教育年報1994年(H6)-001/231page

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第1章 教育行政の概観

 西暦二千年を目標とする新たな視点と長期展望に立った

「第4次福島県長期総合教育計画」に基づき、その基本目標

である「新世紀ふくしまを担う『明るく個性豊かな人間の育

成』」の実現に向け、平成6年度は国の文教施策の動きや県

政の方向及び社会のニーズ等に十分配慮し、県民の期待に応

え得る教育行政の推進に努めた。この間、平成6年10月19日

付けで、福島県教育委員会委員長には、大和郭二氏が再任さ

れ、委員長職務代理者には吉田彌委員が選任された。県教育

行政において特記すべき事項としては、次の四点を挙げるこ

とができる。

 第一は、今日の国際化への対応として学校教育だけでなく、

様々な分野において施策を総合的に推進するために「ふくし

ま国際化対応教育推進プラン」を、情報化への対応としては

「ふくしま情報教育推進計画」を策定し、学校における情報

教育を計画的、総合的に推進するための指針を示し、それぞ

れ実現に必要な施策を明らかにした。また、海外との地域間

交流を積極的に進める中、11月には中国湖北省教育代表団が

本県を訪れ「福島県教育委員会と湖北省教育委員会との教育

交流に関する同意書」を両県省で締結した。

 第二は、県中地区に精神発達に遅れのある児童生徒を対象

とした、通学制の「福島県立あぶくま養護学校」を開設した

ことである。(4月1日)

 新設された「あぶくま養護学校」は、児童生徒一人ひとり

を大切にしながら発達段階や特性に応じて、豊かな心と健や

から身体を養い、心身共に調和のとれた人間を育成すること

を目指している。平成6年度は、小学部・中学部で発足する

が平成8年度には高等部も開設する予定である。

 第三は、生涯学習情報提供システムが本格的に稼働したこ

とである。生涯学習情報提供システムは、コンピュータによ

り県民が必要とする学習情報を迅速・的確に提供し、県民の

生涯学習活動を支援しようとするもので、各市町村公民館等

と結び「学習機会」「施設」「指導者」を含む9分野の学習

情報を提供するとともに、生涯学習に関するお知らせや意見

交換ができる電子掲示板や電子メールも備えており、ふれあ

いと生きがいに満ちた生涯学習社会の形成に大きく寄与でき

るものである。平成3年度よりその整備に取り組み、その愛

称を広く県民から募集し、「ふくしまマナビィネット」と決

定し6月より本格的に稼働した。

 第四は、高校教育改革の推進である。現在、情報化・国際・

化などの社会の変化や生徒の多様化に対応した魅力ある学校

・学科づくりを進めているが、平成6年度は猪苗代高校に国

際観光科を設置し、また平成7年度より数理科学科、デザイ

ン科学科、環境システム科、国際経済科、経営情報化、マネ

ジメント会計科、オフィス情報科、ビジネス会計科、海洋科

の9学科を6校に新設することとしたこと。さらに、共学化

については、平成6年度は富岡高校を共学化するとともに、

平成7年度より福島商業高校、福島西女子高校、福島東高校、

須賀川高校普通科、須賀川女子高校の5校を共学することと

し、あわせて、福島西女子高校は福島西高校に、須賀川女子

高校は須賀川桐陽高校と校名を変更し、小名浜水産高校は海

洋科の設置等もあり、いわき海星高校と校名を変更すること

としたことなどがあげられる。

 以上のほか、教育行政の主な動きは以下のとおりである。

 1 生涯学習関係

(1) 生涯学習のまちづくりを全県的に推進するため、「生涯

 学習モデル市町村事業」を継続実施し、市町村における生

 涯学習推進体制の整備に努め、6年度末には64市町村に推

 進組織が整備された。

(2) 乳幼児期から青少年にいたる家庭の実態に応じた家庭教

 育が、社会状況の変化に対応し行われるよう、「『のびゆ

 く福島っ子』家庭教育充実事業」を実施した。

(3) 新たに不登校の児童生徒に対し、不登校の回復援助をね

 らいとした学校適応サポートプラン「青少年自然体験活動

 推進事業」に取り組んだ。

(4) ボランティア活動を生涯学習の観点からとらえ、活動を

 希望する人々に対し、活動の機会や場を提供するとともに、

 成果を地域社会に還元するなど、地域住民が活動しやすい

 環境づくりを行う「"うつくしま、ふくしま。"ふれあい

 ボランティア推進事業」の拡充に努めた。

(5) 新規事業として「女性の生涯学習促進総合事業」により、

 男女共同参画型社会の形成を目指した。

(6) 生涯学習活動の普及・啓発を図るため「ふれあいと生き

 がいに満ちた生涯学習社会の形成」をテーマに、平成6年

 10月22・23日の二日間にわたり「第2回生涯学習ふくしま

 フェア」を開催した。

(7) 新規事業として図書館サービスの向上を図るため、県立

 図書館業務の電算化を推進し、市町村立図書館等との図書

 館情報ネットワークの構築を図る「図書館情報ネットワー

 ク推進事業」の基本計画を策定した。

 2 義務教育関係

(1) 新しい学力観に立った学力向上を図るための研究実践を

 行う「小・中学校教育ネットワークプラン事業」の充実に

 努めると同時に「小・中学校基礎学力向上推進事業」を興

 し、新しい学力観に立った基礎的・基本的内容の定着を目

 指して、小・中・高等学校における教科指導の一貫性を図

 りながら、教育内容・方法の質の向上を図った。

(2) 新たに環境教育推進事業を興し、環境教育推進モデル校

 に小・中3校を指定し、環境教育の在り方の研究を進めな

 がら、環境教育に対する教員の指導力の向上を図った。

(3) 新規事業として「『尾瀬サミット』小・中学生3県交流」

 (福島・群馬・新潟)を実施し、次世代を担う子どもの環

 境観の育成に努めた。

(4) 登校拒否児童生徒への対応策としての「学校適応サポー

 トプラン事業」の充実のために、学校カウンセリング講座

 や学校カウンセリング運営講座などを実施して、教育相談

 体制の充実に努めた。

(5) 小・中学校教育課程実施上の諸問題に関する専門的な研

 修を実施し、教員の指導力の向上と学習指導要領の趣旨の

 実現を図り、本県学校教育の充実・改善に資することを目

 的として小学校、中学校とも「教育課程運営改善講習会」


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