教育年報1975年(S50)-039/303page
術を高めるための研修の機会を拡大する必要がある。
(3) また、現に勤務する公民館職員は、地域住民の学習需
要や余暇の増大に伴ない過重な勤務を予儀なくされ、健
康管理上多くの課題が生じている。
したがって、公民館職員の適正配置計画を策定し、計
画的な設置促進を図るとともに、館長、主事の専任化を推
進する必要がある。更に、公民館職員として行なうべき
職務の内容を明確にするとともに、その資質の向上のた
め、現職教育を積極的に行なう必要がある。
2 課題に対する対応策
公民館職員の設置を促進し、館長及び主事の専門性を確
立するためには、法的な条件整備とともに公民館に対する
評価を高める必要がある。
特に市町村理事者を含めた地域住民の理解と協力のもと
により積極的な施策を推進する必要がある。
(1) 公民館の館長及び主事の設置促進を図る。
1) 「公民館の設置及び運営に関する基準」について、
実態に即応する必要な改定を行ない、市町村の設置目
標を設定するとともに、市町村ごとに職員充実基本計
画を策定し、強力な行政指導を行うこと。
また館長及び主事の設置に要する財源確保のため国
及び県費による補助制度を確立すること。
2) 県においては、県内の公民館長及び主事の設置状況
や処遇の現状等について関係資料を作成し、その設置
を促進するとともに、処遇改善や人材確保について指
導すること。
3) 公民館等の施設を補助金により設置する場合は、そ
の施設に対応する職員を設置するよう契約書を提出さ
せ、完全実施のため指導を強化すること。
(2) 公民館の館長及び主事の専門性の確立・を図る。
1) 県は公民館長研修会及び公民館の主事研修会等の現
職教育を充実するための財政援助を拡充すること。
2) 公民館長及び主事が、広い視野と深い識見を広める
ため、国内研修、海外研修の機会を確立すること。
3) 地教委、地公連、県公達等の研修事業に対し、積極
的に援助協力すること。
4) 社会教育活動を振興し、館長及び主事の専門的な知
識、技術の向上のため社会教育センターを設置し、資
質の向上、資料の提供など社会教育推進上に役立てる
こと。
<参考> 公民館職員の優遇処置
1 会津若松市 館長、主事に対し月3,500円の
特別勤務手当を支給する。
2福島市公民館職員(館長は除く)に対
し、月1,100円の実技指導手当
を支給する。
(3) その他の職員の充実を図る。
1) 教育委員会の事務局に、社会教育に関係する行政担
当をする職員、事務職員を充実すること。
2) 社会教育のそれぞれの分野の専門的事項を担当する
専門職員(体育指導員、社会教育指導員、青少年、婦
人教育指導員など)の計画的な充実を図ること。
3) 図書館、博物館、青年の家、少年自然の家、児童会
館など、教育機関の職員を増員し、相互連携のもとに
事業の推進を図ること。
3章 民間指導者の拡充
1 現状と課題
(1) 社会教育の事業は、県や市町村公共団体が行なうもの
のほか、民間の活動として行なわれるものが多く、今後
住民の自主的学習を効果的に促進する中心的な力となる
ものは、民間における有志指導者のエネルギーである。
したがって市町村における社会教育指導者の充実強化の
方策を考える場合、民間指導者の拡充が重要な課題とな
っている。
(2) 青少年教育の分野でみると、少年団体数3,751団体
(202,461人) (子ども会、BS、GS、スポーツ少年団、
青少年赤十字、海洋少年団など)、青年団体数は659団体
(19,062人) (地域青年団、有愛青年同志会、修養団青
年部、ユースホステル協会、4Hクラブ)で、県内の小
・中・高校生は何らかの青少年団体に加入し、社会教育
活動に参加している。今後は、在学青少年教育及び週休
2日制の問題が大きな課題となっている折、民間指導者
の需要は一段と増大するものと思われる。
したがって、これら指導者の計画的な養成とともに、指導
者として必要な知識や技術についての具体的な施策を確
立する必要がある。
(3) 成人教育の分野でみると、婦人団体数は954団体
(159,620人)(婦人会、未亡人会、農協婦人部、漁協婦
人部、有権者同盟など)、PTA928団体(424,084人)及
び老人クラブ1,800団体(95,000人)で、不特定多数の
住民をより教育的に高めるには、団体自ら行う内部指導
者、専門的な技術をもった専門指導者の養成と活用につ
いて、具体的な施策を確立する必要がある。
(4) 社会教育の内容は、今後ますます多様化し、高度化す
るが、これに伴って指導者にはよりすぐれた資質と専門
化された能力が期待される。したがって今後は、指導内
容別、役割機能別、あるいは段階別などによる専門的な
指導者を養成するとともに、その活用策について検討す
る必要がある。
2 課題に対する対応策
社会教育における民間指導者は、その役割からみて、民
間団体の組織及び運営に関し、指導に当たる団体指導者と
社会教育活動の内容について、専門的・技術的な指導に当
たる専門指導者とに分けることができるが、県及び市町村
は、これらの指導者の計画的な養成により、人材の確保を
図り、活用について具体的な施策を進める必要がある。
(1) 団体指導者(内部指導者)の確保
1) 市町村及び団体自らが行う指導者研修事業に対し、
県及び市町村は求めに応じて、講師のあっせん、施設
の提供等必要な援助を行うこと。
2) 県連合組織をもつ団体は、地区組織と緊密な連絡の
もとに、広域研修を推進するよう援助すること。
3) 県は、団体指導者として必要な知識・技術などの参
考資料を作成し、関係機関・団体に提供すること。
4) 県が行う団体指導者研修事業の対象者は、市町村及