教育年報1987年(S62)-180/225page

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 第4節 教育調査研究事業

  1 共同研究(2年継続、第2年次)

(1) 研究主題

  心身障害児の適正就学の進め方に関する研究

  一実態調査と教育相談を通して一

(2) 研究の主旨

  心身障害児一人一人に対して、望ましい発達を促すため

 には、彼らの創造的活動の躍進を助ける適切な教育の場を

 用意することがまず前提となり、児童・生徒一人一人の障

 害の種類や程度に適合した学校や学級への教育措置を実現

 することが、最も大切である。したがって、これらの学校

 や学級への就学については、心身障害の種類やその程度に

 応じて、最もふさわしい教育が受けられるように、適正に

 進めることが重要となる。

  そこで、実態調査と教育相談を通して、本県心身障害児

 の適正就学の実情を明らかにするとともに、適正就学の望

 ましいあり方、進め方を探るものである。

(3) 研究の概要(第2年次)

 1) 心身障害児の適応状況に関する実態調査

   会津、相双教育事務所管内の小学校31校、同一校に複

  数障害種別の特殊学級を有する小学校9校、計40校より

  290名の心身障害児を対象に学習面、生活面、コミュニ

  ケーション面からみた適応状況を分析し考察を行った。

 2) 教育相談

   前年度の就学相談の結果と、その後の適応状況につい

  て追跡調査を実施するとともに、新たな相談事例を加え

  て、適正就学のあり方・進め方についての考察を行った。

 2 プロジェクトチームによる研究(2年継

  続、第2年次)

(1) 研究主題

  コミュニケーション行動の向上に関する教材・教具の工

 夫―いわゆることばを持たない子供のコミュニケーション

 行動の高次化を図る教材・教具を中心にして一

(2) 研究の主旨

  有意語を有しない児童・生徒に対して、それぞれの個体

 特性と経歴特性に相即した信号系活動の促進と、有効度の

 より高い信号系の習得を助ける指導内容・方法について、

 特に、教材・教具に視点をおいた実践事例をとおして、そ

 の有効性を検討することをねらいとしている。なお、指導

 実践の有効性を検討するため、県立盲・聾・養護学校から

 多様な事例提供の協力を得た。

(3) 研究の概要

 1) 事例1 立体紙しばい「うさぎとかめ」を使用したこ

  とばの学習

   視覚障害、知恵遅れ、右片まひを併せもつ10歳男児に

  対し、 「うさぎとかめ」のおとぎ話を立体紙しばいに仕

  立て、うさぎとかめのぬいぐるみを使って音声言語の意

  識化の初歩的指導を行った。(実態把握、題材選択の視

  点とから検討した。)

 2) 事例2 コミュニケ一ション内容の拡大と分化を促進

  させるための教材・教具の工夫〜おたのしみ箱を利用し

  ての試み〜

   難聴の4歳男児に対し、日常生活に密着した実物等を

  おたのしみ箱に入れ、手探りする活動を通して、コミュ

  ニケーション内容の拡大と分化を図るために取り組んだ。

   (学習指導の基盤、学習内容の系列化とから検討した。)

 3) 事例3 多動傾向をもつH・S児のコミュニケーショ

  ン行動の拡大を図る指導〜文字の弁別学習のための教材

  ・教具〜

   重度の知恵遅れで、てんかんを併せもつ多動な10歳男

  児に対し、文字チップ、写真カード、弁別箱等を使用し

  文字言語による弁別学習を展開し、調整度の高い行動が

  とれることをめざした。

 4) 事例4 コミュニケーション行動の向上に関する事例

  の研究

   脳性まひで、全体的に0歳の発達段階にある8歳男児

  に対し、ハンモックを使って自発的な行動を促進するこ

  とをねらい取り組んだ。

 (事例3・4について、児童・生徒の理解、教育的対処の

  原則とから検討した。)

 5) 事例5 コミュニケーションを高める車いす活用の工

  夫

   脳性後遺症、ネフローゼ症候を併せもち、0歳の発達

  にある12歳男子に対し、車いす使用時に初期的段階のか

  かわりをとおしてコミュニケーション行動を高めようと

  図った。 (教育的かかわりの視点と教育的対処の原則、

  教育的かかわりの具体的な展開とから検討した。)

 3 個 人 研 究

(1) 長期研究員による研究

研 究 主 題 研  究  内  容
視覚障害児の触運動 盲児に図形を触察させ、その反応
的知覚の高次化を図 状況の観察を通して、正答に至る
るための試み までにはどのような手がかりを用
(岡崎利男) 意すればよいのかを検討し、統制
  された行動としての触運動の高次
  化を図るための試みを事例を通し
  て考察した。
病弱児の心理状態の 入院生活を送っている気管支喘息
理解と改善に関する 児集団に対して、心理状態の理解
事例的考察 と改善をめざした一つの試みとし
(渡辺恵一) て、ロールプレイング状況を設定
  し、その中での1児の行動と我々
  のかかわりに焦点をあて、考察し
  た。

(2) 所員による研究

  教育相談及び研修講座の内容を充実させるため、所員お



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