教育年報1985年(S60)-237/279page

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  社会科において、一人一人を育てるためには「基礎的

 事項の完全習得」と「個別的な社会認識の育成」の二つ

 を統一的にとらえた指導が必要であると考え、小学校5

 年「自動車工業のさかんな都市」を事例に、小単元展開

 の在り方を考察したものである。

 2) 身近な素材を生かした教材・教具の開発と指導

  自主的・主体的な理科学習を進めるにあたって、「物理

 とエネルギー」に関する教材として適切な教材が少ない

 現状である。そのため、研究においては、身近な素材の

 活用をはかり、手軽で安価しかも多量に作成することが

 できる探究素材を開発するとともにその指導についての

 研究を行ったものである。

 3) 道徳的実践力を育てる道徳の時間の指導

  道徳の時間においては、様々な取り組みがなされてい

 るが、依然として多くの問題を含んでいる。それらの改

 善を目指し、児童の心に、感動の高まりを求める授業実

 践を試みるとともに、考察を加えたものである。

 4) 論理的な表現能力を高める図形指導

  中学校数学の「図形」の領域においては、演繹的な推

 論の方法を活用することに大きな特徴がある。本研究で

 は、論理的に表現する能力を養うための望ましい図形指

 導の在り方について、具体的に方法や事例をあげながら

 まとめたものである。 

 5) 実験を重視した「家庭一般」の指導と学習指導事例

  高等学校「家庭一般」における主体的な学習の意義と家

 庭一般「衣生活の設計・被服製作」の基礎的実験及び実

 験記録表を数例あげ、学習指導事例としてまとめた。

 6) 同一性について

  同一性は、精神分析的自我心理学の中心概念であり、

 エリクソンによって用いられたことばである。同一性の

 発達は、特に青年期のテーマであるが、その測定尺度は

 いまだ不備な状態にある。ここでは、トロント大学のカ

 ート・フロイントらの「性的同一性尺度」を訳出し、一

 部日本の事情に合うように改め、本県の高校生に実施し

 たものである。

第4節 教育相談

1 来所相談

  幼児及び小学校低学年の児童がもつ問題行動の治療援

 助には、主として遊戯療法、運動療法を用い、必要に応

 じて行動療法などを取り入れながら、親との並行面接を

 進めた。

 (2) 小学校高学年児童及び中学校・高等学校生徒に対して

 は主としてカウンセリングを中心にして、自律訓練法、

 行動療法、箱庭療法や運動療法などを実施した。

 (3) 父母に対しては、親子関係の改善、養育態度の在り方

 などについて、カウンセリングを中心に指導援助をした。

 さらにロール・プレイングや家庭療法などを実施した。

 (4) 来談した幼児、児童生徒の指導援助の効果を高めるた

 め当該保育所、幼稚園、学校側との連携、協力関係を保

 つほか、福島県立医大神経精神科、県児童相談所、県精

  神衛生センターなど関係機関との連携を図りながら、子

  供に対する指導援助の徹底に努めた。

 2 電話相談・その他の要請

 来所相談の外に電話による相談を実施した。来談した子供

に関する当面の相談事項や、電話だけによる相談に応じた。

また、学校からの教育相談や生徒指導などの諸問題について

は、要請に応じて当該教育相談部所員を派遣した。

 3 移動教育相談

遠隔地や家庭の事情などのため、来所することが困難な地

域は、教育相談部所員が出張し、移動教育相談を行った。本

年は、白河市、会津若松市、いわき市、原町市の4会場で延

べ11日間実施した。

 4 教育相談実施状況

 (1) 対象別相談者延べ人数
年度/対象別 幼児 小学生 中学生 高校生 一般 教員 電話
昭和60年度 123 155 270 215 1,029 177 1,969 1,463

 (2) 主訴別相談者延人数
年度/主訴別 面 接 相 談
知能学業 性格行動 身体神経 進路適正 教育一般
昭和60年度 137 1,639 73 13 107 1,969

 (3) 地区別相談者延べ人数
地区別 県北 県中 県南 会津 南会津 いわき 相双
相談者数 1,351 313 68 56 0 54 127 1,969

 5 教育相談の現状と課題

(1) 来談者延べ人数は、前年度と比較して、200名の増である。

 電話相談については、延べ人数83名の増である。主訴別で

 は、性格行動についての相談が多く、中でも不登校につい

 ての相談件数が約半数を占めている。

(2) 来談者数を地区別でみると、大半が県北であるが、学校

 をはじめ、教育事務所やその他の機関との連携を図ること

 によって他の地区でも適切な対応をしていく必要がある。

(3) 子供と親との並行面接を進めているところであるが、子

 供をとりまく社会環境、とりわけ家族関係の調整のため、

 家族カウンセリングの必要性が強く望まれる。

 第5節教育資料  

 1 教育資料の収集・整理

 当教育センターにおける研修・研究・相談事業の充実と、



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