教育年報1982年(S57)-032/316page

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勤労青少年の教育の機会を確保し、更に生涯教育的観点から

成人の継続学習の場としての機能を高める必要があると考え、

下記の結論に達したので、できるだけ早い時期に実現できる

よう特段の努力を図られたい。


1 単位制の弾力的運用

定時制高等学校において、働きながら学ぶ生徒の学習の

便を図り、中途で学業を放棄することなく高等学校の課程

を修了させるためには、教育課程の実施に当たって、修業

年限にこだわらず、修得単位を積み重ねることによって卒

業することが可能になる単位制の弾力的運用について配慮

する必要がある。

また、文部省が所管する大学入学資格検定試験において、

受検した科目が合格点を得た場合には、それに相当する各

教科・科目の単位を修得したものとみなすことについて検

討する必要がある。

更に、職業学科については.その教科・科目と生徒の職

業の実務等が密接な関連を有する場合には、その実務等を

各教科・科目の履修の一部とみなし、単位を認めることに

ついても検討を加える必要がある。

2 専修コースの拡充

高等学校や大学を卒業してすでに職についている社会人

が、職業上の必要などから職業学科への編入学を希望する

場合には、相当学年に編入させ、併せて普通教科・科目の

履修を免除し、専門に関する教科・科目のみの修得をもっ

て卒業を認定する専修コースの拡充について検討する必要

がある。

3 技能教育施設との連携推進

文部大臣が指定した技術教育機関や専修学校等で学んで

いる者が、これらの施設で訓練を受けると同時に、定時制

あるいは通信制高等学校に入学している場合には、当該施

設における学習を、高等学校における教科・科目の一部履

修とみなす技能連携制度の拡充について、より一層の検討

を進める必要がある。

なお、技能連携制度のもとで学習している生徒について

は、技能教育機関終了後も学習を継続して、高等学校の課

程を修了できるように配慮する必要がある。

4 定時制課程と通信制課程の併修の推進

定時制課程に在籍する生徒が、一部の科目を通信課程で

修得したり、逆に通信制の生徒が、一部の科目を定時制で

修得した場合、その単位を卒業単位に加えることを認める

定時制課程と通信制課程との併修を更に推進し、その効果

的な運用を図る必要がある。

5 多部制授業の展開

働きながら定時制高等学校で学ぶ生徒のなかには、勤務

時間と学校の授業時間が重なる場合があるので、それらの

生徒に学習の機会を与えるため、昼夜2部制の授業につい

て検討することが望ましい。

6 聴講生制度の導入

職業上の必要や自己啓発の目的で、定時制又は通信制高

等学校の教育課程の一部の教科・科目について聴講を希望

する者に対しては、生涯教育の見地から、学歴や年齢に関

係なく聴講を認めることが望ましい。

また、社会教育との関連に配慮しながら、開放講座の開

設についても検討を進めることが望ましい。

現在の多様化した生徒の実態からみて、これらの改善策

がしゅうふんに効果を上げるためには、教育課程の編成及

びその実施について工夫をするとともに、学習内容や指導

方法についても研究を深めることが必要である。

特に、定時制・通信制高等学校における生徒指導につい

ては、その多様な学習形態と幅のある年齢構成、更には社

全人としての生活背景からみて、職場・家庭・関係機関と

の連携を強め、生徒一人一人の指導に当たらなければならない。

更に、勤労青少年に限らず、すでに成人に達している人

々の中にも、高等学校入学を望みながら様々の要因から、

その機会に恵まれない人々がいるので、これらの改善策を

円滑に実施するため、定時制・通信制高等学校の実情につ

いての広報活動を充実し、県民に周知徹底を図る必要があ

る。特に、中学校生徒の進路指導については、高等学校と

の連携を一層強化し指導に当たる必要がある。また、雇用

主の理解を得る努力も、今まで以上に行う必要がある。

なお、働きながら学ぶ生徒たちの学習の場として、魅力

ある学校づくりの観点から、学校環境の整備についても配

慮する必要がある。

2 福島県産業教育審議会

(1)福島県産業教育審議会委員名簿(昭和57年度)
氏名 公職名 現住所
油井賢太郎 福島県産業教育振興会理事長 福島市宮下町11の46
高橋キヨ子 福島女子短期大学教授 福島市春日町9の20
倉島一郎 福島商工会議所副会頭 福島市花園町6の18
舟山角三 福島県農業協同組合中央会長 伊達郡保原町大字大田字二井田
渡辺正市 県議会議員 安達郡岩代町下長折字移川360
塩田諭 福島県立福島農蚕高等学校長 福島市永井川字中西65の1
佐久間俊忍 福島県立福島工業高等学校長 福島市森合字丹波谷地前2の1
武田十四男 福島県立福島商業高等学校長 福島市北沢又字道南1の1
佐藤徳雄 福島県労働組合協議会 郡山市熱海町字熱海4の115
石河強 福島県高等学校教職員組合執行委員長 福島市森合字南上古屋4-1
直江良昭 福島県総務部長 福島市森合字南上古屋9の1
佐藤昌志 福島県教育次長 福島市上浜町10の41

(2)会 議

第1回会議

1) 期 日 昭和57年11月18日(木)

2) 会 場 白河実業高校


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