教育年報1979年(S54)-187/319page

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文 化

  第1節 概     要

 知事は、一昨年の「文化を考える県民会議」と昨年の「文

化振興会議」での提言や検討結果をふまえ具体策を立てて、

昭和54年を「文化元年」と位置づけ、積極的に文化行政を推

進した。

 このため、財団法人福島県文化振興基金が誕生し、直ち

に助成事業や顕彰事業を行い、成果をあげた。

 また、文化施設班を新設し、「県立美術館基本構想」が作成

され、さらに「県立博物館基本構想」にも着手するなど、県

民文化振興の条件整備は大きく進展した。

 これに加えて、文化施設等整備基金に、さらに積立てたほ

か、「美術品等取得基金」が新設された。

 そして、新設の図書館、美術館を福島市に建設することと

郡山市に展示場を設けることが決定するなど、にわかに文化

施設づくりが具体化した。

 こうしたなかで、県芸術祭が会津・南会津方部で実施され、

地域性を生かした優れた内容で県民の文化志向を盛り上げた

が、さらに文化振興基金の助成事業により、県民の文化活動

は活発化し、発表事業が増加し、市町村の文化財保護事業も

促進され、県民文化活動は一層進展した。

 さらに、54年4月に、第11期中央教育審議会は、地域社会

と文化に関する小委員会の報告を公表し、このなかで、文化

活動と地域社会の関係について基本的な考え方を示したが、

これは、県の今後の文化行政の具体的視点や指針となるもの

として重視されよう。     

 本年度は、第二次長期総合教育計画の第1期実施計画の2

年目に当り、計画にのっとり「豊かな心を育てる県民文化の

推進」をテーマとして、諸施策を推進したが、その成果は次

のとおりである。

  1 文化活動の促進

(1)地域文化活動の促進

  「県芸術祭」は、会津方部を主催地区として実施した。

 今回より、県芸術文化団体連合会が、主催者に入り名実と

 も文化団体と地方公共団体の共催行事として、実行委員会

 が構成され、円滑・盛大に実施された。

  特に、各地で文化意識が高まり、参加する文化活動を大

 きく促進した。

  「参加する文化活動促進助成」は、会津若松市と郡山市

 に対して行い、市内の多様な文化活動の促進に効果を上げ

 た。

  「文化のふるさと指定」は、本事業最多の15町村となり、

 特に、民俗芸能指定11町村では、後継者育成、発表事業、

 廃絶芸能の復活など、その保存に大きな成果を上げた。

  「高校美術展」「高校音楽祭」も、会津と福島で例年を

 越える参加により盛大に行われた。

(2)巡回鑑賞事業の充実

  「県収蔵美術品巡回展」(3箇所)「県展移動展」 (6箇

 所)は、いずれも開催地の協力で、地域ぐるみの鑑賞行事

 として歓迎され文化志向を一層高揚した。また「家庭劇場」

 は、特に国際児童年参加事業として、10公演増の30公演を

 実施し、開催地の積極的な鑑賞指導により、子どもや父兄

 に多大の感動を与えた。

(3)財団法人福島県文化振興基金の創設

  昨年の文化振興会議の検討報告に即し、5月29日に設立

 発起人会(知事公館)を開催、直ちに財団法人設立許可の

 手続きをとり、6月1日付で許可された。事務局は、当分

 の間、県教育庁文化課に置くこととし、諸準備の後、7月

 半ばから初年度助成事業の広報、申請受付及び基金造成等

 の業務を開始した。画期的な助成制度で県民の関心や期待

 も高まり、窓口となる市町村教育委員会や文化団体等の理

 解と協力により、第1期助成事業件数は26件、第2期助成

 事業件数は57件となった。

  また、顕彰事業は各市町村より23件の推薦があり、その

 うち8件(5団体3個人)が表彰されたが、地域で地道に

 文化の灯をともし本県文化の振興に努めている人びとに励

 ましとなった。

  基金造成も順調で、県・市町村の出損は計画どうりであ

 ったが、民間の篤志寄付が多く、県民の善意の深さが示さ

 れた。

  2 文化施設の整備

(1)県立美術館設置の検討

  年度始めから、文化施設班が設置され、担当主幹ほか4

 名(うち1名嘱託)の職員によって準備を進め、「県立美

 術館基本構想検討委員会」を設置した。7月に第1回の会

 議を開催、以後4回にわたって検討を進め55年1月25日に

 基本構想が報告された。これは、新美術館の基本的内容に

 ついての目的、性格、機能、環境、規模、構造、施設、

 組織、人員の各項目から成る本文及び美術品収集と施設内

 容に関する付属資料からなっている。

  また、建設地は、知事が諸般の情勢を考慮し福島市に決

 定した。

  さらに、庁内に副知事を議長とし、関係部課長からなる

 「文化施設建設調整会議」を発足させ、図書館、美術館、

 博物館の建設に関する基本的事項について審議することと

 した。また施設整備費用に充当する「文化施設整備基金」

 に15億円を積み上げ30億円とし、新たに「美術品等取得基

 金」を設置して3億円を積立て美術品等の収集に備えた。

(2)県立博物館設置の検討

  美術館基本構想づくりと併行して準備を進め、55年3月

 に「県立博物館基本構想検討委員会」を設置し、第1回の

 会議を開催した。55年度は5回程度を予定するとともに、


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