教育年報1984年(S59)-247/287page
福島県立図書館
第1節概 要
1 運営方針
新館開館の年にあたり、「図書館のための図書館」としての
基本的性格をふまえ、調査相談センターとしての役割を核と
した機能の一層の強化充実を目指して、次のような運営方針
を設定し、その実現につとめた。
(1)調査相談機能の充実
1) 公開図書室の運用
10万冊の図書資料を公開し、来館者の調査研究を援助
したほか、電話、文書による調査相談の充実につとめた。
2) 視聴覚室の運用
郷土文化の映像化、録音化によって資料の永久保存を
はかるとともに活字資料との有機的な関連をもたせるこ
とによって、多角的な郷土研究の充実に資するため、と
くに郷土関係のビデオテープ、録音テープの充実につと
めた。
(2)障害者に対する奉仕
録音テープ、大型活字本等を提供して利用の便宜をはか
った。
(3)図書館資料の整備充実
各部門の基本図書、参考図書を重点的に収集するととも
に、郷土関係資料及び地方行財政資料についても積極的か
つ網ら的に収集し、郷土資料を中心とした調査研究図書館
としての機能の充実につとめた。
(4)相互協力の推進
1) 職員研修の充実
専門職員としての資質の向上をはかるため、内部研修を
行うとともに県内公共図書館、公民館職員等を対象とし
た研修事業を実施した。
2) 図書館経営の相談
図書館経営や読書活動に関する資料を全国的視野から
収集整備し、図書館経営や読書会運営の相談に応ずると
ともに、県内公共図書館、公民館図書室の実態調査をす
すめた。
(5)文化活動の推進
県民文化振興の見地から文化講演会、文学講座、子ども
の本研究講習会など多面的な文化活動をすすめた。
(6)図書館未設置地域に対する奉仕
移動図書館「あづま号」を定期的に巡回させたほか、親
子読書文庫、一括貸出を充実し全県的な読書運動の活性化
をはかった。
2 図書館協議会
(1)委 員
59年度の委員は次の方々である。
成井正美 福島県議会議員
小林忠道 福島商工会議所専務理事
山本ナカ 福島県婦人団体連合会長
田中寛之 NHK福島放送局長
佐藤金正 福島県青少年団体連絡協議会長
宗串哲夫 福島県公民館連絡協議会副会長
永澤電四郎 福島県中学校長会長
大槻進 福島県高等学校長協会長
鈴木完一 福島県社会教育委員
堀口知明 東北福祉大学教授
(2)協議会の開催
第1回 昭和59年7月6日
・図書館協議会について
・図書館の組織機構について
・昭和59年度当初予算概要と事業計画について
第2回 昭和59年11月30日
・県立図書館の利用状況について
・県立図書館の事業の実施状況について
第3、4回昭和60年3月25日〜26日
・昭和59年度県立図書館の利用状況について
・昭和59年度事業の実施状況について
・昭和60年度県立図書館の当初予算概要について
・昭和60年度事業計画について
3 新館開館
昭和59年7月22日正面玄関前で、知事、県議会議長、県教
育委員長、県教育長、福島市長、児童生徒代表によりテープ
カットが行われ、新館開館の運びとなった。
昭和57年7月に着工してから丁度2年、図書館建設委員会
が設置された昭和53年から数えると6年の歳月を要した。
開館当日は日曜日ということもあって、開館を待ちわびた
利用者でにぎわった。この日の入館者は午後からの開館にも
かかわらず年間でもっとも多い3,545人を記録した。
なお、開館に先立つ移転作業は、昭和58年度において検討
が加えられ、移転作業計画書として成案を得ていたので、円
滑に作業がすすめられた。
作業内容は1)約40万冊の図書の梱包と搬出2)解梱書架入作
業3)開・閉架図書の選定・調整4)図書の排架5)蔵書総点検な
どで、これらの作業は昭和59年4月1日から開館前日まで休
館してすすめられた。
第2節 資料の収集・整理
資料収集のための内部組織である「資料収集調整委員会」
は委員10名をもって組織し、蔵書構成の適正と図書館資料の
充実をはかっている。
今年度は開館準備の諸作業のため、資料整理業務は7月下
旬より行った。図書の受入整理の合計は、58,465冊であった。