教育年報1986年(S61)-158/213page

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 (3) 校内現職研修活動内容と教育目標の関連づけに関す

  る事例

 (4) 各教科の指導計画や授業と教育目標の関連づけに関

  する事例

 (5) 道徳の授業と教育目標の関連づけに関する事例

 (6) 特別活動の指導計画と教育目標の関連づけに関する

  事例

 (7) 生徒指導計画と教育目標の関連づけに関する事例

 (8) 教育課程外の諸活動と教育目標の関連づけに関する

  事例

 (9) 教育目標の理解を深める手だて及び評価に関する事例

2 「関心・態度」の評価に関する研究

 本研究は、「学習指導と評価」に関する研究を進める中で

「関心・態度」に焦点を当て、その評価の在り方を研究した。

 ここでは、教育評価についての文献及び先行研究を基に、

実践研究のための理論研究をして研究推進の基盤の確立を図

った。その上で、教科の「関心・態度」にかかわる目標分析、

評価目標の設定、検証授業の分析、考察を通して「関心・態

度」の評価の在り方を追究した。

 本年度(最終年次)は、次の2教科において研究に取り組

んだ。

○ 福島市立鎌田小学校の協力を得て3回の検証授業を実施

 し、その資料を基に、小学校国語科において「国語に対す

 る関心・態度」の評価の在り方を明らかにした。

 (1) 情意面を高める手だてとして、指導計画の中に作品理

  解を助けるためのスケッチによる情景描写の活動を取り

  入れたことは、効果的であった。

 (2) 情意面の評価法を改善するためには、認知・技能面と

  深くかかわった研究が必要であることがわかった。

 (3) 情意面の評価を的確に行うために、評価基準を十分達

  成(+)、おおむね達成(0)、達成不十分(-)の3段階に

  設定したことは、効果的であった。

 (4) 情意面の評価は、児童の表出した行動特性を手がかり

  として行われる性質のものである。したがって、児童の

  実態に即した基準設定が不可欠であり、今後さらに綿密

  な検討が必要とされる。

○ 福島市立北信中学校の協力を得て2回の検証授業を実施

 し、その資料を基に、中学校保健体育科において「運動・

 保健に対する関心・態度」の評価の在り方を明らかにした。

 (1) 評価基準は、学習課題への取り組みの状態を把握する

  うえから、十分達成(+)、おおむね達成(0)、達成不十

  分(一)の3段階に設定することが効果的である。

 (2) 「関心・態度」の評価方法については、単一の評価法

  では客観性や妥当性に限界があるので、自己評価法や相

互評価法など、複数の評価法を組み合わせる必要がある。

 (3) 「関心・態度」を高めるためには、生徒一人一人の能

  力に応じた課題をもたせて学習させることが大切である。

  さらに、評価目標に即して、認知面や技能面の手だてを

  準備し、適切にフィードバックさせる必要がある。

3 自己教育力を育成するための

   学校教育の改善に関する実践的研究

 今日、自己教育力の必要性が叫ばれるようになった背景に

は、近年における学校での問題行動多発の現状への対応や、

目まぐるしく複雑に変化する社会への対応の必要性をあげる

ことができるが、本来、自己教育力を育てることは、子供の

成長段階に応じて学校や家庭及び社会が、「望ましい人間形

成」の視点からそれぞれが当然担うべきことであって、教育

本来の根本原理であるとも言える。

 いずれにしても、教育実践に携わるすべての者が、改めて

人間性豊かな児童生徒の育成を基本理念とし、「主体的に考

え、正しく判断のできる人間」を育てるべく、真剣に考え直

す時期に来ていることは事実である。

 さて、自己教育力が提唱されて以来、現在まで多くの論文

が出され、多くの提言がなされている。この主なものをあけ

れば、1)自己教育力を育てるには、基礎・基本の徹底、個性

と創造性の伸長、文化と伝統の尊重に視点をおき、主体的な

学習意欲・意志の形成、学習の仕方の能力及び激しい社会の

変動での望ましい生き方を養うことにあるとすること、2)教

育の究極のねらいは「人間として自立すること」であるとし、

自律性・決断力・洞察力・判断力が養われることで成立する

こと、3)自己教育力とは「他人から何も言われなくとも自己

の能力を伸ばそうとする潜在力」であり、このためには、内

発的動機づけを強めて自己啓発力を高めることであるとする

こと、4)学力は、「学んだ力」、「学ぶ力」、「学ぼうとする力」

の3要素によって成立するとし、学習到達度としての学力よ

り、学習可能性としての学力観に指導の力点をおくこと、等

々が報告されている。

 本研究を進めるにあたっては、前述1)〜4)を研究の基本的

方向としてとらえ、最終的に、次のように研究の柱を定める

こととした。すなわち、研究の最終到達目標を「主体的に変

化に対応できる個性的な人間の育成」におき、その下位目標

として「自ら学ぶ意志・態度・能力の形成」とし、これを支

える要素として「学習意志の形成」、「学習の仕方の習得」、

「生き方の探求」の3つをあげ、更に、それぞれの要素を成

立させるために、12の達成目標を設定した。本研究は、その

具現化へ向けて県内10の研究協力校での実践の成果である。

4 事例を通した教育相談の進め方に

   関する研究

 この研究のねらいは、非社会的行動をもつ児童生徒に対し、

より的確で効果的な教育相談の進め方を確立することである。

 そのために、非社会的行動の背景、発生のメカニズム、

指導援助のあり方を小・中・高等学校の児童生徒の事例を通

して帰納的に追究した。

 研究を通して、以下のことが明らかになった。

(1) 非社会的行動を持つ児童生徒にみられた主な特徴は、身

 体症状の存在、神経質で積極的に自己表現をしない性格傾

 向、狭い友人関係、自立や人間関係を疎外する親の養育態

 度などである。

(2) 非社会的行動は、幼児期から満たされない人間関係が存



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