教育年報1984年(S59)-037/287page

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の要望にこたえるため、学科の新設や転換を実施するとと

もに、一方においては、生徒の多様化に対応するため、個

別指導の強化、習熟度別指導の導入、更にゆとりある教育

の推進など、指導内容方法の改善に努め、高等学校教育の

整備充実を図ってきた。

 しかしながら、昭和61年以降の中学校卒業者数の推移を

みると、県全体では、昭和65年まで大幅な増加が見込まれ、

その後は減少傾向に転ずるものの、昭和70年差では現在の

募集定員を上回る入学者が予測される。このような状況の

もとで、現在の高等学校進学率を維持しながら、継続的に

高等学校教育の整備充実を図るためには、急増期において

生徒収容能力を高めるよう努力するとともに、その後の減

少期にも適切に対応するための配慮が必要である。

 このため、昭和61年以降の中学校卒業者の収容対策につ

いては、各地区における中学校卒業者数の推移や志願の動

向、地域社会の要望等について検討するとともに、公私立

高等学校への入学状況等にも配慮し、高等学校の新設、学

級増、あるいは、暫定増などの施策を推準ずる必要がある。

また、これらの施策を推進するに当たっては、既設高等学校

の配置の見直しなどについても、併せて検討する必要があ

る。なお、昭和66年以降の減少期においては、学級減の措

置などにより、学校規模の適正化を図るなどの配慮をする

ことが必要である。

(1)中学校卒業者数の推計             

  各年度ごとの中学校卒業者数を推計するに当たって

 は、それぞれの地区における人口の自然的な増減のほか

 に、産業構造の変化、企業立地の状況等に伴う人口の社

 会的な増減についても考慮すべきである。しかしながら、

 各地区ごとに人口の社会的増減について予測することは

 極めて困難である。従って、昭和68年までの推計につい

 ては、小学校・中学校の在籍児童生徒数を年次的に追う

 ことによって、中学校卒業見込者数とするのが適切であ

 ると考えられる。なお、昭和69年以降については、出生

 者数の状況からみる限り、現段階では、大幅な変動はな

 いものと予想される。   

(2)高等学校進学率の推移

  本県の高等学校進学率は、昭和59年まで上昇を続け、

 93.3%に達したが、昭和58、59年は92.5%と若干低下し

 ている。各地区の状況をみると、県北、県南、会津、相

 双の4地区は県平均を上回り、県中、いわきの2地区は、

 県平均を下回っている。

  しかしながら、高等学校教育にかける県民の期待は大

 きく、その普及充実が強く望まれており、今後は、全国

 水準の94%台まで進学率を高めることを目標として、計

 画を立てることが適切と考えられる。 

(3)公私立高等学校の教育分担

  公立高等学校と私立高等学校は、県民の高等学校教育

 への期待にこたえ、相互にその特色を生かしながら、高

 等学校教育の充実発展のため努力してきた。近年におけ

 る公私立高等学校の募集定員の比は、県全体としては、

 おおよそ公立82%、私立18%となっており、今後も、各

 地区の実情に配慮しながら、おおむね現状を維持し、生

 徒の収容対策を推進することが必要である。

(4)高等学校の新設

  昭和61年以降の急増期において、都市部では、大規模

 校(1学年9〜10学級)が多く、学級増が困難であるこ

  と、また、暫定増は2名程度が限度であること、更に、私

 立高等学校の収容能力を考慮しても、なおかつ、収容で

  きない生徒が生ずることなどの理由から、中学校卒業者

  の増加が著しい地区にあっては、早急に、高等学校の新

 設について検討する必要がある。

   なお、審議の過程において、私立高等学校関係者から、

 高等学校の新設については慎重を期するよう要望が出さ

  れた。

  新設する学校の規模や学科の構成については、現在の

 学校・学科の設置状況や男女別の構成比、並びに、今後

  の中学校卒業者の増加の状況や志願の動向を十分に検討

  し、私立高等学校との教育分担にも配慮しながら、全日

 制課程1学年6〜8学級程度の男女共学とすることが望

  ましい。また、時代の進展に対応した学科やコースを設置

  するとともに、教育課程の編成に当たっては、多様な選

 択科目を設けるなど、特色ある学校にすることが望まし

  い。

(5)減少期の対策

  昭和66年以隆の減少期においては、各地区の高等学校

 入学見込者数と募集定員等について精査のうえ、普通科

  と職業に関する学科、並びに、男女別の構成比などにつ

  いて配慮するとともに、私立高等学校の募集定員との調

  整を図りながら、大規模校を解消し、学校規模の適正化

  を図ることによって、生徒数の減少に対応することが必

 要である。

2 地区別収容対策

(1)県北地区

  昭和61年以降、中学校卒業者の増加が著しく、特に、

 福島市と伊達郡の増加が大きい。進学率も高く、昭和64、

 65年には、現在の募集定員を大幅に上回る入学者が見込

  まれる。従って、今後、私立高等学校の収容能力を考慮

  しながら、学校新設、学級増、更には、暫定増などの措

 置を講じ、生徒の収容を図る必要がある。

(2)県中地区

  昭和61年以降、中学校卒業者の増加が著しく、特に、

 郡山市の増加が大きい。昭和64、65年には、、現在の募集

 定員を大幅に上回る入学者が見込まれる。今後、県平均

 を下回っている進学率の上昇を図り、増加しつつある過

 年度卒進学見込者を解消するためには、私立高等学校の

 収容能力を考慮しながら、1学校新設、学級増、更には、

 暫定増の措置を講じ、生徒の収容を図る必要がある。

  なお、「高等学校進学率向上の推進について」本後期中

 等教育審議会が、昭和54年2月1日付で答申(第二次)

  した田村地区の高等学校新設については、田村郡内の中

 学校卒業者が減少を続け、その回復が望めないなどの事

 情もあるので、今後とも、田村郡の中学校卒業者数の推

 移や志願の動向、並びに、郡山地区の中学校卒業者の急

 増との関連等に留意しながら、引き続き総合的に検討を

 加え、慎重に対処することが必要である。



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