教育年報1975年(S50)-034/303page

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 したがって、心身障害児教育の成否は、特別な専門的知

識、技術を有する熱意ある教員の確保と養成にかかってい

 るといっても過言ではないであろう。

2 公立養護学校の適正配置等の施策

  以上の基本的考え方に基づき、公立養護学校の適正配置

等についての施策をあげる。

 1 就学指導体制について

  (1) 適正な就学業務を推進するために、市町村における

   心身障害児就学指導体制を整備するとともに継続的な

   教育相談ができるよう配慮する必要がある。また、養

   護学校の義務制をひかえ、昭和53年度までに就学指導

   委員会の未設置町村を解消すべきである。

  (2) 小・中学校における判別と就学指導組織を校務分掌

   上の組織として明確に位置づけ、市町村教育委員会の

   就学指導委員会と有機的な協力によって、心身障害児

   に対する適切な教育措置を講ずべきである。また、学

   校における心身障害児の就学指導を充実するためには

   すべての教員が心身障害児教育に理解と関心を持つと

   ともに、判別・就学指導の知識や技術の向上に努力す

   る必要がある。

  (3) 県下4か所に設置してある「福島県心身障害児判別

   ・就学指導会議」の設置根拠を条例ないし規則として

   その組織運営を改善し、機能を強化する必要がある。

   また、市町村や学校の心身障害児就学指導、教育に関す

   る指導と援助を行うため、専門職員を教育事務所等に

   配置する必要がある。

  (4) 教育、福祉、医療の各機関が、それぞれ独自の体制

   で心身障害児の健康診査や実態は握を行っているが、

   相互連携を図り、情報提供システムを確立すべきであ

   る。

  (5) 心身障害児の具体的な判定基準、それに基づく教育

   措置基準を作成し、市町村教育委員会における心身障

   害児の適正な就学指導に資する必要がある。

  (6) 県全体の心身障害児の判別・就学指導、教育相談等

   のセンター的性格を有する機関を設置し、さらに県下

   数地域に心身障害児やその保護者及び教育関係者等の

   相談機関となる地域センターを設置すべきである。

 2 養護学校の適正配置について

  (1) 養護学校の設置は、県立を主体として適正にすすめ

   なければならないが、これとあわせて地域社会や家庭

   との関連ある教育をすすめるため、一定規模以上の市

   などにおいても養護学校設置を検討する必要がある。

  (2) 精神薄弱児施設内特殊学級を県立養護学校(分校も

   含む)とするため、施設等の協力を得て、その敷地内

   あるいは隣接地に校舎を建築するなどして整備を図る

   必要がある。

  (3) 病院内特殊学級を県立養護学校の分校ないし分室と

   し、病院の協力を得て、児童・生徒の病状に応じた教

   育の場を整備する必要がある。

  (4) 重症心身障害児施設(国立療養所福島病院、国立翠

   ヶ丘療養所)に入所している学齢児童・生徒は、可能

   な限り教育対象とし、施設内に養護学校の学級を設置

   し、医療、福祉と緊密な連携を図りながら教育をすす

   める体制を確立する必要がある。

  (5) 在宅の不就学児に対しては、医療に専念する必要の

   ある児童・生徒を除いては、養護学校に就学させるも

   のとし、関係機関と連携をとりながらそのための措置

   を講ずるとともに、状況によっては在宅のまま養護学

   校教員による訪問教育を実施すべきである。

 3 障害幼児の教育について

  (1) 障害幼児教育センターを県内数地域に設置し、心身

   障害児の早期発見、早期教育の体制を確立するととも

   に、特に聴覚障害、言語障害等言語発達にかかわる障

   害児については、教育を早期に実施すべきである。

    また、医療、福祉、教育の緊密な連携のもとに障害

   幼児をもつ両親に対し、系統的、継続的な助言、指導

   をすすめる必要がある。

  (2) ろう学校の幼稚部を拡充するとともに、盲学校、養

   護学校に幼稚部を設置すべきである。

  (3) 幼稚園に心身障害児が就園できるよう条件を整備す

   るとともに特殊学級の設置を検討する必要がある。

  (4) 保育所における心身障害児保育事業の推進を図る

   よう関係機関に要請する必要がある。

 4 義務教育以後の教育について

  (1) 精神薄弱者福祉法、身体障害者福祉法による援護施

   設及び職業訓練法による職業訓練校との関連において

   義務教育終了後の教育のあり方を検討すべきである。

  (2) 高等学校における心身に障害をもつ生徒の教育を充

   実するため、高等学校のあり方を検討し、当該生徒の

   実態に即した教育課程によって、高等学校教育が受け

   られるように検討すべきである。

  (3) 心身に障害をもつ生徒の発達段階に即した教育をす

   すめるため、中学部、高等部あるいは高等部のみの養

   護学校設置を検討すべきである。

  (4) 心身障害者を一般の成人学級、青年学級等に積極的

   に参加させる方途を講ずるとともに、必要によっては

   心身障害者のための青年学級等を開設すべきである。

 5 教育職員等の養成確保について

  (1) 心身障害児教育担当教員にすぐれた人材を確保する

   施策を講ずるとともに、現職教員の資質の向上を図る

   必要がある。

  (2) 養護・訓練担当の専門教員及び介助員等を確保する

   必要がある。

  (3) 心身障害児教育の内容、指導方法等の研究開発、教

   員の研修機関としての特殊教育センターを設置すべき

   である。             

 後 文

 以上、公立養護学校適正配置及び関連する諸問題の基本的

考え方並びに施策について述べた。

 今後、養護学校義務制の円滑な施行を図るため、昭和47年

1月14日付で本審議会から答申した「福島県特殊教育諸学校

の拡充整備について」の内容も検討し、近年における心身障

害児教育対象児の多様化に応じた具体的な計画を策定し、行

政上、財政上の措置を講ずる必要がある。

 また、養護学校の設置については、障害種別や地域等につ


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