教育年報1985年(S60)-227/279page
教育センター
第1節概 要
教育センターは、本県学校教育の向上発展に寄与するため
教育関係職員の研修、教育に関する専門的・技術的事項の調
査研究、情報処理教育、教育相談、教育図書・資料の作成及
び収集、普及、活用などに関する事業を推進してきた。それ
らの事業概要は次のとおりである。
(1) 研修事業
教育センターは、教育関係職員の専門的職能と資質の向
上を図るために、第三次福島県長期総合教育計画に基づく
研修計画のうち、学校経営、教育研究法、教育工学、各教
科、道徳、特別活動、生徒指導、教育相談及び情報処理教
育などに関する専門的内容についての研修事業を実施し
た。
本年度は、特に学校カウンセラー講座及び情報処理教育
講座の内容充実に配慮するなど、研修事業の見直しに基づ
いて講座内容の改善充実を図った。教育センターで本年行
った研修講座は62講座で、講座開設回数は101回、研修定員
は1,693人、研修延べ人員は2,095人に及んでいる。また、
研修講座開催期間は、60年6月3日より61年2月6日まで
になっている。
(2) 研究事業
教育センターに課せられた研究機関としての役割と使命
を達成させるため、広く全国的視野にたって教育の動向を
見守り、本県が当面している教育上の課題や学校における
教育実践上の諸問題と関連する研究主題を設定し、研究を進
めてきた。これらの研究は所員を中心としながら、学校関
係者の協力も得て、プロジェクトチームを組んでの共同研
究として行ってきたものであり、内容は次のとおりである。
1) 学校経営に関する研究として、「学校の教育目標と教育
課程に関する研究一第2年次(3年継続研究)」
2) 学習指導に関する研究として、「学習指導と評価に関す
る研究一関心・態度の評価一第2年次(3年継続研
究)」「身近な素材を活用した理科指導の研究 ―第2年
次(2年継続研究)」
3) 福島県標準学力診断検査問題に関する研究一中学
校1年の国語、数学、英語の予備テスト実施と結果の分
析及び、問題修正と本テストの実施。
4) 生徒指導に関する研究として「児童生徒の連帯感に関
する研究一(単年研究)」
5) 事例を通した教育相談の進め方に関する研究として、
「反社会的行動を持つ児童生徒への心理的な指導援助
一第2年次(2年継続研究)」
これらの研究成果のうち、2)、4)、5)については紀要
として刊行し、学校及び教育機関などに配布して普及を
図った。また、研修と研究の一体化を図り、研修講座の
内容を充実させるため、全所員が研究テーマをもって個
人研究に励み、その結果を研究報告書としてまとめた。
更に研究内容の普及を図るため、本庁関係各課及び各教
育事務所の指導担当者の出席のもと、所員による「研究
発表会」を開催した。
(3) 教育相談事業
幼児・児童生徒の教育上の諸問題について、学校や保護
者からの相談に応じ、その解決のために、カウンセリング
や行動療法等により指導援助を進めた。また、移動教育相
談を県南、会津、いわき、相双の4地区で実施した。必要
に応じ、関係教育機関、医療機関等との連携を図りながら
教育相談を進めた。
年間相談件数は1,969件であった。なお、年間の電話によ
る相談件数は1,463件であった。
(4) 教育図書・資料事業
県内教職員の教育実践活動に役立つ情報・資料を各学校
に提供するため、教育の専門図書・資料を作成・収集・整
理を行い研修者の利用に供した。また、所報・紀要を通し、
研究・研修の成果を学校及び教育機関などに送付し、研究
並びに実践活動の援助に努めた。教育諸問題に関する照会
は、来談や電話・郵便によるものなど年間48件に達した。
(5) 情報処理教育に関する研修及び実習
大型電子計算機及びNC工作機械を使用して情報処理教
育講座を実施し、169人が研修したほか、教員個人研修に延
べ683人を受け入れ、更に高校生延べ4,257人の実習が年間
を通して行われた。郵送による利用は延べ426人を数えた。
第2節教職員研修
県教育委員会では、教職員研修の体系化と効果的な推進を
図るため、「教職員現職教育計画」を策定して、その実施に努
めているが、本年度は教育センターと本庁関係各課との教職
員研修に関する連絡調整も例年通り極めて円滑に行われ、研
修計画の実施・運営を予定通り進めることができた。教育セ
ンターは、県教育委員会が行う基本・専門・特別の3研修区
分のうち、「専門研修」を担当しているが、各研修講座受講の
成果を教職員一人一人の自己研修に発展させるとともに、校
内研修の充実にまでつながることを期待して、特に研修内容
の吟味に努めた。その概要は次のとおりである。
(1) 研修講座内容の改善・充実
1) 研修講座全体について、学習指導要領の目標や指導内
容を吟味して講座の内容を構成するとともに、当面する
学校の教育課題や要請にこたえるよう、研修内容の検討
を行い、内容の充実した魅力あるものとなるよう努めた。
2) 研修形態については、講義中心になることを避け、研
究協議、実技、、実習,観察、演習、調査などを、講座内
容の特性に応じて取り入れるようにし、研修内容の多様
化を図りながら、研修効果を高めるよう配慮した。
また、講師・助言者についても、県の内外にわたって
幅広く人選し、多彩な指導陣により講座内容を一層充実
させるように努めた。
3) 小学校の教科に関する講座については、小学校は学級