教育年報1973年(S48)-249/273page
移の力をつける複数授業のあり方を究明した。
安達町立下川崎小学校においては、異学年の一部合併授業
の体育、音楽、図工をとりあげ、小規模少人数校における本
質的な授業展開のための適正集団の編成と、完全学習をめざ
した教授過程の構成、その役割分担のあり方を追求した。そ
の結果はひとりひとりの児童の学習姿勢が変わり、積極性と
主体性が高められたようであり、効果的な学習指導のあり方
として、自信をもつことができた。
3.福島県診断標準学力検査問題の作成
(1)作成の趣旨
全県的な視野に立って学校・学級の学習指導の状況、およ
び、児童・生徒の学力の実態をとらえ、学習指導改善の資料と
して役立てることを目的として、本年度は中学校の「診断的
性格を帯びた福島県で標準化した学力検査問題」を作成する
ことにした。
(2)作成の方法
本年度は第2年次として、前年度に引き継ぎ、問題作成委
員30名により、1・2年の差し換え問題と、3年の予備問題
を作成し、それを15名の問題審議委員によって、その内容の
普遍性・妥当性を十分検討し、合同会議によって成案を得る。
(3)実施内容
本問題の作成は次のようである。
1) 該当学年 中学校1・2年
2) 対象教科 国語、社会、数学、理科、英語の5教科
予備問題は、3年の上記5教科である。
さらに本問題の標準化のために、標本校を無作為に抽出し、
本テストを実施した。
1) 標本校および実施延人員
標本校数 6校
実施延人員 5450人
2) 問題の検討
小問正答率、領域または観点正答率から統計処理法により
妥当性を再吟味するとともに、標準化としての換算表を作成した。
4.基礎的教育相談の研究(実態調査を中心
(1)研究の目的として
本県における児童・生徒の実態をは握しようとして長欠
ならびにかん黙の児童.生徒を調査した。当センターに来
談ずるケースから見て、学校に行きたがらない子ども、ま
た話したがらない子どもが、県内各地域にはかなりいるの
ではないかと思われた。したがって、この実情をは握し、
学校当局をはじめ教師が、これらの児童・生徒にどう対処
し、どんな指導の手を打つべきかを考えるよりどころの資
料を作成しようとした。
(2)方法
1) 調査の対象として、県内公立小学校児童、中学校生徒
とし、各学校の3分の1の無作為抽出とした。
2) 抽出校は、小学校188校、中学校91校で計279校とし
た。
3) 調査内容はつぎのとおりである。(内容を省く)
長欠児童・生徒に関するアンケート15項目
かん黙児童.生徒に関するアンケート15項目とし、各調
査とも、1項目より8項目までは、個人的微候について、
9項目、10項目は本人に関する事項、11項目から15項目
までは、本人の家庭環境等とした。
4) 質問紙法とし、市町村教委を通じ各学校で記入。
(3)集計・分析の結果から
長欠児童・生徒数
県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 合計 小学校 13 8 8 4 0 3 11 47 中学校 12 20 12 5 0 3 15 64 合計 25 28 20 9 0 6 26 114
かん黙児童・生徒数
県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 合計 小学校 32 32 10 11 2 8 10 105 中学校 5 8 1 6 0 5 13 38 合計 37 40 11 17 2 13 23 143
1) 長欠児童の出現率は、0.066、中学校は0.167(全国の
出現率は、小学校0.052%、中学校は0.011%)かん黙
児童は、0.149、中学校は0.095で、全国の小学校平均
は019である。
2) 長欠児童・生徒、かん黙児童・生徒の傾向をこの研究
で明らかにするとともに今後の対策も考えた。
3)普通学級の中で、長欠やかん黙の傾向を早期に発見し
て必要な処置を講ずることの検討。
4) 県内の抽出校において、該当児童・生徒の指導で効果
的と思われたこと、非効果的にあったことをのべた。
5) 当該児童・生徒の類型やその取り扱い上の留意点など
もあげたが、詳細は昭和49年3月末発行予定、当センタ
一教育研究紀要第15号の内容を参照されたい。
5.児童・生徒の社会認識に関する研究
(1)調査の目的
この調査は、児童・生徒の社会認識に関する研究で、次の
ような目的のもとに実施した。
1) 男女交際とそのあり方、性情報に対する反応、性意識
の発達などの調査をとおして、今後の児童・生徒の理解
や性に対する適切な指導のための基礎資料を得る。
2) 児童・生徒の文化的環境から見た社会認識とくみあっ
て形成される性意識や行動の変容を分析的に究明する。
(2)調査の方法
1) 調査対象 小学校6年、中学校2年、高校2年生
2) 調査人員 小学校235名、中学校241名、高校200名
3) 調査方法 都市、農村を考慮して抽出、計676名
調査内容は、小、中、高共通とする。
面接調査は、小、中、高160名実施する。
(3)調査項目
1) マスコミに対する認識
○テレビ番組への接触度 ○テレビの関心度合
○テレビ視聴の態度
2) 男女交際に対する認識
○異性への意識状況 ○男女交際と周囲の理解度
○異性の交際状況となやみ