教育年報1977年(S52)-319/357page
(2)相談者の内容別延べ人数
内容別
年度面 接 相 談 知能学業 性格行動 身体神経 進路適性 教育一般 計 昭和52年度 178 642 146 19 77 1,062 (3)相談者の地区別延べ人数
地区別 県 北 県 中 県 南 会 津 南会津 いわき 相 双 計 相談者数 810 191 12 38 0 9 2 1,062 (4)教育相談の現状と課題
教育相談の来談件数が急上昇していることは、本来あま
り望ましいことではない。しかし、教育相 談の重要性が認
識され、子供の心にまで目が向けられてきた結果、増加に
つながってきているととらえれば、それなりに、大きな意
義を認めることができる。
種々のケースを扱って感じられることは、家庭における
親の役割意識のゆがみに起因すると思われる問題がおきて
いることである。
その一つは、母子間の心理的距離が近すぎて、密着化さ
れていることであり、家庭生活の合理化・スピード化によ
り、余暇のありすぎる母親は、とかく完全主義に傾き易く
したがって、過保護、過干渉かつ拒否的に陥り易い傾向が
みられることである。
二つめは、元来、父親は理性や社会的しつけの面で家族
に対し、強い影響力を持つものである。またしつけは親か、
ら膚を通して浸透されていくべきであるのに、父親が家庭
の中で、家族の精神的支柱になっていない例がみられる。
そのため子供の自己適応を含めた、人格形成に重要な役割
を果たしていない結果になっていることが多い。
学校等においては、表出した問題行動解決のための相談
活動にのみ走ることなく、日常的な心と心のふれ合いをた
いせつにし、理解のし方も、表面的でなく、その背影を洞
察するように務めなければならない。
第5節 教育資料
1 教育資料の収集・整備
教育に関する専門図書、及び教育資料のセンター的な機能
を果たすよう努力してきた。当センターにおける研修、調査
・研究、相談事業の充実と、県内各学校の教育実践、教師の
研究活動をいっそう推進するため、教育図書及び教育資料の
収集・整備に努めた。
(1)教育図書・教育資料の収集・整理・保管
教育図書は、本年度618冊の増加を図ることができ約
16,424冊の蔵書数となった。
教育資料については、全国各教育機関や研修機関等の紀
要、研究報告書、及び県内各学校の研究物等の収集で616
冊を得た。
教科書については、本年度教科書展示会に出品された中
学校教科用図書と高校の教科書200冊が収集できた。
教育関係定期刊行物(月刊誌等)は、購入及び寄贈によ
り70点が常備できた。
これらの整理は、図書についてはNDC、教育資料は原
則として、都道府県指定都市研究所長協議会が作成した、
「教育資料分類基準」により分類し、配架した。
(2)教育図書・教育資料の利用
本年度の利用者は、研修生をはじめ県内教職員と学生等
利用者は、延べ約11,000名であった。
教育資料については冊数の制限はないが、教育図書は1
回に2冊、3週間を限度として貸し出してきた。
(3)教育センター所報の発行
県内各学校の教育実践の資料、研究の情報を提供するた
め、当センターにおける研修、調査・研究、相談事業の成
果を中心に編集し、第31号〜第35号を刊行して、県内公立
小・中・高校に配布した。
2 教育資料の刊行
(1)学校経営改善に関する研究
学校経営の中の学年経営に関して、学年会・学年主任の
組識、内容、運営方法、教育目標との関連、学年経営の問
題点と改善の方策について述べた。
(2)教科における学習能力の発達と授業に関する研究
児童・生徒の学習能力が、授業を進めていく中でどのよ
うな形成過程をとるかを究明するために、従来の学習方式
を生かしながら、指導のたしかめをどう行い、どのように
生かすかという観点から研究した。
内容は次のとおりである。
○ 小学校国語科・社会科を対象とした。
○ 前提となる能力と、学習過程での子供の反応に即した
指導の方策の研究
○ 授業における学習状況とつまずきの診断
(3)福島県診断標準学力検査問題に関する報告書
本県の小学校第6学年終了時における国語科、算数科の
学習到達の実態をは握するため、中学校1年生を対象とし
て調査した結果をまとめたものである。
主な内容としては次のとおりである。
○ 領域・分野における得点や誤答傾向から、各領域ごと
の理解の状況を知り、思考の様相を診断的にとらえた。
○ 本県児童の現有学力の問題点から、今後の学習指導改
善の手がかりとなる資料である。
(4)教育相談の基礎的研究報告書
教師の数育相談はどのような態度で、実践されているか
具体的な状況を知るため、まず「スクール・カウンセラー
・テスト」を自作し、このテストを当教育センターの各種
講座の受講生等700人を対象として、反応の実態をは握す
ることになり、教師の教育相談に取り組む態度の概要をと
らえた。
本調査研究は、とかく教えよう教えようという意識が先
に立ち、育てて行こうとする心のゆとりや、態度の少なさ
があるといわれている現代の教師に、相談的姿勢を確立す
るための基礎資料としてじゅうぶん役立つものと考える。
(5)学習指導に関する紀要の刊行
県内各学校における学習指導の改善・充実の資料として