教育年報1974年(S49)-281/303page

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   高学年では理科を取り上げ、反応を助長することによ

  り発想を高め、立体的な解決・転移の力をつける複数授

  業のあり方を究明した。

   安達町立下川崎小学校においては、異学年合併による

  体育・音楽、第6学年の理科一部複数授業を取り上げ、

  小規模少人数校における本質的な授業展開のための適正

  集団の編成と、完全学習を目指した教授過程の構成、そ

  の役割分担のあり方を追求した。その結果は、一人一人

  の児童の学習に立ち向かう姿勢が変わり、積極性と主体

  性が高められたようであり、また他学級との交流が拡大

  し、望ましい社会性の形成に役立ったようである。個別

  化・集団化を意図した効果的な学習指導のあり方として、

  自信を持つことができた。

  3 福島県診断標準学力検査問題の作成

(1)作成の趣旨

  全県的な視野に立って、学校・学級の学習指導の状況及

 び児童・生徒の学力の実態をとらえ、学習指導改善の資料

 として役立てることを目的として、本年度は中学校の「診

 断的性格を帯びた福島県で標準化した学力検査問題」を完

 成することにした。

(2)作成の方法

  本年度は第3年次として、前年度に引き続き、問題作成

 委員29名により、1・2年の問題を完成し、基準尺度の構

 成がなされた。また、3年の問題については、予備テスト

 を実施し、その結果について、13名の問題審議委員を交え

 て信頼性・妥当性を検討の上問題を差し替え、本問題を完

 成し、尺度作成のためのテストを実施した。

(3)実施内容

 1) 本問題の作成は、次のようである。

  ア、該当学年  中学校1・2・3年

  イ、対象教科  国語、社会、数学、理科、英語

 2)1・2年用については、尺度の構成が完了し、3年用

  については、尺度構成のための本テストを実施した。

  ア、標本校及び抽出単位数

    標 本 校  23校(県下一円、層別無作為抽出)

    抽出単位数  3,850

  イ、尺度の構成

    小間別標準正答率、領域別並びに学力偏差値換算表

 4 教育相談の基礎的研究

    実態調査を中心として

(1)研究の日的

  本県における公立高等学校生徒の精神衛生教育の実態一

 特に、生徒の自殺及び自殺未遂生徒の実態をは握し、今後・

 の指導と対策に役立てることを目的として実施した。

(2)調査の方法

 1)調査対象

   県内の公立高等学校109校(定時制高校、分校も含む)

 2)調査内容

  ア、教育相談室の有無とその利用状況、テストの利用

  イ、教育相談係の組織と係員の持ち時間

  ウ、自殺及び自殺未遂生徒の数、自殺(未遂)の動機と

   原因、自殺(未遂)の方法手段、自殺(未遂)の行わ

   れた時間、場所、自殺(未遂)生徒の成績、性格、両

   親の養育態度、クラブ活動状況

  エ、自殺(未遂)生徒に対する対策の実態

  オ、自殺者があった場合の他の生徒への指導のあり方、

   及び自殺未遂者に対する指導のあり方

 3)質問紙法とし、各学校より直接回答を得た。

(3)集計・分析の考察

 1) 性格テストの実施率は、極めて低い。

 2) 相談室の設置状況は予想よりよいが、相談室の利用は

  あまりよくない。

 3)相談係は、非常に多彩な名称の部署に所属していて不

  統一である。相談係の持ち時間には軽減がまったく考慮

  されていないきらいがある。

 4) 自殺の動機、原因については、本県に固有のものは見

  つからなかった。

 5)自殺の方法手段についても、特有のものが見当たらな

  かった。       

 6) 自殺未遂生徒の指導については、早期発見、早期治療

  再度の行為の防止以外に良策がないことが痛感された。

 7) 自殺生徒の声なき声、淋しさ、つらさの訴えを早期に

  理解することが、自殺防止に絶対必要なことが痛感され

  る。

  5 児童・生徒の発達段階の特徴に

  応ずる研究

(1)調査の目的

  この研究は、児童・生徒の学習能力開発の一環として考

 察しようとするものであり、本年度は、家庭生活の技能面

 を学習指導の関連においてとうえようとして、次のような調

 査を行った。すなわち、児童・生徒の発達の実態と、学習

 で要求される基礎的な技能との関係を究明しようとして、

 次のような調査を行った。

(2)調査の方法

 1) 調査対象 小学校5年 6年 中学2年

 2) 調査人員 小学校551名 中学校309名

 3)調査方法都市と農村の学校を無作為抽出して、児童・

        ・生徒860名に実施。質問調査内容は、小、

        中共通とし、面接調査は、小・中合せて180

        名に実施した。

(3)調査項目

 1)子供の発達を支える家庭、学校の状況  2)家庭、学校で

 の基礎的技能の取得状況3)技能と学習に対する好嫌、並

 びに作品のできばえとの関係。

(4)調査結果の分析と考察

  戦前と戦後の児童・生徒の基礎的技能の発達に著しい変

 化が存在していることがわかった。環境や経験内容の変化

 がその主な原因と考えられるが、個人的差異も極めて大き

 く、一人一人を伸ばす教育のためには、どうあるべきかが

 今後の課題と言えよう。また基礎技能の発達の差異をとら

 える反面、これに先行する教育のし方もあわせ考えて、教

 育の内容や方法の研究もまた忘れてはならないと思う。


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