教育年報1974年(S49)-280/303page

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  第2節 教育研究に関する事業

  1 学校経営改善に関する研究

     一現職研修一

(1)研究のねらい

  学校経営は、教育活動に関する諸要因を、機能的に構造

 づけて、組織活動の役割を十分に果たすことにより、学校

 教育目標の達成を図ることである。教育内容・方法が高度

 化し、複雑化してきている現在、個々の教師の持つ教育力

 こそ、日標実現に極めて重要な要素である。

  そこで、現場における現職研修を対象に、その機能的構

 造と組織活動についての実現を明らかにしようとした。

(2)研究の視点

 1) 研修組織と研修活動の単位との関連

 (2)研修計画と組織との関連

 (3)研修分野と内容の傾向

(3)研究方法

 1) 質問紙法による現職研修に関する実態調査

 2) 本県小学校・中学校を対象に無作為抽出によって実施。

   (標本数、小学校110校、中学校80校)

(4)研究概要

 1) 研修時間の確保

   研修推進上の阻害要因を明らかにし、研修時間と研修

  形態との関連を考察した。

 2)研修組織

   研修組織が経営組織の中にどう位置づいているか。ま

  た研修担当スタッフの構成について実態をまとめた。

 3)組織と活動の単位

   研修活動の単位や形態の実態をとらえ、それらと研修

  組織との関連を機能面から考察した。

 4) 研修計画の策定と組織

   研修計画策定とそのスタッフ、並びに研修組織の機能

  的な関係について、実態をとらえて考察した。

 5)研修内容

   主な研修分野と、共同研究を対象とした主な研究内容

  について、その傾向をまとめた。

 2 教授組織に関する研究

(1)研究の視点

  学年(学年団)経営を推進母体とし、学習指導・生徒指

 導はもちろんのこと、校務も学年(学年団)を単位として

 分担する協力組織体制において、次のような具体事項につ

 いて究明した。

 1) 単元指導計画の共同作成

   実際の授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計

  画とし、単位学年、あるいは近接学年による学年団で共

  同作成する。そのためには、学年(学年団)の組織を分

  業・協業が可能であるよう配慮する。

 2) 教材、発達段階・経験に応じた単位集団の再編成教材

  の性質、あるいは教科内容に応じ、児童・生徒の発達段

  階・経験によって、既成の学習集団を合わせて大集団に

  したり、グループに分けて小集団にしたりすることであ

  る。そのためには、単位学年の教師が協力して、生徒指

  導が行われる体制にする。

 3)教師の特性を生かしたチーム・ワーク

   教師の特性を生かし、教授過程における段階的な確か

  めや、教育機器の導入を可能にするため、主となる教師

  援助する教師といった役割で主体的に分担し、協力し合

  って本質的な授業を展開する。この役割分担は固定した

  ものでなく、教材の内容によっても交替するなど、弾力

  性を持たせる。

(2)研究のねらい

  実験学校の研究のねらいを次のようにする。

 1) 協力教授組織による教授過程とその役割分担活動

   実験学校  福島市立吉井田小学校

   学校経営の中核を教授・学習組織に置き、事務組織・

  運営組織を関連的に構成し、相互協力体制をとる。

  ア 具体的な研究のねらい

   (ア) 体育の合併授業による単元指導計画の共同作成と

    協力分担授業の進め方。

   (イ)理科の複数授業による、個別化・集団化の単元指

    導計画の共同作成と協力分担授業の進め方

  イ 学年団構成と実施教科

   (ア)低・中・高学年団とする。

   (イ)全学年団による体育の合併授業

     高学年団による理科の一部複数授業

    高・中学年団による4教科の専科的授業

2) 小規模少人数校における協力体制による役割分担とそ

  の活動

   実験学校  安達町立下川崎小学校

   小規模少人数校においては、教科の性格及びその内容

  によっては、集団、環境構成面から本質的な授業の展開

  が困難なものがある。その障害を除くため近接2学年を

  合併しての授業が考えられる。しかしこのことは、複式

  授業解消に逆行するのではないかと懸念もされるが複式

  授業の通年性に対し、2学年合併授業は、適正集団によ

  る。ある教科の一部授業ということである。また学習は

  個人に成立するという前提から、教師のチーム・ワーク

  により自己調整の学習をさせようとする試みである。

  ア 具体的な研究のねらい

   (ア) 学年のわくをはずした集団再編成による教授過程

   (イ)教授過程における教師の役割分担とその活動の進

    め方            

  イ 学年団構成と実施教科

   (ア)低・中・高学年団とする。

   (イ)全学年団による体育・音楽の合併授業

   (ウ)第6学年による理科の一部複数授業

3)実験学校による検証

   福島市立吉井田小学校においては、全学年団を通した

  体育の合併授業をし、2クラス3教師による授業を行い、

  教授過程の構成、役割分担のあり方を追求した。その結

  果は一人一人の児童の自己調整を高め、技能の向上とと

  もに、気力・体力の充実が見られたようで、そのあり方

  が確かめられた。


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