教育年報1975年(S50)-038/303page
市町村数 人口1万人以上 市町村数 専任 兼任 未設置 90 40 28 25 3 人口1万人以下 市町村数 専任 兼任 未設置 50 9 36 15
(3) 市町村の社会教育主事は、市町村吏員とし、地域に密
着した活動を行っているが、反面専任者も少なく、あら
ゆる業務に忙殺されていたり、また他部局へ安易に配置
転換が行われたりして社会教育主事としての高度の専門
性を深めることが難しい実情にある。
(4) このような現状から、市町村の社会教育主事について
は
1) 未設置町村の解消及び市町村人口規模別の複数設置
制を積極的に推進する必要がある。
2) 社会教育主事の計画的な養成を図るため、資格取得
の講習や、関係大学による単位履習者の任用などを検
討する必要がある。
3) 学校教職員と社会教育主事との交流による相互理解
と緊密化を図る必要がある。
4) 社会教育主事の質的向上のため、現職教育の充実と
ともに身分の安定、処遇の改善を図る必要がある。
5) 社会教育主事の確保充実のために県および国におい
ても積極的に協力する必要がある。
2 課題に対する対応策
社会教育の内容の高度化・多様化に応じて、社会教育主
事の職務はますますその困難性と重要性を増している。
新しい社会の進展に即応した社会教育の質的向上に対応
する有能な人材を確保するためには次の施策が必要である。
(1) 社会教育主事の設置充実を図ること。
ア 設置を義務づけられている人口1万人以上の市町村
には、すみやかに設置させること。
イ 設置義務を猶予されている人口1万人未満の町村に
も、極力設置を勧奨すること。
ウ これらに要する財源保障のため、地方交付税の拡充
強化等について検討するとともに過疎町村への県費助
成を講ずること。
(2) 派遣社会教育主事の設置促進を図ること。
ア 福島県教育委員会告示「社会教育主事の市町村派遣
に関する要綱」による社会教育主事の市町村教育委員
会への派遣を促進すること。
(3) 社会教育主事養成制度の確立を図ること。
ア 福島大学において、社会教育主事講習をすみやかに
実施し、資格取得のための機会を拡大すること。
イ 福島大学に社会教育主事養成課程並びに研究室を新
設し、社会教育主事養成のための措置を講ずる必要が
あること。
ウ 社会教育主事資格取得のための通信教育制度の拡充
を図ること。
3 施策実施上の留意点
(1) 社会教育行政基盤の整備充実計画に基づく市町村独自
の社会教育主事の充実を促進すること。
ア 社会教育主事資格付与講習へ計画的に派遣すること。
イ 県教育委員会主催の市町村社会教育主事等研修会の
拡充強化を図り、単位取得制度を採用し、処遇改善
に位置づけること。
(2) 市町村の自主的な社会教育振興のため、市町村の社会
教育主事と派遣社会教育主事との職務分担を明確にする
とともに、相互協力し社会教育行政の深化に資するよう
配慮すること。
(3) 社会教育主事の専門性を確立し、人事処遇上適切な方
途を講ずること。
〈参考〉社会教育主事の優遇処置
1 大越町 課長補佐相当職とする。
2 石川町 発令と同時に1号俸アップする。
3 福島市 主任または主査を兼務発令し1号俸ア
ップする。
2章 公民館職員の充実について
1 現状と課題
(1) 公民館は、地域住民の集まる場、学ぶ場、つなぐ場で
あり、市町村における社会教育活動の中心拠点である。
最近とみに公民館を利用する住民の学習要求が多様化
・高度化する傾向に伴い、公民館に対する期待はますま
す大きくなっている。また公民館という教育機関がそれ
ぞれの設置目的を達成するためには、物的条件を整える
とともに人的条件を整える必要がある。とりわけ、専門
的な知識・技術をもつ専門的職員としての館長、及び主
事の企画者、実施者、更には相談、あっせん等の役割り
に対する期待がますます高まっている。
(2) 公民館は関係者の努力により、年々立派な建物が建設
されつつあるが、一方公民館職員の設置状況は、極めて
不十分である。
専任公民館長の設置率は39.7%(87名)、副館長は16.4
%(36名)また専任公民館の主事の設置は231名で最低
基準からみると26.3%で極めて低く、一館平均1.05人に
すぎない。
これを方部別にみると次のとおりで、格差も大きくな
っている。
項目/教育事務所 県北 県中 県南 会津 館長 32% 59% 41% 21% 主事 38% 29% 33% 53%
項目/教育事務所 南会津 相双 いわき 館長 16% 52% 50% 主事 15% 38% 20%
更に公民館の主事の在職年数は比較的短く、部局と
の交流も安易に行なわれることから、専門的な知識・技