絶無を図るべく努力をしてきた結果、
無火災をつづけていることはまことによろこばしいことであ
る。
本年度の学校防火対策は次のとおりである。
1.学校防火査察の実施と指導
(1)県教育委員会の実施事項
1) 学校が行う学校防火診断の徹底した実施の指導をする。
2) 無人校をなくすよう宿日直代行員の設置促進を指導する。
3) 木造校舎のうち小学校42校、中学校26校、計68校を対
象として県教委管理主事、消防署員が中心となって学校
防火査察を行い、代行員の設置、査察結果の改善点につ
いて市町村に要請する。
4) 県内9か所で学校事故防止対策研究協議会を開催し、
防火に関する具体的研究を行う。
5) 防火に関する広報活動を強化し、防火思想の高揚をは
かる。
(2)市町村教育委員会に対する指導
1) 小・中学校宿日直代行員、警備員の配置を促進する。
2) 防火診断を計画的、科学的に実施し、防火体制を強化
する。
3) 学校管理体制を検討し、教職員ならびに宿日直代行員
の宿日直代行員の宿日直勤務の厳正を期する。
4) 防火に関する施設・設備の改善充実をはかり、その的
確な活用につとめる。
2.学校防火診断の実施
(1) 防火診断実施のねらい
各学校ごとに防火に関する自己診断を行い、防火体制そ
の他について診断評価し、問題点の発見につとめるとともに、
これが対策を講ずることによって、平常の防火管理を強化
し、学校火災の発生を未然に防止するため、学校防火診断
を毎年5月1日、12月1日を中心として実施している。
(2) 防火診断の内容
1) 防火体制
ア、消防計画が適正に作成されているか。
イ、消火通報伝達の方策が樹立され、避難訓練が定期的
に実施されているか。
ウ、防火管理は適切になされているか。
エ、防火に関する教育は適宜行われているか。
2) 宿日直(警備・代行)員の勤務状況
ア、防火のための巡視は規定どおり実施されているか。
イ、宿日直日誌は確実に記載されているか。
3) 火気関係設備および取扱い状況
ア、煙突と煙道は防火上の問題点はないか。
イ、ストーブ、火鉢、こんろの配置、使用は適切か。
ウ、石油燃焼施設は、可燃物との距離は適切か、石油、
石炭等の保管状況は良好か。
工、都市ガス、プロパンガスの配管、器具に破損はないか。
オ、取灰、たき火の処理は適切か、たばこのすいがらの
処理はどうか。
4) 電気設備
ア、定期的に絶縁抵抗試験を実施しているか。
イ、電気器具の使用方法は正しく行われているか。
5) 消防用施設、設備ならびにその管理
ア、消火器は基準数量が配置され定期的に消火薬剤の更
新が行われているか。
イ、避難階段、避難袋等の避難施設に故障はないか。
ウ、消火栓は非常時に使用できる状態にあるか。
エ、非常警報設備器具は作動し、児童・生徒に周知され
ているか。
オ、防火壁は作動するか。
3.学校事故防止対策研究協議会の開催
(1) 趣 旨
県下市町村教育委員会、小・中・養護学校および県立学
校の防火対策、交通事故防止対策について研究協議を行い、
もって学校事故防止体制の強化をはかり学校火災および教
職員の交通事故の絶無を期する。
(2) 参加者
市町村教育委員会教育長または事務局職員 100名
小・中・養護・県立学校の校長又は教員 970名
(3) 会 場
県 北 福島大学附属小学校 10月30日
二本松市立二本松北小学校 10月31日
県 中 郡山市立橘小学校 10月31日
石川町公民館 10月30日
県 南 白河合同庁舎 10月31日
会 津 会津若松市立鶴城小学校 10月30日
南会津 田島合同庁舎 10月31日
相 双 原町市立原町第一小学校 10月31日
いわき いわき市立平第一小学校 10月30日
(4) 師・助者
関係防火署職告
福島県教育庁義務課長・主幹、管理主事
〃 高等学校教育課長、主幹、管理主事
各教育事務所長、次長、管理課長、管理主事
(5) 主な内容
1) 講 義
木造校舎の防火診断の結果と問題点
学校防火対策について
教職員の交通事故の傾向と事故防止対策
2) 協 議
教職員の交通事故防止対策について
4.教職員の宿日直勤務軽減