教育年報1973年(S48)-258/273page

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県立図書館

第1節 概要

 社会教育の重要性の再認識と、さらには生がい教育の提唱

など、近時ますます多様化する社会構造の変化と、急変する

諸情勢の中にあって、われわれはつねにこれらに対処し得る

知識と教養を身につけてゆかねばならない。

 このようなとき、図書館は最も手軽にその要求にこたえる

ものであり、また、週休2日制の普及などとあいまって、図

書館の果たす役割はますます重要なものであるといわねばな

らない。

 しかしながら、一般県民の図書館に対する認識はまことに

低調であり、昨年度の館内における大幅な模様替から1年を

経過した今日においても、利用状況においてとくに顕著な変

化はみられない。図書館はやはり数多くの利用があるのが望

ましいわけである。

 昭和48年度はとくに図書館存在のPRをねらいとして、諸

行事の実施、展示会・読書グループの育成など活発に推進す

る一方、図書資料の充実奉仕体制の強化などに意を用いたが、

いわゆる図書館としての機能を十分に果たすための施設、設

備および機構または利用者から要求される諸問題に応ずるた

めには、どうしても抜本的対策が必要であると思われる。

 1.図書館協議会

  図書館法に基き設置する図書館協議会委員は本年度下記

 のとおり委嘱された。

 県立図書館協議会委員 任期 昭和48年4月

                昭和50年3月

氏    名 役   職   名
栗原喜蔵 県立福島女子高等学校長
神野忠雄 郡山市立郡山第一中学校長
鈴木きよ 県婦人団体連合会理事
山崎甚二郎 県公民館連絡協議会監事
辺見正治 福島市教育委員会教育長
大野雅人 県議会議見
平井博 県文化センター館長
渡辺源次郎 福島大学経済学部教授
穴沢栄 日赤福島県支部事務局長
小林忠道 福島市社会教育委員

第2節 整理事務     

1.図書館資料の収集

(1)一般資料の収集

 資料の収集に当たっては、各部門の参考図書・学術書など

の基本図書に重点をおいたが、とくに参考図書のうち辞典・

事典等は刊行後10年以上経過したものを調査し全面的に更新

を図った。大百科事典のごときは、昭和33年の刊行であり、

すでに15年を経過しているところから、利用者の間に最新版

の購入希望が寄せられていたものである。その他技術革新の

著しい工学関係および自然科学・産業面の整備に努めた。参

考図書以外の基本図書では、幕末史としてはその資料性が高

く評価されている史談会速記録、戦前の思想取締、特別高等

警察などの資料を含んだ社会問題資料叢書、日本庭園の歴史

的変遷の集大成である日本庭園史大系など、各部門の基礎資

料の収集に努めた。しかし反面近代文学館シリーズ、児童文

学館シリーズなどは、総額100万円を越えるため、残念なが

ら見送らざるを得ないものも少なくなかった。

(2)地方行政資料の収集

 地方行政資料の収集は、毎年重点施策として努力している

が、その成果は必ずしも良好とはいえないものがある。県関

係機関から刊行される資料は、年間おびただしい数にのぼる

が、そのうち送付されてくるのは、おそらく60%と予想され

る。送付されないもののなかにむしろ貴重なものが多く、な

んらかの機会に目にふれたり、耳にしたりして、あわてて寄

贈を依頼するという場合が少なくない。市町村関係について

も同様で、量的には県関係より多くはないが、資料性の高い

ものが少なくない。しかしそれらはほとんど目にふれること

もないので、みすみす見逃しているものが多い。送付された

資料は整理して永久保存とするので、将来の県民にとっては

貴重な資料となるのであり関係者のご理解とご協力を切望す

る。

(3)資料の受贈

 年間を通じ官公庁・大学・会社その他個人から寄贈される

資料は非常に多く、とくに本年度は神奈川県史、東京百年史、

愛知県昭和史などの郷土史関係、また大学関係では増加図書

目録、特殊資料目録、研究紀要、研究報告などが目立った。

しかし県内の同人誌や個人出版のものなどは、異常物価のあ

おりを受けてかなり減少したし、活版印刷から謄写印刷へ

と体裁上は質の低下が見られた。

 2.図書館資料の整備

(1)蔵書の検討

 図書館資料の収集は、一般資料については、館内における

収書委員の調査研究による推せんを、委員会で充分検討し決

定するという形で万全を期している。蔵書構成の適否は図書

館奉仕を左右するといわれるほど重要な問題であるので、年

次計画により外部の専門家による蔵書診断と適書の推せんを

依頼しているが、本年度は昨年度の文学部門に次いで、芸術

部門を取上げて委員を委嘱し、数回にわたって図書選定委員

会を開催し、充分な検討を願った。なお47年度の文学部門に

ついては結果報告書に盛られた意見と助言に添って整備を図

った。本年度の委員は次のとおりである。


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