教育年報1992年(H4)-001/225page

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第1章 総 説

 第1節 教育行政の概観

 平成4年度は、国の文教施策の動きや県政の方向及び社会

の要請等に十分配慮し、情報化や国際化等の時代や社会の変

化にも適切に対応しながら、明るく希望に満ちた21世紀の社

会を担う人づくりを指向する長期的展望に立った教育行政の

推進に努めてきた年であった。その間、平成4年10月19日に

は、阿部乙之委員長の任期満了に伴い新委員長に

小口潔子氏、委員長職務代理者に初瀬行雄氏が就任した。また、

鳴瀬寛爾委員の退任に伴い二瓶義春氏がその後任として就

任した。

 県教育行政において特記すべき事項としては、次の五点を

挙げることができる。

 第一は、「社会教育課」を「生涯学習課」に改組したこと

である(4月1日)。平成2年6月に生涯学習振興法が制定

されたことに伴い、積極的に生涯学習に関する事業を推進し

ていくために改組したものであり、従前の社会教育課の事務

分掌に加えて、生涯学習課として新たに次の事務分掌を加え

た。

一 生涯学習の総合企画及び調整に関すること

二 生涯学習の推進体制の整備に関すること

三 生涯学習の普及及び啓発に関すること

四 生涯学習関係団体への支援及び協力に関すること

五 生涯学習審議会に関すること

 第二は、「ふくしま国体」準備のための一層の組織強化を

図るために保健体育課内の「競技力向上対策班」を「競技力

向上対策室」に改組したことである(4月1日)。これによ

って、競技力向上対策に関する業務がより迅速かつ効率的に

推進される体制が整った。また、それに伴い要員も当初計画

の10名から14名(室長1、行政職2、教育職11)に増員し、

各競技団体への指導をより一層強化することのできる体制が

整った。

 第三は、9月から導入された学校週5日制(月1回)の円

滑な実施と児童生徒の学校外活動の充実に係る方策について、

広く県民の各層から意見を求め、施策の総合的な検討を図る

ための「学校週5日制実施に関する有識者会議」を設置した

ことである(7月3日)。この組織は、学校週5日制に係る

次の事項について、意見を求めるものであった。

一 学校週5日制の実施方針について

二 児童生徒の学校外活動の全搬的な振興方策について

三 その他学校週5日制の円滑な実施に係る事項について

 第四は、「第4次福島県長期総合教育計画」を策定したこ

とである(平成5年2月9日)。この計画は、生涯学習への

移行をはじめとする時代や社会の変化に対応した諸施策の推

進を図り、明るく希望に満ちた21世紀の社会とその実現を担

う個性豊かな人間の育成を目指し、「新世紀ふくしまを担う

『明るく個性豊かな人間の育成』」を基本目標とし、次の全

体的な視点に立って策定したものである。

一 ふれあいと生きがいに満ちた生涯学習の振興

二 21世紀を担う心豊かでたくましい児童生徒の育成

三 潤いと個性に満ちた文化の振興

四 県民の活力をはぐくむ体育・スポーツの振興

 第五は、「財団法人福島県学術教育振興財団」を設立した

ことである(平成5年3月10日)。この法人は、福島県内の

各教育機関における教員や研究者及び団体等が行う調査・研

究活動及び県民の学習機会の拡充等に関する自主的な取り組

みを助成し、社会の変化や地域社会の要請等に柔軟に対応で

きる学術研究や、教育及び生涯学習の振興を図り、もって、

地域社会の発展に寄与することを目的としたものであり、次

の事業を行っている。

一 教員等が行う生涯学習の振興に関する取り組みへの助成

二 県内の初等中等教育機関における教員等が行う研究及び

 研修活動等に関する助成

三 県内の高等教育機関における教員等が行う先導的な調査

 ・研究活動等に関する助成

四 その他目的を達成するための事業として理事会が認める

 事業

 以上のほか、教育行政の主要な動きをみると以下のとおり

である。

 生涯学習関係では、広く県民に対し生涯学習に係る成果の

発表や考える場を提供し、県民一人ひとりの生涯学習への理

解と意欲を高めるとともに、学習活動への参加を奨励し、も

って、本県生涯学習の一層の振興に資することを目的とする

「生涯学習ふくしまフェア」が郡山ユラックス熱海を会場に

開催されたこと(11月15日)、生涯学習情報提供システム整

備事業として、平成4年度新たに22市町村が加わり、市町村

ネットワークが30市町村に拡大されたこと、9月から学校週

5日制が実施されるにあたり、子供の望ましい人間形成を図

る観点から、家庭及び地域社会における責任の分担と教育力

の強化を支援し、併せて制度の円滑な推進と子供の学校外活

動の充実を図るためのモデル開発事業として「地域少年少女

サークル活動促進」事業、「ぼくらがつくるジョイフル・サ

タデープラン」事業がスタートしたこと(9月1日)、県生

涯学習推進本部が主唱者となり、学校週5日制の実施を契機

として、毎月第2土曜日を「ふくしま・フレッシュ・ふれあ

いデー」(3Fデー)と設定したこと(9月7日)などが挙

げられる。

 義務教育関係では、新しい学力観に立った真の学力を身に

付けた児童生徒の育成を目指して、小・中学校学習指導法改

善研究推進地区を設置して研究実践を展開し、その成果を県

内各小・中学校に普及させることによって、本県の児童生徒

の学力の向上に資することを目的とする「小・中学校教育ネ

ットワークプラン」事業が県内7市町村の推進地区で開始さ

れたこと、幼稚園等の新任の教諭等に対しても、幼稚園等の

教育水準の維持向上を図るため、現職教育の一環として、そ

の職務の遂行に必要な事項に関する研修を実施し、実践的指

導力と使命感を養うとともに幅広い知見を得させることをね

らいとして「幼稚園新規採用教員研修」を実施したこと、小


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