教育年報1983年(S58)-193/323page
国営総合農用地開発事業母畑地区・矢吹地区、
会津農業水利事業宮川地区、真野ダム地内、
国道113号バイパス地内、相馬地区、福島空港、東北横断道、
常磐自動車道および県内各地の県営ほ場整備・
団体営ほ場整備などの関係諸機関
3) 開発に伴う発掘調査
県教育委員会では開発事業に伴う発掘調査を、
(財)福島県文化センターに委託して、下記の遺跡について
発掘調査を終了した。
母畑地区内一斗内遺跡他10遺跡(10,800m2)、
会津農水宮川地区内北ノ前遺跡(3,000m2)、
真野ダム内松ヶ平A遺跡他2遺跡(3,340m2)、合計17,140m2。
また 単一市町村内に係わる開発関連の発掘調査は、
当該市町村教育委員会が主体者となって実施している
が、専門職員の体制が不十分な所について、必要と認め
た場合、県教育委員会または(財)福島県文化センターの専
門職員を派遣し指導している。主なものは、次の通りで
ある。
松並平遺跡(棚倉町)・冑宮西遺跡(会津高田町)・
大久保窯跡群(新鶴村)・小半弓遺跡(玉川村)・愛敬山古墳(泉崎村)
・浮貝遺跡(三春町)・南原窯跡
群(会津若松市)・下沖ノ原遺跡(西会津町)・博毛遺跡(高郷村)
(3) 史跡指定調査
1) 目 的
歴史上重要な遺跡の史跡指定を積極的に進めるために
発掘調査を行い、基本資料を整備する。
2) 調査対象
関和久上町遺跡(白河郡家関連遺跡)
西白河郡泉崎村大字関和久所在
3) 調査指導委員
伊東信雄(東北学院大学教授)・坪井清足(奈良国立
文化財研究所所長)・梅宮茂(県文化財保護審議会委員)・
岡田茂弘(国立歴史民俗博物館教授)・
進藤秋輝(宮城県多賀城跡調査研究所考古一科長)・
海上博之(泉崎村長)・木野内重三郎(泉崎村教育委員会教育長)
4) 調査期間
昭和58年9月26日〜11月19日
5) 調査結果(第2次調査)
関和神社下の調査地点からは、掘立柱建物・竪穴式住
居跡・溝等を検出した。住居跡覆土中よりは、本県初の
漆紙文書が検出され解読中である。
関和久窯跡群は2基を発掘調査し、8世紀代の瓦窯跡
であることが明らかとなった。竪穴式住居のカマド袖に
利用した瓦片が、窯跡より検出された瓦片と接合し、両
者間の有機的関連を裏付けることとなった。
6) 今後の対応
五ヶ年計画で、昭和61年まで発掘調査を行い、遺跡の
性格・範囲を明らかにする。
(4) 埋蔵文化財保護体制充実のための研修
1) 第11回福島県埋蔵文化財発掘技術講習会
・8月3日〜8月13日 主催 福島県教育委員会
福島市教育委員会
・会場 (財)福島県文化センター
・人員 18名
・内容 遺物の実測・採択の方法を中心テーマとする。
講演 「大陸文化と日本」
慶応大教授 江坂輝弥
2) 奈良国立文化財研究所主催埋蔵文化財発掘技術者研修
・保存科学基礎課程 58年11月16日〜11月30日
福島雅義 (財)福島県文化センター遺跡調査課
・環境考古課程 59年1月18日〜2月3日
高橋信一 (財)福島県文化センター遺跡調査課
・発掘調査技術課程 59年3月8日〜3月22日
芳賀英一 (財)福島県文化センター遺跡調査課
・一般課程 58年7月25日〜8月27日
山崎義夫 本宮町歴史民俗資料館
・遺跡保存整備課程 58年10月13日〜10月27日
山野憲雄 磐梯町教育委員会文化課
・中・近世遺跡調査課程 58年12月6日〜12月16日
相原秀郎 郡山市教育委員会社会教育課
吉田生哉 (財)いわき市教育文化事業団
(5) 埋蔵文化財保護の普及活動
1) 発掘調査報告書等の刊行
ア 真野ダム関連遺跡発掘調査報告 5・6
イ 母畑地区遺跡発掘調査報告 14・15・16
ウ 母畑地区遺跡分布調査報告 8
エ 矢吹地区遺跡分布調査報告 4
オ 国営会津農業水利事業関連遺跡調査報告 2
カ 相馬地域開発関連遺跡分布調査報告 1
キ 関和久上町遺跡(史跡指定調査概報)2
(6) 県内の発掘調査の状況
発掘調査と試掘調査の割合は、ほぼ昨年度と同様の割合
で1:2である。試掘調査の大部分は、大規模農地開発に
係るものであり、発掘調査も農地関係が多い。
学術調査はわずか4件であるが、町史編さん事業4件、
博物館資料収集2件がある。
(7) 埋蔵文化財保護検討会議
1) 目 的
埋蔵文化財保護について当面する諸問題と、今後の保
護体制のあり方について検討を行う。
2) 検討会議の講成
梅宮茂 福島県文化財保護審議会委員
中村五郎 福島県文化財保護審議会委員
古山直一 都市教育長協議会長 福島市教育長
遠藤伊雄 町村教育長協議会長 桑折町教育長
事務局文化課
3) 検討内容
埋蔵文化財保護の具体的方策について
4) 検討会議
昭和59年2月1日