教育年報1974年(S49)-290/303page
福島県立図書館
第1節 概 要
近年ますます激しい社会構造の変化、更には情報接触の幅
の広がり、余暇時間の増大等に伴って、図書館の果す役割は
更に重要性を加えてきている。
本年度においては、これら利用者の要求に応じるための資
料の整備充実を図るとともに、だれでも気軽に利用できるよ
う奉仕体制の強化に努めた。また、人間形成に重要な役割を
果たすと思われる読書については、全県的な普及活動を行い、
成果をあげた。
特に、次に掲げるものについては、重点的に意を用い、図
書館活動を積極的に推し進めた。
(1)調査相談業務の強化
(2)基本図書特に学術専門図書の整備充実
(3)移動図書館の効果的な巡回奉仕
(4)読書普及活動の推進
なお、新館建設の機運に伴って、現在の社会情勢に対応す
るとともに、将来の展望に立っての最新の図書館づくりを目
指し、調査検討を加えてきたが、本年度は図書館建設調査研
究会を設け、先進県の施設を視察する等、第一歩を踏み出し
ている。
1 図書館協議会
図書館法に基づいて設置するところの図書館協議会の委員
は、下記のとおりである。本年度は4回協議会を開催し、図
書館の運営その他について意見を求めるなど、協力を願った。
県立図書館協議会委員
任期(昭和48年4月〜昭和50年3月)
氏名 役職名 赤津千町 県立福島女子高等学校長 神野忠雄 郡山市立郡山第一中学校長 鈴木きよ 県婦人団体連合会理事 山崎甚二郎 県公民館連絡協議会監事 辺見正治 福島市教育委員会教育長 大野雅人 県議会議員 平井博 県文化センター館長 渡辺源次郎 福島大学経済学部教授 穴沢栄 日赤福島県支部事務局長 小林忠道 福島市社会教育委員
第2節 整理事務
本年度から係制が敷かれ、資料の収集・整理担当を資料整
理係、閲覧・貸出・調査担当を調査相談係とした。このこと
から、業務の流れの円滑化を図り、図書館奉仕の向上に努め
た。
1 図書館資料の収集
(1)一般資料の収集
各部門の基本図書の収集に努めたことは当然として、昨
年度の選定委員会の診断に基づき、芸術部門に重点を置い
て収集した。また特筆されることは、福島競馬場から出版
時から入手を望まれていた「近代日本文学館」(名著複刻
115冊)の寄贈を受け、備えることができたことであった。
(2)郷土資料の収集
長年、県内において出版されたものの寄贈方について、
各方面を通じて呼びかけた結果、個人、団体に関するもの
の寄贈が多くなってきていることは喜ばしい。しかし、地
方行政資料については、その成果は満足すべきものではな
い。これらは毎年出版されるものであり、それらを継続し
て蓄積することによって、資料的価値が生じるので、その収集
については、館の業務能力とにらみ合せて具体策を講じる
よう、心がけていかねばならない。
(3)資料の受贈
前述の「近代日本文学館」をはじめ、受け入れされたも
の数百冊となっている。郷土資料としては、県内の各小学
校が創立百周年を迎え、それを記念した「百年史」が本年
度の特色と言える。
2 図書館資料の整備
(1)蔵書の検討
蔵書構成については、常にその適正化を心がけ、司書が、
その任に当たっているが、各分野にわたって専門的知識を
有するものではない。そこで数年来実施している専門家に
よる図書選定委員会は、本年度“語学部門”について委嘱
し、綿密な診断に基づいて、必要図書のリストアップを願
い、購入可能のものについては整備に着手した。委員は、
次のとおりである。
(語学部門)
担当分野 氏名 職 日本語 渡辺義夫 福大助教授 中国語 東洋語 長尾光之 福大講師 英語 西村嘉太郎 福大助教授 ドイツ語 鷲尾多三郎 福大講師 フランス語 川村重和 郡山女子大教授 ロシア語 真木実彦 福大教授
(2)蔵書目録の刊行
昭和48年度に収集された約4,300冊について増加目録を
刊行し、県内各関係機関をはじめ、都道府県立図書館、大学
図書館等へ配布した。これも将来は、その利用面から考え
て、数年分をまとめるか、各部門をまとめるか等検討すべ
き事項が生じてくるものと考えられる。